東京教区ニュース第67号

1988年02月01日

答申作成の経過

1、最終日の全体会議で、実行委が答申案を提出した。
2、この答申案に対して、代表者から修正意見が出された。
3、これをもとに、実行委事務局が修正案を作成した。
4、事務局は、これを全実行委に送付し、意見を求めた。
5、全実行委から寄せられた意見をもとに再修正案を作成し、実行委員長・相馬信夫司教の承認を求めた。
6、相馬委員長は、これを答申とすることを承認した。

ともに喜び
「生活」「小教区」答申揃う 司教団が応答メッセージ

メッセージ骨子

1、第1回全国会議を通して、すべての兄弟姉妹と語り合うことができたのは大きな喜びであり、深く感謝する。
2、代表者の方々は、福音宣教のために何かしたいという熱意を会場一杯にみなぎらせ、希望で満たしてくれた。
3、会議の中に示された時の印を認め、共に努力しよう。
4、教会・信仰の転換の軸は「ともに」と「喜び」で表し得る。
5、司教団としてやるべきことを総合的に計画し、全体的に実施を推進していくグループを司教団のもとに作る。
6、「諸問題解決の指針を伝達するための機関充実」と、「生涯養成の確立」では、緊急にプロジェクト・チームを作る。
7、各教区で小教区を中心に取り組んだほうがよいと思われるものについては、教区で状況を勘案して順次扱う。

第1回福音宣教推進全国会議参加者一同による最終答申は、昨年末の臨時司教総会で検討されたが、このほど司教団はこれについてメッセージを出した。とりあえずの回答ということで中身は、「教会の姿勢や信仰のあり方の転換を図る」決意を表し、提案を、司教団として直接とり組むものと、教区・小教区で扱うものとに大別、前者についても2緊急課題を除きその構想を示すものにとどまった。教区ではまず1月10日、関口教会信徒会館で福音宣教推進部が主催して開かれた「全国会議の説明・報告会」でこれを発表、17日の教会委員連合会でも課題とした。今年度の教区総会テーマも「全国会議答申および司教総会の決定をうけて」と、既に決っており、宣教司牧評議会では総会準備委員会を設けて用意をすすめている。本号では柱Ⅱ「生活を通して育てられる信仰」、柱Ⅲ「福音宣教をする小教区」について、作成への経過をふり返って見た。

●柱Ⅱ●
1、各分団からの答申原案。

4教区からの発題に基づいて具体的実践策を論議し、提案の形にしたもの。
【A分団】(教区代表・水上留次郎氏が参加 以下敬称略)
提案(1)日本の中・小企業者は、宗教についての感覚が希薄なため、個人の宗教は自由であり、尊重されるべきである旨を訴える(2)教会は避妊、中絶、離婚にかかわる問題等で裁きの場となる傾向が強いので、司牧上の暖かい対応を取るよう要望する。司教団は教会の現行規則を、末端の信者に分かり易い形で周知させるよう配慮を願いたい。家庭用のやさしい祈祷書づくりを提唱する。全国的に姉妹教会づくりなどを促進する(3)青少年への思い切った責任の委譲、全国の教会の仲間との交流など、青少年にとって魅力ある教会づくりを真剣に考える。低俗な商業主義から青少年を守るために、教会は社会に向かって発言すること。青少年を日曜日に家庭に帰すことの大切さを、両親と学校教育者に訴える。
【E分団】(L・カンガス)
(1)職場にキリストを見出す姿勢を大切にし、不正に対して不満を覚える人々の側に立ち、悩みを分かち合って仲間づくりにつとめる。キリスト者であることを、言葉だけでなく姿勢と行動をもって明らかに示す(2)家庭での祈り、聖書朗読、対話による特に幼児洗礼者の信仰教育を重視する。会社優先の価値観の変革を目指す。家庭集会を奨励する(3)小教区などに青少年の場を設け、自主性を尊重し、リーダーを育成する。生命尊重の立場から性教育を重視する。カトリック学校は、社会に有能な人を育てるよりも、この世を福音的に変革するように働く人を育てる。そのために体験学習を大切にする。
【G分団】(福川正三)
(1)青年たちの、国内・国外での体験学習を計画、組織する(2)結婚の秘義について認識を深めることを通し、夫婦の会話、影響、子供に対する教育の価値基準を明らかにしていく(3)職場における非福音的な状況から来る苦しみを、十字架の神秘として受けいれる。
【K分団】(佐久間彪)
(1)キリスト教の核心をやさしく簡単に明示した、学年別・年齢別・求道者向けなど段階別のマニュアルづくり(2)親から子供に伝える信仰の重視、雰囲気づくり(3)低成長時代における信徒労働者の苦悩を解き放つための規範づくり。
【L分団】(荒井佐よ子)
(1)幼児教育への対応の再考。全国レベルの共通の祈祷書作成。離婚信者への共同体の対応。性の倫理についての教会共同体の取り組み(2)青少年のニーズに応える小教区づくり。全国レベルでの専門機関の設置。

教会にたまり場を

【O分団】(広戸直江)
(1)青年が、自分たちの生きている世界と異った世界があることを認識し、出来ること、必要とされていることを探して、それが体験できる学習をしよう(2)色いろな提案に対して、きめつけたり断定したりすることは、提案者にあざけりや淋しさを与える。(3)職業別の集まりを欲しい。
【P分団】(藤井泰定)
(1)小教区、地域、同じ職種、家庭などでの基礎共同体づくり、社会の現状で、毎日の生活の場で感じている具体的な問題を聞き、知り、語り合える本音の場づくりを。そのために何が必要かを教区、小教区で確かめて、それに根本的に答えられるプログラムづくりも(2)青年が自由に使える部屋、たまり場などを提供する。青年の協力者である担当司祭を、教区ごとにグループとして持つ。小学生、中学生、高校生について、年齢に即した要理、聖書の全国共通のテキストをつくる(3)社会、日常生活で自分の抱えている諸問題、悩みごとに対して教会で相談できる窓口をつくり、人材を登録してバンクのようなものをつくっていく。
【Q分団】(国富佳夫・古川正弘)
(1)生活とみことばの往復運動こそ我われの信仰の様式を生み出すことになる。教条・倫理主義にしばられないよう、みことばの呼び掛けに応えることが大切である(2)信徒の霊性。家庭の中での両親が共に生きる姿(3)教会の教えをキリストの福音に照らし、典礼など、責任者との連係のもとに作っていく。
【R分団】(長島世津子)
(1)教会の中に、家庭や職場の問題、苦悩を本音で話し合う場がない。できるだけ少人数のグループで対話する場を設ける。夫婦単位、年齢別等、各教会での工夫をしてほしい(2)青少年との話し合い、相談相手となるような組織を教会内に作る。事情に合わせ、司祭のほか信徒も交えた青少年担当の組織とする。
【S分団】(W・スパイサー)
(1)家庭の福音化-信仰の生涯教育の手段を工夫し、活用すること。色いろな対話の方法の活用と工夫。愛の実践(2)祈ろう運動-いつでも、どこでも、一人でも祈る。皆んなで祈る。主体的な祈りと霊的指導の必要性(3)信徒同士の仲間づくり-魅力ある教会にするために。組織の中に若者の場をつくる。
【U分団】(萩野友紀)
(1)共に生き、聞き、答える教会をつくる(2)教会学校、青少年に対する長期展望をもつ(3)家族で一日一回は共に食事、祈りをする機会をもつ。
【X分団】(貝原敬子)
悩み、苦しみ、喜びを分かち合う心を育てる。そのための実際的な場をつくる。

2、実行委による答申案。
15分団から出された原案を起草委がまとめたもの。各分団の考えが汲み取られているか?
【提案1】
これからは、仲間同士の分かち合いの場でお互いに信仰を育てることを養成の方針にすえていただきたい。
(提案理由)
日常の生活を営む中で、家庭人、職業人としても、キリスト者としても、問題や悩みが生じます。しかし、現状では、それを分かち合う場がどこにもないと言っても言い過ぎではありません。これからは、職場で、小教区で、家庭で、地域で、あるいは職能別に、世代別に「分かち合いの場を設ける」あるいは、さらに明確に「グループを作る」ことが必要です。この会議で、私たちは、誰かが誰かを一方的に育てるのではなく、仲間同士が分かち合うことによって、お互いの信仰が育つのだという確信に至りました。
以下、この分かち合いの特徴を列挙します。
1、この分かち合いは「本音で」なされなければなりません。
2、そのためには、「仲間同士の」という場合の「仲間」が、家庭人、職業人ということばかりでなく、離婚経験者、異宗結婚者、中絶経験者、青年とくに青年労働者、単身赴任者、教会から遠ざかっている人など、従来、教会から「裁かれ」たり、「疎外され」たり、「なおざりにされ」たりして苦しむ人びとを除外してはなりません。それなしに相互養成はできません。
3、また、この分かち合いは、日常の祈りに支えられているべきです。すなわち、神との分かち合いを含みます。
4、分かち合いの内容は、職場で、家庭で、あるいは、青年として、などなど、日常生活上の問題、悩みから、キリスト者として持つ問題に至るまで、様ざまな問題とその解決への道で、それらを話し合う、聞き合うことですが、時には実際に体験し合うことも含みます。
【提案2】
このような日常生活レベルで信仰を育て合う営みを、教会としての次のような点に確実に反映させ、それを支持し、推進していただきたい。
(1)司牧上の配慮。
(2)信仰生活のマニュアル、要理教育書、祈祷書などの作成。
(3)倫理とくに性の倫理。
(4)制度。
(5)法律。
(6)秘跡の執行。
(7)人材の活用。
(8)社会への発言。
(提案理由)
このような教会としての行動がなければ、生活の中で信仰を育てる努力は個人レベルのものに止まり、やがて消滅してしまうからです。

おもいきった転換を

3、質疑・応答。
実行委がまとめた答申案について、次のような質問が出た。
○質疑 答申案作成についてだが、実行委の誰がまとめたのか。
▽応答 柱Ⅱは、森、松本、岡田、岩橋、鈴木(けい)、神林である。
○どんな経緯でできたのか。
▽起草委が分団からの提案を整理し、実行委全員が検討、意見を戦わせ、できるだけ分団の考えを盛り込むよう努力した。
○提案1の理由、特徴3で、「神との分かち合いを含む」とあるが、提案は、「仲間同士の分かち合い」とある以上、神を仲間としてとらえているのか。
▽ただ横にいっしょにいる仲間という意味とは勿論ちがう。
○同じく「日常の祈りに支えられているべき」とあるが、なぜ「日常の祈り」が提案1の中に含まれてしまったのか。発題では祈りの不足がかなり取り上げられていたのでは?それなのに単なるこの一言だけで片づけられてしまった背景を知りたい。
○答申案の前文に、「この3日間の真剣な祈り」とあるが、真剣な祈りとは一体どこにあったのか。付記のなかに祈りという言葉がないのもおかしい。
▽皆が本音で話す所、それは互いに支え合う場であるが、人間が人間を救うことはできないから祈りが大切になる。聖堂で祈るばかりでなく、いろんな環境で祈るためにどうしたらよいか真剣に考えた。小グループで祈ることも大切だし、新しい統一した祈祷書を作ったらという話も出た。日常の祈りをもっと大切に-という声が強かった。
○祈りには、皆んなでする祈りの他に、一人でする祈りもあって、それが大切ではないか。
▽日常の祈りの内、一人でする祈りもあるし皆でする祈りもある。両者を含め、現代の生活の中で具体的にどのようにしたらよいかの手段を求めてゆこうという意味である。
○提案2(1)、(3)、(6)の関連について、具体的な計画があるのか。特に考えているのは一般赦免という問題であるが。
▽そういうことも含まれる。
○提案2の、「確実に反映させ」ということが、何を意味しているのかわからない。
▽おかしなことを司教団に支持するように要求しているわけではない。自分たちで分かち合うという部分の他に、司教団に支え、推めて貰いたい面があるという意味である。
○青年たちへの要望や期待は、公聴会から相当に出ていたはずである。提案1の理由、特徴2の「仲間同士」という言葉の解説であるが、離婚経験者、異宗結婚者、中絶経験者と、なぜ青年とくに青年労働者が同列なのか。青年に対して失礼である。
▽青年達の自主性が尊重されていないとか、しばられているのでもっと解放すべきだという意見があったので、疎外されたりなおざりにされたりしている人びとの中の一つとして並べてもよいのではないかと思った。

4、修正の意見・字句。
字句はその場で修正を要望、意見は最終答申作成の参考として扱いを実行委に一任した。
○提案1の理由のところで、「家庭で、地域で、」の次に、「芸術、文化の分野で」をいれる。
○提案1の理由、特徴2で、「青年とくに青年労働者、単身赴任者」を、「家庭人、職業人」のあとにもってゆく。
○同じく「中絶経験者」のつぎに、「障害者」を加える。
○提案1の理由、特徴3のかわりに、新しく提案3としてつぎのように入れてほしい。「祈りの力を再確認し、いつでもどこでも、独りでも祈る習慣をしっかりと身につける。」
○提案1の、「仲間同士」を、「同じ立場に生きる者同士」にかえる。
○提案2の(6)「秘跡の執行」のところに、「特に一般赦免の実行許可」を追加する。また註として「従来の赦免後の個別告解を義務づけるものではない真実の許しを意味する赦免」をつける。
○提案2の理由、「信仰を育てる努力は」のあとに、「言葉の上だけのもの」を入れる。
○提案2の、「教会として」以下を次のようにする。「教会として支持し、私たちの直面している問題への取り組みをバネとして、社会に福音的価値観を推し拡げることを支援していただきたい。そのために、以下の点に留意していただきたい。」

〔柱Ⅱ答申〕
生活から信仰を、社会の現実から福音宣教のあり方を見直していこう、という司教団の呼びかけに応えて、生活を通して信仰を育てるために、次のような具体案を提出します。
【提案1】職場で、小教区で、家庭で、地域で、あるいは職能別、世代別に、分かち合いの場を設け、そこでお互いに信仰を育てることを養成の基本方針にすえる。
【提案2】このような日常生活レベルで信仰を育て合う営みを支持し、推進するため、司教団として次の点について具体的な方策を打ち出し、実施する。
(1)司牧上の配慮(分かち合いのリーダーの養成、女性、青年の声を生かす配慮、グループ活動の推進など)。
(2)日常生活と信仰を結びつけるような手引書、要理教育書、祈祷書(とくに家庭での祈りのため)、聖歌集の作成。
(3)倫理とくに性の倫理。
(4)職場、家庭、小教区、地域などで、あるいは職能別、世代別などで分かち合いの場を設けられるような制度づくり。
(5)教会法の面での対応。
(6)秘跡の執行。
(7)相互に助け合い、育て合うための人材の発掘と活用。
(8)社会に対する、教会の所信表明。
【提案3】教会共同体における青少年の使命と役割を積極的に評価し、ともに学び、彼らが現代の諸問題に直面するとき、ともに考え、協力できる態勢をつくる。
(1)青年の自主性を尊重し、信頼し、彼らに発言と活動の場を提供する。
(2)とくに幼少年の信仰教育をさらに充実させる。
(3)性、愛、その他青少年期にぶつかりやすい問題の解決に適切な助けができるように具体的な態勢をつくる。

●柱Ⅲ●
1、各分団からの答申原案。
【A分団】(教区代表・水上留次郎氏が参加 以下敬称略)
提案(1)教会は女性に対して侍者その他の奉仕職への参加の場を広げる。教会行事を地域社会に広めると共に、地域の行事を教会に取り入れる。教会での冠婚葬祭に未洗者を積極的に受け入れ、宣教の場として取り組む(2)小教区ごとに司祭、修道者、信徒から成る共同チームとして宣教司牧評議会を設け、全国的に組織化していく(3)近隣の小教区の司祭が各教会でミサを行うことによって相互の交流を図る。
【E分団】(L・カンガス)
(1)司祭の減少と小教区維持の困難を直視し、全国レベルで具体的な方策をたてる。そのために司教、教区司祭、修道会・宣教会員、信徒を構成員とする特別委員会を早急に設ける(2)信徒と司祭の役務の明確化(3)典礼文ならびに典礼の見直し。
【G分団】(福川正三)
(1)宣教する典礼の作成(2)マンモス化あるいは少人数化による、小教区の再編成(3)助祭、信徒指導者、聖体奉仕者などの全国レベルでの養成。
【K分団】(佐久間彪)
(1)現在の小教区制の再考(2)信徒にもっと責任や権利を果たせる役割や場を広げてゆく小教区運営(3)信徒を教会の役務にもっと登用する道を開く。
【L分団】(荒井佐よ子)
(1)信徒の地域活動への積極的参加。日本の風土、習慣に基づいた典礼行事の導入。小教区での行事を地域の人びとにも開く(2)小教区の福音宣教に関し、修道者、司祭、信徒、司教の協力態勢をつくる。信徒と司祭の交流の充実。家庭集会の活性化。女性信徒の役割の見直し。青少年信徒が発言できる場づくり(3)福音宣教のため、近隣小教区間の提携、協力。教区レベルでの諸活動の企画、実施。
【O分団】(広戸直江)
(1)地域の問題や活動に積極的にかかわっていく(2)諸宗教および日本の風俗習慣に込められている心を重んじ、典礼に取り入れていく(3)司祭は信徒のカリスマを積極的に尊重し、福音宣教のための協力態勢をつくる。
【P分団】(藤井泰定)
(1)回心のために真の対話ができる基礎共同体づくり。心を開いて人びとの中にキリストを見出そう(2)対話を通して地域の真の必要性を見出し、それに応えていく教会になろう(3)地域性を生かして典礼をより豊かにし、生き生きしたものにしよう。
【Q分団】(国富佳夫・吉川正弘)
(1)そこに住んでいる人々が「小教区」であって、福音に生きられるように神の民が存在する(2)信徒、修道者、司祭がともに福音を学び、養成される必要がある。典礼中心主義でなく、「分かり易い言葉」「受け入れられる典礼」が大切である。

家庭が宣教拠点
【R分団】(長島世津子)
(1)家庭を、地域社会に開いていくための拠点とする(2)地域の実状を把握分析し、宣教のアプローチを考える(3)司祭、信徒、修道者の宣教司牧チームを置く。
【S分団】(W・スパイサー)
(1)信徒も司祭もキリストのセールスマンになろう(2)アフターケァをしよう(3)暖かい教会作り。
【U分団】(萩野友紀)
(1)小教区の壁を越えて、宣教活動などの問題を協議する委員会を設ける(2)小教区の活動を信徒も更に行うようにする(3)宣教活動を生かした基礎共同体作り。
【X分団】(貝原敬子)
(1)本音でぶつかりながらも、許し、信頼し合う再出発をする(2)信徒の移動にともなう司祭の移動を可能にする(3)暖かい教会共同体づくり。

2、実行委による答申案。
【提案1】
社会(地域)に仕える教会となるため、教会の姿勢を変えるようご指導いただきたい。
(提案理由)
教会(小教区)を会員制のクラブのように信者だけがメンバーと考える発想を転換したいと思います。地域内に住むすべての人、訪れてくるすべての人は神に愛された人、信者はこの人びとが福音的に生きることができるよう奉仕する人びとです。
信者中心の、内向きの教会から、ともに社会に奉仕する外向きの教会に変えなければなりませんが、先ずそれは地域社会との交流、参加から始まります。発想の転換と実際の行動が大切でしょう。
【提案2】
日本人の心に訴えるような典礼を、生み出すようお願いする。
○社会に目を向け、宣教の活力となるような典礼(例・ミサ)。
○キリスト信者でない人びとにも理解し易い典礼(例・結婚式やクリスマス)。
○日本人の習慣からの要求に応えられる典礼(例・七五三)。
○日本人の習慣から分かり易い教会暦(例・死者の日をお盆に)。
○私たち日本人の真の信仰表現となる(翻訳でなく)典礼。
(提案理由)
現在の典礼は、日本人には分かりにくく、宣教のエネルギーを生み出す力も足りません。典礼文にも宣教へ向かわせる内容をもっと盛り込むことを希望します。また、日本の習慣に対応して、信者でない人にも身近で平易な典礼を。

女性の力活かせ
【提案3】
女性の参加の場を広げ、奉仕職、教会の運営、侍者などにももっと女性の参画を得るようにしていただきたい。
(提案理由)
現在の教会は、男性中心社会です。女性に対しても開かれた教会となり、女性の力をもっと生かしたいと思います。
【提案4】
教会内の協力態勢を確立していただきたい。必要なことは、
○信徒と司祭の役割の明確化。
○信徒と司祭、司祭と司祭の対話の促進。
○司祭、修道者、信徒からなる宣教チームの育成。
○司祭、信徒の宣教に向けての養成(特に、共にする養成)。
○共同司牧、小教区間の協力態勢の確立。
(提案理由)
小教区が真に宣教に向かって開かれるためには、小教区内外における、協力態勢が不可欠です。また、そのために、対話を促進しなければなりません。
【提案5】
小教区制度の抜本的見直しと再編成の検討をお願いしたい。
(提案理由)
地域割りを基礎とした現行の小教区制は、現在の社会状況の中でいくつかの困難があります(例えば、マンモス化、交通事情、過疎化など)。小共同体(基礎共同体)などの試み、少なくとも再編成が必要です。
【提案6】
日本教会の16教区制度を再検討していただきたい。
(1)少なくとも、人材や財政の協力、交流、あるいはプール制などでバランスを図る。教区を越えた人材の活用も必要。
(2)全国司祭の、交流と一致のため、神学校を統一する。
(提案理由)
協力態勢は、全国にも教区を越えて広がらなければなりません。適材適所とより広い視野からの活動のために日本を広く考えたい。
【付記】
以上のすべては、財政的にも人材の面でもしっかりとした裏付けがなければ、机上の空論に終ってしまいます。提案の実現のために司教団にご尽力をお願いすると同時に、私たち一同もせい一杯の協力を惜しまぬことをお約束いたします。

3、質疑・応答。
○質疑 実行委の誰がまとめたのか。
▽応答 柱Ⅲは、森、岩橋、岡田、下川、松本、市川である。
○提案5の理由の、「基礎共同体」というのは固有名詞か。
▽厳密な意味で使っているのではない。いわゆる何々というほどの意味。
○提案3は、女性に関するものであるが、どうして青年はもっと期待されないのか。
▽女性について一項をもうけたように、青年についてもやはり一項をもうけたほうがよい。
○提案1に、「ご指導いただきたい」とあるが、なぜこの点について司教団の指導を仰がなければいけないのか。地域に仕える教会となるためには、教区から代表が来ているし、われわれが帰って主体的に働けば、実現できるのではないか。
▽実行委の方針として、スローガン的のものはさけたいと思った。われわれが何もしないということではなく、リーダーシップをとってもらいながら、一緒にやろう-という意味だ。

4、修正の意見・字句。
○提案3の、「女性」のあとに、「青少年」(高校生、中学生、小学生)を加える。
○同じく、「女性」のあとに、「適正な」を入れる。「運営」を、「運営(決定を含む)」とする。「侍者」はとる。「もっと」でなく、「対当な」とする。
○同じく、「男性中心社会」を「壮年中心社会」に変える。
○提案2および理由のなかの、「日本」という言葉をとる。
○提案2の理由のところで、「日本の習慣に対応して」をとる。
○提案2のなかの、(死者の日をお盆に)の、(お盆に)をとる。
○提案1の、「教会の姿勢を変えるようご指導いただきたい」を、「教会の姿勢を正していただきたい」とする。

〔柱Ⅲ答申〕
生活から信仰を、社会の現実から福音宣教のあり方を見直していこう、という司教団の呼びかけに応えて、真に福音宣教する小教区となるため、次のような具体案を提出します。
【提案1】社会(地域)に仕える教会となるため、教会の姿勢を、うち向きから、社会に参加し、奉仕する姿勢に変える。
【提案2】人の心に訴えるような典礼を生み出す。それは次のような典礼である。
○社会に目を向け、宣教のエネルギーとなる様な典礼(ミサ)。
○キリスト信者でない人びとにも理解しやすい典礼(たとえば結婚式やクリスマス)。
○日本の生活習慣に基づき、人びとが受け入れやすい典礼や教会暦(元旦、七五三、死者の祭祀など)。
○翻訳でなく、私たちの真の信仰表現となる典礼。
【提案3】女性の参加の場を広げ、奉仕職(侍者など)、意思決定を含めた教会の運営に女性の対等な参画を実現する。
【提案4】教会内の協力態勢を確立する。そのために、次のことが必要である。
(1)信徒と司祭の役割の明確化。
(2)信徒と司祭、司祭と司祭の対話と交流の促進。
(3)司祭、修道者、信徒からなる宣教チームの育成。
(4)宣教に向けて、信徒と司祭がともに養成を受けられる場の設置。
(5)司祭の共同体意識の育成。
(6)社会における信徒の種々の活動の正当な評価。
(7)共同司牧、小教区間の協力態勢などの確立。
【提案5】小教区制度の抜本的見直しと再編成を検討する。
【提案6】教区を越えた人材の活用や交流、財政的協力(たとえばプール制)などを図る。日本の教会の16教区制度を再検討する。
【付記】
以上のすべては、神の恵みを祈り求めることはもちろんのこと、財政的にも人材の面でも、しっかりとした裏づけがなければ、机上の空論に終わってしまいます。上記提案の実現のために、司教団のご尽力をお願いするとともに、私たち一同も、精一杯の協力を惜しまぬことをお約束いたします。(以上)

地縁血縁どう喰い込む

千葉ブロック ’87年2月8日
千葉ブロックの公聴会は87年2月8日、千葉市辺田町・聖母マリア幼稚園(聖マリア修道女会経営)で開かれている。遠くは片道100キロを越える所からなど、多数の出席者があり、初めの予想をはるかに上回って、約150人が集まった。
ブロックの大半の教会は過疎地帯であり、地縁・血縁の強い社会になっているため、そこから提起される問題も独特の難しさを感じさせた。身近な問題や教会の行方など、一度は司教に聞いて見たかったことを喋った。白柳、森両司教の誠意ある答えとなごやかな雰囲気に、参加者は大きな励ましを得た。
1、他宗教に対する心構え。
館山は血縁、地縁が強く、民間信仰が人びとの心を支えている。こんな地域で、信仰を保つのはともかく、その恵みを分かつ事は難しい。(館山・広瀬)
◎白柳大司教-他宗教の中にもある福音の種を育てるよう協力することは大切だが、神は福音を通して人を救うよう計画したので、その人達にも福音を伝えなければならない。
○森司教-お祭りなどにもかかわって、地元ととけ合うことが肝要。愛のある所に神は働くという原則で充分だ。
2、子供に信仰を如何にして伝え、青少年をどう育てるべき?
子供は、親からまともに学んでいない。カトリック校も、落ちこぼれの子供を対象に取り組んでいない。(成田・篠崎)
◎家庭で親が子と一緒に祈ることが最大の武器。カトリック校は、どんなにできない子も切り捨てないでほしい。
○日本の社会構造に対して教会が根源的に立ち向かう必要がある。カトリック学校教師などの進言に期待したい。
3、ミサについて。
神父が変わると信者がミサに与らないという話がある。何か指導を。(五井・内田)
◎前任者と全く違った事をやると混乱する。典礼があるので、それほど変な事はできぬはず。
○司祭が替わると教会の雰囲気が変わることはある。自分の信仰を生きることが大切である。
4、教会離れの人々への対策。
心に安らぎを与え、生活の体験を語れる場を作る-などの提案もあるが。(茂原・鮎貝)
◎自分の知識や経験を与える対話により、助け合う事が必要。
○対応には総合的な工夫を。
5、千葉県にカトリック学校を創る可能性について。
子供達が中・高になると教会に来ないのは、親の責任もあるが、カトリックとのかかわりを持つ機会がないからだ。カトリック学校ができるかどうかお答え頂きたい。(佐原・茅森)
◎県内には難しい。創る考えを持っている修道会はある。
○カトリック校は、子供が信仰を守るかなどの問題点を解決しない。信徒の先生で築いた学校等、具体的な夢は持っている。

ひずみに物申せ
6、信徒数の少ない小教区への司教の配慮。
小さい教会を、中央からの報告や要求そのままで指導されては困る。(銚子・西田)
○中央からのものを受け流す処世術も必要だ。しかし本質的なものは、教会に刺戟を与えるためにも挑戦することが肝腎。
7、家庭教育の基本的な方針。
宗教教育の責任は、家庭にある。親が揺れ動かぬ価値観を持ち、どのように生きているかが重要である。(木更津・大藤)
◎幼児期に基本的な教育をうけた者は、一度は教会を離れても必ず戻ってくる。
○現代の子供たちへの信仰伝承は、一緒に生きようという体験に替える必要がある。
8、社会におけるキリスト者の価値観について。
社会の福音化を進める教会の忠実な一員となるには、どうしたらよいか。(西千葉・小林)
◎社会問題に積極的にかかわることが大切。社会と共同で実行できるものを探すとよい。
○信仰告白を互いにぶつけ合うしかないのでは?
9、ブロック単位でできる教育活動について。
幾つかの教会の若人が中心となって、カトリックに関係のある催し物をやり、小教区を回ったらどうか。(千葉寺・石塚)
◎若者の力を借りることは、使命感を持たせる意味でもよい。
○目標が理解されれば、教区から予算が出る可能性もある。
10、入信志願者に対する要理教育について。
勉強期間をもっと短くし、本人の希望で洗礼は授けられないか。また予備信徒的な制度は考えられないか。(東金・立川)
◎最小限必要欠くべからざることを知っていればよい。
○教会の普通の生活につまずかない程度であれば、余りこだわらなくてもよいのではないか。
11、社会参加の基本方針を。
個人でかかわる場合でも、指導者がリーダーシップをとってほしい。教会として参加する時どうするか?(西千葉・江口)
◎それぞれの立場で、政治・経済等あらゆる分野に参加する事が求められる。教会としては、現代のひずみに物申すこと、福音によって社会を変えるという宣教にかかわることだと思う。
○社会の人と一緒に、手をつないでやっていくことも出来る。

駅前賃借り聖堂
12、性の問題と受胎調節などについて。
基本的にはどのように考えているのか。(千葉寺・柏崎)
◎受胎調節については、神の教えに反した方法はさけなければならないということに変わりはない。「ナチュラル・ファミリープランニング」という自然のリズムを使った方法が発表されているが、これを用いるには夫婦の協力が必要である。この種の問題は、聖職者の立場からだけでは難しいので、信者の医師たちの協力を求めている。最終的には良心に従って決めるべきである。
○基本的には、やはり個人の良心の問題に行きつくのではないかと思う。広い視野から、夫婦の本当の問題をさぐりながら、道を開いていかねばならない。
13、教会の場所、ミサの時間について。
現在の教会の場所が、時代と共に合わなくなって来ているのではないか。通勤圏の遠い人にとっては、ミサの時間の設定もずれている。例えば便利な場所のビルの一角を借りるということは可能か。(千葉寺・鈴木)
◎賃借りということは考えられる。時間についても思案中。
○駅の近くなどの一室を、金を出し合って借りるのもよい。
14、カトリック学校について。
入学は信者ということで配慮できないのか。宗教教育がされていないのでは、意味がないのではないか。(木更津・大藤)
◎日本では、信者でない人を対象にやるという考えがある。
○独特の入学選考方法を作らねばという考えも出ている。教えについては、信者・未信者に共通な宗教心を伝えようとの方向。