お知らせ

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東京教区ニュース第62号

1987年03月01日

新司祭5人誕生

司祭叙階式

3月15日(14・00)カテドラル
安次嶺晴実、秋保真理夫、晴佐久昌英、岡本昇、佐藤敦俊

助祭叙階式

立花昌和 4月26日(9・30)北町教会
木村公治 5月5日(11・00)五井教会

お見舞いありがとう

教区は3月22日(土)・春分の日、午前10時から、港区白金・聖心女子学院で1987年度の教区総会を開く。総会は、「大司教を中心として互いに啓発し、教区全体に対する認識を深め、宣教司牧の基本理念、活動等への理解を高める」ためのものである。今回は、福音宣教の対象となる現代日本の社会が、どのような状態にあるのかを確かめることを中心テーマにし、そうしたなかに宣教してゆくにあたって教会はどうすればよいのかを話し合うことを目的とした。この総会は、秋に開かれる第1回福音宣教推進全国会議の準備にもなる。なお、昨年来、大司教が諮問した、「信徒について」をテーマとした4議題の審議は、2月12日の宣司評で、「現代日本の教会と社会における信徒と司祭の役割について。」を最後に終った。答申は今まとめているが、総会はこれらを深め、生かすのにも役立つ。東京教区の教会を育ててゆく大事な総会となるため、教区本部では教区民に多くの自発的な参加を呼び掛けている。

教区総会 全国会議めざし いま私達の周りは いま私たちにできることは

教区では、先の三原山噴火に伴う大島の災害者のため募金したところ、多くの義援金が寄せられたので、年末には東京へ避難中の子どもたちに、絵本やカードを配ることができた。また今年に入ってからは、島に住む80歳以上のお年寄り約250人に見舞金を送った。教区本部では深く感謝するとともに、今後も物心両面の助けを望んでいる。

3、信徒の宣教について。

1、中央ブロックでは、いわゆるミニ公聴会のテーマをも「信徒の宣教」としたため、公聴会への準備がいっそう諮問議題の検討を深めることとなった。
同テーマについて開かれた集会でも、特に「信徒」を取り上げる理由などについて話を聴いたあと(1)信徒は何等かの仕事を持っているので、それぞれの職場、家庭生活における個有の宣教があるはずで、それが信徒独自のものである(2)他人に福音を伝えるため各自の家庭がしっかりしていることが特に大切で、聖書勉強会、教会のバザー、講演会等の諸行事を通して地域社会とのかかわりを持つなど、職場や家庭等、自分の周りの未信者とのかかわり、つきあいを通してカトリックを理解してもらうことが肝要-などの意見が出た。
2、答申の作製に当たっては、第2バチカン公会議後に出された、教会憲章、白柳大司教の教書、佐々木神父の「人とのかかわりの中で」などを資料に討議し、次のような提言のかたちでまとめた。信徒の宣教にとってはいずれもゆるがせにできない要件をそなえ、これを基礎にしなければ福音宣教の具体化はむずかしいと考えたからである。
(1)なぜ今、福音宣教か?司祭の立場から考える-20年ぐらい前までは司祭があらゆることを背負ってきたが、今は信徒一人ひとりがそれぞれのカリスマに従って教会の役割をになうべきである。司祭は特にみ言葉と祈りによって信徒を支えるものである。
(2)実社会における福音宣教-信徒は神の民に属するとともに市民社会にも属しているので、実社会にかかわりながら、信徒でない人の霊性を尊重しつつ、神の方に向かうことがわけても大切である。
(3)家庭における信徒の宣教-家庭の宣教こそ福音宣教の出発点であり、信徒は家庭がキリスト教的に成長するよう努めるとともに、近隣の人々に積極的にかかわることが肝要である。
(4)子供の教育を通じての福音宣教-子供の教育は、学校の問題でもあり、また子供と親相互の問題でもある。この分野における福音宣教は、親子双方の、そして学校との関連で考えねばならないことである。
(5)今、教会で青年が考えていること-青年として教会の中でどのように行動したらよいか、青年全体としてのムーブメントをどのようにもっていったらよいか、今後の問題として深く考えなければならない。
(6)共同体としての福音宣教-共同体として、アクション団体でも小教区でもそれぞれの場で福音化を推進しているのであるが、それを形成している各個人の認識、心構え、取り組み方が根本になっている。信徒の自覚を喚起しながら、共同体として外部に向かってゆく姿勢が大切である。  (中央ブロック)

外向きの教会に

1、「日本の教会の基本方針と優先課題」以来、以前からの、信仰・典礼・教会行事共同体の枠を越えて、宣教共同体へと基本的な姿勢を変革しよう、との司教団からの度々の力強い呼び掛けにもかかわらず、信徒の間には、内から外へという二者択一的変革に対する反論もしくは疑念、あるいはためらいが根強く、むしろそれ以前に教会内部の見直しと充実こそ優先すべきであるという声が大勢を占めている。
ちなみに、城南ブロックの2回の話し合いにおける発言のうち、教会外への積極的働きかけに関する発言は28%、当面の問題点として教会内を見直すべきであると指摘した発言が12%、他はほとんど従来の「内向きの教会」にかかわる発言であった。司教団の望む変革までには、まだまだ時間をかけて話し合いを重ねる必要がある。
2、このような教会の現状において、今すぐ信徒が取り組むべきこととして、多くの卒直な意見が集中したのは、特に次の2点であった。
(1)どんな人でも迎え入れ、ホンネで話し合い、体験を分かち合える「温かい教会」の雰囲気づくり。
(2)福音宣教の基礎母体としての「家庭」の見直し。
しかしながら、未だ具体的な実例や体験を数多く持ち寄って充分話し合い、たれからの実際的な活動方向を提示するまでには至っていない。この方向へ向かって、信徒の一人ひとりが今すぐにでもできることは何なのか自分自身の問題として全員が考え、話し合い、体験を分かち合い、行動に移すことが必要である。
3、以上の現状を踏まえて、次のように信徒に呼び掛けてみてはどうだろうか。
(1)キリストという無限に大きな目標へ向かって、教会内だけでなく教会外の人々とともに歩んでゆく共同体、すなわち「外へ開かれた教会」の一員であることを、信徒の一人ひとりがはっきりと自覚しよう。
(2)この共同体が、幾重もの積み重ねの関係ででき上がっていることをよく理解し、そのおのおのの段階で、今なにができるかを、信徒の一人ひとりが真剣に見直し、すぐにできることから始めよう。
4、このような見直しと実行へと私たち信徒を駆り立てる原動力は、一人ひとりの中に燃え上がる「信仰の喜び」にほかならない。秘跡をはじめ、説教、黙想指導、聖書講座その他、日常の言動をもって、その喜びを呼び覚まし、燃え続けさせる聖職者が、その点でも極めて重要であることをもっと自覚されるよう、司祭・修道者に切望する信徒の声も少なくない。  (城南ブロック)

教区総会プログラム

〇日時 3月21日(土)春分の日 午前10時〜午後4時半
9:00 受付
10:00 祈り 諸説明
10:15 白柳大司教メッセージ
10:30 基調講演「今 私たちのまわりは…」 講師 斎藤茂男氏(共同通信社記者)
12:00 基調講演「そして 今 私たちにできることは…」 講師 ニコラス師(上智大学助教授)
13:00 昼食(弁当は各自持参)
13:45 分科会及びシンポジウム
15:30 予算・決算報告
16:00 福音宣教推進全国会議出席教区代表の紹介及び挨拶
16:30 祈り解散
〇場所 聖心女子学院 〒108 港区白金4-11-1 電話 444-7671
問い合わせ 大司教館事務局 電話 943-2301
〇分科会テーマ (1)現代の夫婦と福音 (2)現代の親子と福音 (3)現代の青年と福音 (4)現代の会社・職場と福音 (5)現代の高齢者と福音 (6)日本社会の流れと福音 (7)ブロック別公聴会とこれからの教会
〇シンポジウム テーマ 「日本の社会と共に歩む教会」 講師 小田晋氏(筑波大学教授) 粕谷甲一師(東京教区司祭) 徳永瑞子氏(聖母病院看護婦)

あした葉

85年末、多くの国民の反対でつぶされた、「国家(防衛)秘密法」(スパイ防止法)が、すこし手直しの上、国会で作られようとしている。▼この法律は、スパイの取り締まりを口実にしながら、実際は平和と安全にかかわる国の基本政策について言論・表現の自由を奪い、国民の「知る権利」を脅かす内容の危険な法律である。▼国家秘密法案は、外交をふくむ防衛に関するあらゆる事項を「防衛秘密」にして刑罰で保護している。国家の安全や防衛は、国民生活のあらゆる分野に関連をもっているから、「秘密」について厳格な枠づけがされない限り、「防衛秘密」の範囲は際限なく拡大する恐れがある▼ところが、この法案は、「秘密」に有効な枠づけをせず、「秘密」かどうかの判断はすべて政府に任され、その判断の正当性を確保する制度的な保障は一切ない。これでは政府に都合の悪い情報はみんな「秘密」にされてしまう。また、「秘密」の保護を優先させる以上、その内容は裁判所でも明らかにされず、どのような「秘密」を侵したのかわからぬままスパイとして処罰されてしまうのである。▼国家秘密法は、いわゆる職業的なスパイを取り締まるための法律ではない。わたしたち国民をスパイにして処罰するための法律である。▼これができると(1)時の政府による情報隠しが徹底する(2)国民の間に、知ること、伝えることについて恐怖を生みだす(3)国民主権は空洞化し、民主主義も危機にさらされる。そして……わたしたちは目・耳・口をふさがれ、「宣教」もままならぬ自由のない暗い時代が再び……。何としても阻止せねば。 (S・A)

宣教推進に総力 86年報告

宣司評

大司教が諮問した、「信徒について」-基本方針と優先課題の流れにそって-をテーマの4議題に対し、ブロックなどと協力、答申づくりをした。
その他、教区総会、ブロック別公聴会、第1回福音宣教推進全国会議などに関する諸準備を行った。

事務局

【総務部】▽庶務係-教区本部の規約は85年に制定されたが、事務局の「財政部」は、全教区財政を司る「財政評議会」と混同されやすいので、これを廃止し、11月から、総務部のもとに庶務係と並んで経理係として所属することになった。仕事は今まで通りで、担当者も変わらない。
庶務係の仕事は、相変わらず各部・委員会等の連絡で、教区の活動に支障を来さないよう努力している。
▽「ビジョンの会」小委員会-大司教の教書と、諮問議題に答えるためのリネアメンタ教材による勉強会を続け、8月には反省を含めた座談会を開いて報告した。9月以降は、CIの導入が教会にとって必要であるかどうかを勉強している。福音宣教の活性化に役立てばと考える。

【広報部】▽広報委員会-例会は奇数月の第1木曜日。7月2日〜4日、鹿児島で「教区広報担当者全国会議」があり、杉浦委出席。教区ニュース発行。
11月30日、女子パウロ会ホールで「視聴覚メディアと宣教」を主題に、「第12回教区広報大会」を開いた。「テレビ番組は宣教に使えるか」などについて話や意見交換を行った。

【社会部】靖国問題実行委員会-活動はNCC靖国神社問題特別委、正平協靖国問題委、靖国神社問題連絡会議などと連係して行い、各々の例会に出席する他、6月28日、日本キリスト教団会議室で開かれた「靖国神社公式参拝問題シンポジウム」に、委員長・津賀佑元氏が発題者として出席、また8月15日、大阪での「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」にも同氏が参加した。10月10日〜12日、札幌での「第12回正平協全国会議」には委員2人を送った。
その他(1)2・11、8・15集会(2)平和遺族連絡会結成式(3)靖国神社公式参拝を許さない8・8集会(4)都慰霊堂平和祈願(5)中谷裁判活動者会議(6)12・8戦争責任を問う証言集会に参加した。

平和の願い新た

▽平和旬間実行委員会-8月9日夕、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で、第13回平和祈願祭を開いた。今年は吉祥寺教会青年を中心とする武蔵野ブロックからの平和行進もあり、共同司式司祭は19人、約700人が参加した。
翌8月10日には、関口教会信徒会館で「戦争体験を正しく伝え、これからの平和を考える」ためのシンポジウムを開いた。「戦争中の教育現場と戦後の復興」「核の危険」と題する講演に続き参加者による自由討議、そして最後は、「聖書に学ぶ平和の願い」をテーマに話を聴いた。80人を越える参加者があり、平和の願いを新たにした。
▽アジア地区(=ビルマ)委員会-アジアの国々のなかで、比較的その様子が伝わって来ない国の1つにビルマがある。仏教国で社会主義にもかかわらず、カトリック教会が力強く育っている国。11月の第3日曜日を「ビルマ・デー」として、東京教区の全教会・修道会に献金と祈りを呼びかけているが、現地の情況はどうなのだろうか。
今は亡き岡野神父が公式訪問してから既に5年、白柳大司教の勧めもあって、昨年6月に首都ラングーンへ委員の一人を派遣した。わずか5日間の滞在であったが、神学校の様子や教会のおかれている事情がありのままの姿で伝えられ、認識を新たにした。なかでも、東京からの祈りと献金がどんなに喜ばれているかを直接聞けたことは、これからの活動の励みになった。
またラングーン教区のG・トーヘイ大司教が、アジア司教会議に出席するため、多くの困難を乗り越えて来日した際には、歓迎ミサと信徒を交えての集いを開いたが、これによってどれだけビルマという国と、そこに地道に生きつづけている教会に対する認識が深まったか計り知れない。この集いの成功は、同大司教の温い人柄による。ビルマ・デーには当地の神学校を紹介するパンフレットを配り、祈りと献金を呼び掛けた。

【教学部】▽使徒職研修コース-85年9月から始めたコースは86年7月に終った。修了者は7グループで79人だった。87年3月まで半年休み、過去11年をふりかえって、この研修コースは福音宣教推進全国会議に向けてどのようなプログラムを組むのがよいかを検討することとした。
しかし第3グループは参加者の強い希望により研修を続けること、期間は半年、内容は人間関係の訓練とした。対話訓練のプロである吉村庄司師(聖公会司祭)に依頼し、十数時間のミーティングの末、プログラムを決定。隔週の火曜日、10時〜13時というペースで現在も進行中、87年3月に終了予定。教区全体としては、第12回研修コースを開催し、その案内書は1月末に配布する。
なお11年間にわたる研修コースの修了者約千人が、研修に励まされて活動するうちに、さまざまな体験をしているので、広く呼び掛け、体験談を募り、その中から選んで文集を作る仕事も進められており、3月頃発行の見通しである。また修了者が大司教を囲む集いも計画、1月25日(日)午後2時から5時まで、カトリックセンターで開催される。
▽カト高生活動指導者会-3月には恒例の春の練成会を高校生や大学生が中心となって企画、当世学生事情と題して、校則・管理の問題を話し合い、約70人が参加した。夏にはYCSという国際的なカトリック学生組織の世界大会に参加者を送り、交流を深めた。また、人数は少なかったものの、館山教会でワークキャンプを行った。
10月からは春の練成会の準備班を発足させ、「ともだち」をテーマに、高校生をスタッフの中核にすえて活動を始めた。機関紙としては、カト高にかかわりある人々に月1回通信を発行し、体験の報告や分かち合いなどの場としている。
なお、指導的役割を果たしている大学生を主な対象に、聖書深読合宿が3回行われ、延べ40人が参加して、御言葉と生活を結びつけて振り返る体験を深めた。グループ活動に役立てるために「ワーク研究会」を発足させ、自己や他者を体験的にみつめる機会にしている。
「カト高」は、87年3月以降、教区の活動として認められなくなるが、その後、高校生指導に関してどのような展望があるかは不明である。

完全な弟子とは

▽イエズス探究会-5月16日から3日間、カトリック神学院で「信徒の霊性」をテーマに、第15回探究会を開き、28人が参加した。司教団が提起した基本方針と優先課題に応えるためにも、信徒の役割を見直すよい機会となった。森司教も特別に参加して講話をしたが、参加者にとっては大きな励ましとなり、信徒の霊性について認識を改めさせられたところも多かった。
第16回は、11月14日からラ・サール研修所で「イエズスの弟子となる」をテーマに開き、26人が参加した。スタッフの関係で、長野、須坂両教会から信徒の参加があったことは、探究会が輪を広げてゆく可能性を示したものとして喜ばれている。
▽要理教育講座-今年は前回の好評にこたえて、「続・日本の精神文化とキリスト教」の公開講座を開き、約60人の要理教育者が受講した。講座は、カトリックを始め、神道・仏教・儒教・老荘思想・日本文学などの各分野から著名な講師を選び、内容豊かな講義を聴くことができた。
なお、東京要理教育研究所では、「日本の教会の優先課題」に応えるための白柳大司教の要望によって、信徒の誰でもが、身近な人びとに信仰の喜びが伝えられるよう、「あなたにもできる福音宣教」(定価200円)という手引書を刊行した。
▽聖書週間-本年度の「聖書週間講座」は、例年どおり、司教協議会聖書委員会、キリスト教文化研究所、東京大司教区の共催で、11月14日から24日まで上智大学において開かれた。今回のテーマは「歴史を導かれる神」で、森司教の「私たちのもとに来られた神」と題する総括講話をかわきりにした。
旧約から3人、新約から4人がそれぞれの分野で共通テーマを展開し、最終日はパネルディスカッションで聖書週間をしめくくった。東京近郊からだけでなく、遠く四国や九州から来た聴衆もあり、今年も盛り上がりを見せた。
▽教会学校部-いま重点をおいているのはリーダーの養成である。教会学校指導者の使命や役割については、キリストの姿のなかにその解答を発見しながらも、変わりゆく社会や人心に対応してゆくために年々努力を続けてきた。現在は信仰教育委員会が発行した「教会学校の手引き」を中心に研修している。
都市には若いリーダーが多いが、その移動がはげしく、地方ではリーダーの確保そのものが至難で、教会学校の使命遂行のむずかしさを味わっている。ボランティアが当然としても、数年前に比べると、教会学校の活力はすこしずつ低下しているため、リーダー養成を中心に共同体全員の意識化が望まれる。
【召命部】▽召命委員会-1月15日、関口教会で「召命担当者の集い」を開いた。各小教区、修道会、宣教会からそれぞれ参加、森司教の講話を中心とした討論や情報交換を行い、召命活動のかかえる問題点などを探った。4月30日にも「歌うこと、祈ること、生きること」をテーマに「召命の日の集い」を開いたが、約80人の若者が参加した。
委員会の通常の仕事は、月に1回会合を開き活動を企画すること、召命について究める会である「麦の穂会」と協力して、研究会を行うこと、黙想会や研修会を支援することなどで、今年は4回ほど援けた。
▽東京教区一粒会-小教区担当者による総会を例年どおり春秋2回開き、出された多くの意見を運営委員会で検討、できるものから実行することを決めた。
また小教区の底辺の拡充を目標にかかげ、「一粒会だより」よりも、「一粒会運営委員会通信」に力を入れて小教区委員の充実をはかり、一粒会運動が全教区民に深く滲透するよう心がけてきた。その主旨に従い、11月30日、カテドラルで「邦人司祭育成の日を前にして」と題して、竹前光子氏によるオルガン・慈善コンサートを開いたが、入場者は約800人を数える盛況だった。
プログラムには神学生についての理解を深めるために「司祭への道」という小文を載せ、また現神学生たちも参加して、邦人司祭育成についての一粒会キャンペーンの実をあげることができた。

扶助を制度化に

【難民定住推進部】初めの取り組みは、小教区での受け入れが中心であったが、各教会での活動が進むにつれて、教育、進学、生活の安定など、新たな問題が出てきた。
9月7日、四谷・雙葉学園同窓会館で、第3回東京教区難民定住対策小教区担当者連絡会を開いた。新段階へ一歩進めるかたちで、小教区の自主的な活動を前提に、教区全体で行うべきこととして(1)難民定住促進のための相互扶助制度の創設(2)難民定住対策小教区担当者連絡会の定期開催(3)定住促進ニュースの定期発刊-を提案した。
これをうけて、まず相互扶助制度の創設が具体化されることになり、11月30日、基金運営委員会が発足した。同運営委では運営内容の検討を進め、4月からは難民の子弟に奨学金を出すなど実際の活用を始める。

【福祉部】前年度から実施中であった教区内各小教区における福祉活動に関するアンケート調査については、分教会を含む対象80教会中、65教会から回答を得、回収率81%という好成績をおさめた。この回答について部内において集計分析を行い、その結果を印刷の上、先般教区内全主任、助任司祭、及び各小教区信徒委員会あてに配った。
また福音宣教の一環として、各ブロックに福祉委員会を設置するよう呼び掛けを行った。教会用語の手話に関する手引書の刊行は、この分野における初めての試みであったため大きな反響を呼び、全国から購読の申し込みが相次いだ。
その他カリタス・ジャパン、カトリック障害者連絡協議会等に対する協力、4旬節「愛の募金」についての呼び掛けや配分なども例年通り実施した。
▽障害者問題小委員会-7月12日から13日まで、「第6回障害者とともに考える集い」を開いた。今年は過去5回に比べて著しく違い(1)小委員会を中心に、カトリックユースの協力のもと事務局を設け、企画・運営に当たった(2)国鉄を利用して遠くへ一泊旅行した(3)協力者や参加者が、教会関係のほか多方面から得られた-などが特徴。
場所は新潟県・湯沢、宿はスキーロッジを借り、障害者、ボランティア計130人が参加する、「障害者と健常者の湯沢大会」となった。障害者は旅行の機会が少なく、あったとしても車や貸切りバスがほとんどで、公共の交通機関を利用することは稀である。ぜひ新幹線にでも乗って、誰でもするような旅をしたい-そんな希望が実現したもので、2日間、喜びの笑いが絶えなかった。
障害のある人々と交流したことは、関係者にとっても励ましとなり、新しい人間関係が生まれるなど、有意義だった。

合同堅信に92人

【典礼部】▽典礼委員会-5月18日・聖霊降臨の主日、カテドラルで恒例の合同堅信式が行われた。前年の反省に基づいて「受堅の手引き」を初めに配ったこと、前回に参加した教会が多かったことなどが順調に運ぶ原因になった。奉納者、聖書朗読者、共同祈願者を前もってそれぞれの教会に割り当てておいたことも一歩前進だった。当日の受堅者は92人。
第17回を迎えた「教会音楽祭」も、カトリックをはじめ、日本キリスト教団、ルーテル教会、聖公会、改革派教会、台湾教会などが参加し、6月8日、カテドラルで開かれた。

【福音宣教推進部】各分野の司祭達に、宣教についての考えを司祭通信に投稿するよう頼んだ。またそれを材料に教区ニュース・宣教のページを飾った。
6月の毎土曜日には、「聖書と福音宣教」を題に連続講演会を開き、雨宮師には「旧約の立場から」、泉師には「福音書の立場から」、堀田師には「パウロの立場から」、ネメシェギ師には「聖書と現代」というテーマで話を聴いた。

【教会財務連絡会】会合を3回開き、教会会計の仕訳について検討した。最終の集まりで結論を得て、87年度からそれに従って処理することにした。

財政評

例会を9回ひらいた。おもな議題は昨年と同様、江東区8号埋立地と蟻の会敷地の整理ならびに蟻の会自体の今後の問題などで、引き続き協議された。また浅草教会の改築とその地区全体の再開発についても評議を重ねていたが、ようやく実行案ができ、87年度から着工する。
資産運用相互協力制度は、新たに2教会が加わって50教会を数え、預託の申し込みは44件で総額は12億1100万円となった。年度末決算配当利息は金利低下で年6.69%、融資の部では完済1件、新規1件で、残高は5件、3151万円となった。

「ミニ公聴会」へ意欲

ブロック

【中央】全体を活性化する目的で、従来の活動に加えて、大司教の諮問議題の中から「信徒の宣教について」を年間の柱とした。7月27日には関口教会に森司教を招き、「信徒の宣教について語る集い」を開いたが、約80人が参加、発言者の体験を聞いた。諮問に対する答申もこの集いを参考にしたところが多く、討論でまとめたものを11月16日の宣司評で原案として報告した。
なおブロック別公聴会に向けては、各教会から適任者を選んで準備委員会を作り、9月から4回にわたって会合を開いた。

【城東】今期はまず継続審議となっていた内規の仕上げ作業から始め、教区総会後、集中討議により成文化した。議論の過程は教会の在り方を客観的に見なおす良い機会でもあった。これと同時進行したのが大司教の諮問議題「現代日本の教会と社会における信徒と司祭の役割について」への対応であった。
これに関しては、カトリック宣教研究所から課題の取り組み方やまとめ方などの資料が提供され、大きな役割を果たした。
当ブロックは、全体を4つに分けてそれぞれの地域に合った運営法をとり、全体集会に持ち上げて組織の活性化を図っている。このため今までの小委員会制度は廃止された。
87年初めのブロック別公聴会に向けては総力を投入して準備を進めているが、幸いにも信徒集団を一堂に収容する会場が確保できたため、執行部にも弾みがかかり、毎週のように会合を重ねて対策を練っている。
なお、台東、荒川、足立、葛飾地区にあって、地道な活躍を続けている修道会がある。それぞれの地域に潜行しながら宣教しているが、拡大させるためにはブロックの組織を利用することとかもこれらの課題である。昨年度、江戸川区の小松川から現在地に移転してきた葛西小教区の教勢の延びも注目される。かねてから懸案になっていた「森司教を囲む集い」は先ごろ開かれたが、地で行く宣教のあり方が示されて有意義だった。

【城西】年の始めの例会で、小教区にとっての地域社会とは信者一人ひとりの生活圏-であることを確認した。大司教の諮問議題「家庭について」を当ブロックが受け持ち、数回にわたって討議した。
初めはブロック委員だけで話し合ったが、後には瀬田教会の婦人会、壮年会、青年会の代表者、神学生、神学院院長なども加わり、議論は、信徒にとって家庭とは何かにつき、個人の課題から社会的役割へと深まっていった。家庭の重要性に目覚めた婦人たちは、その後自主的に話し合いのグループを作り、輪を広げている。
秋からは、87年1月に行われるブロック別公聴会の準備にかかった。4グループ、4ヵ所で行うことによって、より多くの人が参加でき、近隣の教会とも親しい交わりが持てるよう工夫した。

ホンネ共同体を

【城南】大司教諮問議題「信徒の宣教について」の答申が柱となった。審議の過程で出た意見の中で(1)どんな人でも迎え、ホンネで話し合い、体験を分かち合える温い教会の雰囲気づくり(2)福音宣教の基礎母体としての家庭の見直し-などに関して具体的な実例や体験を持ちより、宣教委員会を中心として、活動の指針や提案の資料を集めた。
7月6日、宣教委員会の企画により、森司教を迎え、「青少年を教会に引きつけるには」のテーマで質疑と話し合いを行った。4人の問題提起者を中心に約120人が参加した。
福祉委員会は、これまで各教会に車椅子用スロープと身障者用トイレの設置などを助けてきたが、基金からの援助の最後として、蒲田教会のトイレ新設工事を支えた。

【城北】会議出席率は2/3。運営委による宣司評の報告を中心とし、福音宣教、一粒会、平和旬間、典礼、難民定住などについて活発に討議した。特に日本の教会の優先課題である福音宣教に関しては、大司教の教書をもとに熱心に論議した。また教区総会の反省やブロック別公聴会の準備も行った。
当ブロック受け持ちの大司教諮問議題「家庭について。」の審議では、子供の信仰教育と親の責任をめぐって多くの意見が出た。まとめは9月の宣司評で報告されたが、家庭での祈りの必要性が強調された。
平和祈願祭ではブロックとして設営を担当し、特に豊島教会からは奉仕者を出すなどして積極的に参加した。ブロック別公聴会の準備としては、準備委員を選出して11月に初会合を開き、下井草教会の協力によって会場を育英高専に決めた。

青少年に賭ける

【武蔵野】平和旬間の催しの1つとして「千鳥ヶ淵」に向けての平和行進が吉祥寺教会・及川神父のもとで企画され、老若男女約70人が参加した。平和旬間実行委員会では、来年は平和のワッペンを胸に、各地から会場に参集しては-との意見も出ている。平和旬間では教区規模の行事も結構だが、ほんとうに大切なのは、このような小教区あるいはブロックでの催しの工夫であるとして高く評価された。
当ブロック担当の大司教諮問議題「信徒の霊性について」の答申案は、吉祥寺、小金井両小教区が主になってまとめたが、そのために有意義な会合が多く開かれ、考えさせられる点があった。
また、桜町聖ヨハネホームができたため、この施設に対するボランティア活動を行うことにした。ブロック別公聴会が2月15日に開かれるため、実行委員を選んで会合を重ね、万全の準備をしている。

【多摩】今年も青少年活動が中心となった。2月、3月には各教会の青年に呼び掛けて一泊合宿を行い、教会活動のリーダーとしての意識の深化をはかった。夏には、高校生・青年達による7泊8日のワーク・キャンプ、4泊5日の中学生練成会を開いたが、これらの準備も春の合宿から始めた。
ブロックの会議は5回ほど開かれたが、青少年活動を物理的に支援するとともに、それがかかえる問題点を探り、方向性を求めてゆく研究会などが主なものとなった。

【千葉】昨年の10月からはじめた「明日への宣教を考える集い」を、今年は8小教区で開催し、10月12日、銚子教会での第10回目の集いをもって終了した。毎回各小教区から多数が参加し、福音宣教について活発に話し合った。
青年たちのリーダー研修会を3月17、18日館山教会で、つづいて4月12日マリアセンターで開いた。また夏期練成会を、中学生の部は8月15日〜18日、高校生の部は8月19日〜22日、いずれも館山教会で開催した。
第12回千葉ブロック大会は「合同ミサとレクレーション大会」として、9月7日、聖母マリア幼稚園で、白柳大司教を迎えて開かれた。合同ミサは、故オドワイヤー神父の追悼ミサとして、同神父の冥福を祈った。レクレーション大会には、今年はカラオケ、模擬店なども出て盛況だった。
念願のブロックニュース創刊号をクリスマスに発行した。小教区の情報交換、交流に役立たせたいと願っている。またブロック別公聴会は87年2月8日に開かれる予定であり、準備委員会を設け、実施に向けて計画を立てている。

全国会議へ一歩

今年は、いよいよ第1回福音宣教推進全国会議(略称・第1回全国会議)が開かれる年である。司教団は昨年の暮、臨時総会でこの全国会議の課題を「開かれた教会づくり」とした。教区でも、これまで、いろいろな努力と準備を重ねてきたが、このほど出席代表も決まり、1月22日、初会合を開いた。
全国会議そのものの概要が不明なため、具体的な準備にまでは入れなかったが、まずは顔合わせとし、とりあえず京都で開かれる説明会に、萩野、長島の両氏を派遣することを決めた。
第1回全国会議をナイスと呼ぶのは適当でないとの司教団の意向で、今後はそう云わない。(詳細は別報)

「開かれた教会づくり」を提案 司教団声明に新しい息吹 宣教のページ

日本カトリック司教団は、昨年12月に開催した臨時司教会議において、今年11月20日から23日まで開催される福音宣教推進全国会議に向けた声明と課題を発表した。
東京教区では1月22日、宣教司牧評議会の推薦を受けて大司教が任命した全国会議代表者による代表者会議を開催し、その内容の説明を受けるとともに、課題について代表者の意見を交換した。さらに、1月から開催されているブロック公聴会の中で声明と課題を教区信徒に浸透させ、3月21日(土)の教区総会、4月以後の宣教司牧評議会でこの課題を取り上げ、「開かれた教会づくり」にすべての信者が参加し行動していくためのスタートを切った。

発表された声明にはカトリック教会の変革の息吹が秘められている。それは「私たち自身の生活と信仰の遊離、教会の日本社会からの遊離」、「どこか遠いところで作られた……」という部分で、教会のこれまでの歩みを省み、これからの日本社会と私たち、そして教会の関係を福音的立場で結び合わせていくために私たち自身が理解を深めなければならないことを強調している。
そこで、宣教のページでは、一年にわたって、全国会議に向けた特集を掲載し、教区の信徒の方々が下記の課題について意見を出し合い、体験を分かち合って教会を育てていくための紙面を提供することにした。
今回は、声明と課題について、森司教に解説していただくとともに、全国会議代表者の方々の紹介を兼ねて、第1回代表者会議における意見交換の一部を掲載した。

日本のカトリック教会の皆さま

皆さまの熱心な討議の結晶ともいうべき第1回福音宣教推進全国会議(以下、第1回全国会議と略します)課題案をお送りいただきありがとうございました。
私ども司教団は、12月9日から開催された本年度の臨時司教総会において、これらの課題案をもとに、祈りのうちに討議を重ねました。
私どもは、各教区からの課題案を通して、皆さまが真剣にそれぞれの立場で福音宣教に取り組んでおられることを感じさせられました。これらの課題案はみな日本の教会の福音宣教のために無視できない重要なものばかりでしたが、私たちは、これらの根底にある共通の問題を確認いたしました。それは、福音宣教の実践に際して、カトリック信者としての私たち自身の生活と信仰の遊離、そして、教会の日本社会からの遊離でした。
そこで、司教団としては、福音宣教を考えるに当って、生活から信仰を見直していく方向、日本の社会の現実から福音宣教の在り方を考えていく方向を選びました。
こうして、私たちは、第1回全国会議の課題を「開かれた教会づくり」としました。
どこか遠いところで作られた信仰様式に生活をむりやり合わせる努力をするというのではなく、生活と日本社会を見つめながら、信仰の態度を改め、それを育て、証したいと願ったからです。それは、けっして、現実に迎合したり、妥協したりすることを目指すからではなく、生活の中でキリストの十字架と復活の神秘を真剣に生きることこそ福音宣教の源泉だからであります。
課題の中に掲げた3つの柱は、どれも、私たちが、もう一度、具体的に生活の中に信仰を育てながら、福音宣教に向うことを目指しています。
これからあと一年足らずに迫った全国会議のために、この課題をもとに、研究、討議実践を進めてくださることをお願いいたします。
1986年12月12日  日本カトリック司教団

第1回福音宣教推進全国会議課題

開かれた教会づくり
1、日本の社会とともに歩む教会
(1)人々と苦しみを分ち合うには(2)社会の良心となるには(3)新しい社会をつくるには
2、生活を通して育てられる信仰
(1)職場で信仰を生きるには(2)家庭で信仰を生きるには(3)青少年が信仰を生きるには
3、福音宣教をする小教区
(1)地域に開かれるには(2)信徒と司祭でつくるには(3)小教区の壁を越えるには

第1回福音宣教推進全国会議 東京教区代表者

佐久間彪師(世田谷)、藤井泰定師(浅草)、古川正弘師(豊田)、カンガスSJ師(麹町)、スパイサー師(千葉寺)、荒井佐余子氏(大森)、国富佳夫氏(関口)、福川正三氏(麻布)、荻野友紀氏(赤堤)、長島世津子氏(吉祥寺)、水上留次郎師(ラサール)、Sr貝原敬子(女子パウロ会)、Sr広戸直江(聖心会)

メッセージに応えよう! 司教団声明解説 森一弘司教

福音宣教推進全国会議に向けて司教団のメッセージが出されました。短い文書ですがその中にこれまでの文書には見ることの出来なかったいくつかの新しい問題提起がありますので、簡単に解説をしてみたいと思います。
1、メッセージの背景
まず、この文書がどのような過程をえて作製されたものかを説明いたしましょう。
「私どもは各教区からの課題案を通して皆さまが真剣にそれぞれの立場で福音宣教に取り組んでおられることを感じさせられました。……」と。
つまりこの文書は、各教区から提出された「課題案」をふまえているわけです。
皆さまご存じのように1985年の司教総会は「聴く・吸い上げる・活かす」という姿勢のもとに、各管区で「公聴会」を開催することを決定。翌年の1月から4月までの間に大阪、鹿児島、福岡、東京で実施。日本の教会の歴史の中での始めての試みとして、信徒が積極的に参加、発言して教会全体に新しい意識と自覚を生み出しました。こうした公聴会の記録が「NICE公聴会記録」として一冊にまとめられました。
この記録を参考にして、各教区が、全国会議のための課題案を作製し、司教団に提出したわけです。したがって各教区から提出された課題案には、日本の教会の問題に対する現状認識と、それにどう対処していかなければならないか、という自覚がある筈です。
司教団は各教区から提出された課題案から全国会議のためのテーマづくりにとりかかりました。そしてそこから日本の教会の共通問題を確認しそれをメッセージにしたわけです。
2、信仰と生活の遊離……
「私たちは、これらの根底にある共通の問題を確認しました。それは、福音宣教に際して、カトリック信者としての私たち自身の生活と信仰の遊離、そして教会の日本社会からの遊離でした」
信仰と生活、教会と社会との遊離とは大きな問題です。これについて遠藤周作氏は次のように指摘しています。
「日本の社会そのものがキリスト教というものと一向に関係のない仕組みになっているからです。現実には家庭生活の中でこそ信者としての姿勢が守れますが、一歩外に出て職場に行けば、キリスト教というものに対してほとんど理解がなく、その中でひとつひとつのことについてどう対処すべきか選択を強いられるでしょう。…信徒としての立場と会社員としての立場が、とかく相反するような、或いは部分的にだけ重なり合うような、複雑な判断を強いられているわけです。」(あけぼの誌86年12月号)
ここに語られているようなことは、すべての日本の信者が、多かれ少なかれ、感じてきたものです。
司教団は、それを日本の教会の根本的な問題ととらえ、福音宣教のためには、この問題の解決が根底になければならないとしたわけです。信仰と生活、教会と社会の遊離という大問題は一朝一夕に解決できるものではないでしょうが、それに向かって小さな努力を積み重ねていかなければならないでしょう。

教会手作り運動へスタート

白柳大司教は年頭書簡の中で司教団の声明と課題について、「イエズスが与えて下さった希望を、どうすれば現代日本の人々に伝えることができるのか、そのために私たち教会が、私たち一人ひとりが何をすべきかを、司教も司祭も信徒も修道者も一緒になって体験を分かち合い、知恵を出し合って福音宣教に向って教会を育てていくためのもの」であり、「教会手作り運動」ととらえてほしいと語られている。
これに対し一般の反応として全国会議の代表者は、一様に「勇気あるすばらしい声明」と評価した上で次のようなコメントを寄せられた。
「福音宣教を考えるにあたって“生活から信仰を見直す、日本社会の現実から宣教の在り方を考える”を選ばれたことは希望に満ちた前進と受け止める。」(修道女)
「福音の根本的理解に目を向け、日本文化に味付された福音の提示が必要。もっと、福音書にあるような人の生き方の実例(証し)を語ることが今まで少なかったことが、遊離を招いたという点に注目すべきだ。」(信徒)
「生活の中の信仰に目覚め、その輪を広げていくことがこれから私たちに課せられた重要な使命である。」(青年)
「日本の教会の方向性をはっきりと示された声明であり、全カトリック信者がもう一度現代日本の社会性と自分自身を見つめながら考え、発想して行動する勇気を与えてくれた。」(婦人)
この他、課題である「開かれた教会づくり」に関して、証しから始めることが、教会と社会を具体的に結び合わせ解決していく方法等、全体として、現実の社会に生活する私たちの「証し」と「声」をいかに福音と結び合わせていくかがポイントであるとしている。
このように多方面から評価された声明をどのように伝えていこうとしているのか、再び全国会議代表の方々に答えて頂いた。
「修道会司祭会議でこのテーマを取り上げ、ミサの説教のとき、福音に沿って信徒に伝えるようまとめ、1月25日すべてのミサの中で信徒に伝えた。この声明を印刷してすべての信徒に配布する。」(修道会司祭)
「学校の授業の中で、学生とのグループ活動の中で伝えてみたい。」(修道女)
「まず司祭からの呼びかけ、これに呼応して現在あるグループでそれぞれの主体性を認めながら、時間をかけて討議していきたい。」(信徒)
「教会委員はもちろん、ミサの後、全員に伝え、プリントを配布する。その後集会を持って分かち合っていきたい。」(教区司祭)
この他、若い人たちと話したい、教会報に信徒の立場で解説を掲載し、分かち合えるようにした等、声明を分かり易く多くの信徒に伝え、日本社会の中に、日本の教会を作る、私たちの教会づくりが根を下ろそうとしている。
なお、宣教のページは編集と発行の都合上、全国会議の詳細日程を掲載することができないため、動きについては、カトリック新聞を参照されたい。1月14日開催された全国会議実行委員会(委員長・相馬信夫司教)では次の事項が確認されている。
1、2月8日、各教区準備委員会(東京は代表者会議)への説明会開催。
2、全国会議に向けた共通祈祷文の作成、配布。
3、パンフレット、ポスター、シールの作成、配布。カトリック新聞を通したキャンペーンの実施。
東京教区では、1月22日第1回代表者会議を開催、今後の日程等を打ち合せた。2月8日開催された説明会は長島世津子氏、荻野友紀氏が出席、2月29日、第2回代表者会議で報告を受けるとともに全国会議までの詳細スケジュールを検討する。

おしらせ

教区総会は自由参加です! あなたも申込みを!

3月21日(春分の日)に開催される教区総会では、斉藤茂男氏(共同通信)、ニコラス師(上智大)の講演、小田晋氏(筑波大教授)、粕谷甲一師(教区司祭)、徳永瑞子氏(聖母病院看護婦)を招いてシンポジウム等が行われます。お問い合わせは司祭まで。

障害者と共に! 青年たちを募ります!

昨年越後湯沢に障害者と共に一泊の旅を行った東京教区障害者問題小委員会が、今年は那須方面で「障害者と共に考える集い」を計画しています。この計画を実行するため小委員会では青年たちを募集しています。
普段、外に出ることの少ない障害者たちと寝食を共にし、障害者と同じ目で社会を見つめることができる貴重な体験が得られます。
昨年の経験を生かし、更に充実させるために皆さんの知恵と体力が必要です。今年は事務局を大司教館に置くことになりましたので、協力いただける方は下記へ御連絡下さい。
大司教館 シスター横山  電話 943-2301

男性の編集者を募ります! 「宣教のページ編集の会」

東京教区福音宣教推進部では「宣教のページ」を編集していただける男性の方を募集しています。編集は偶数月の第1日曜日を予定していますが、取材、掲載記事などで1か月の準備が必要です。
編集を通して、多くの方々と経験を語り分かち合う機会が生まれ、信仰をより深めることができます。連絡は下記へ。
大司教館 市川神父  電話943-2301

証しにつなげ!全国会議

福音宣教推進全国会議に向けて東京教区・第1回代表者会議が1月22日開催された。この運動を推進しもりあげていくためにはどのようなことが必要か、どのように運動を展開していったらよいのか、その本来意図する最も重要なところは何であるのか等について、司祭・修道者・信徒、計13名からなる代表者の間で活発な意見の交換がなされた。

この「福音宣教推進全国会議」とは一体いかなるもので、いかなる目的をもって、いつどこで誰によって、どのようになされるのか、あるいはなされているのかについてあまりよくは知らないというのが、かなり多くの信徒の方々の偽らざるところではないだろうか。
前ページの司教団声明文は、何も知らない一般の信徒にもわかるように全国会議の主旨について書かれているのだが、これは読む人や読みかたによってはいくらでもとりようがあるといえるだろう。
そこで第1回会議においては、この声明文を各代表がどのように読んだか、どのように受け取ったかを中心にして話を進めていった。
まず最初に議題にのぼったのは「代表者の役割は一体何だろう」ということであった。
その部分の討論の様子を抜粋してみよう。

代表メンバーの役割は?

長島 私たち代表者の役割は自分の教区の人達の意見を吸いあげてそのままただ発表するということなのでしょうか。
福川 必ずしもそう考える必要はないと思います。「私はこう考えてる・こう受け取ってる」ということでいいんじゃないですか。多少主観的なものになるでしょうけど。
広戸 公聴会などに参加しますと色々な方のご意見を伺うわけですがやはり私自身の意見もある。「私はこう思う、けれどもこういう意見も出ているな」という形で吸収していこうと私は考えています。
藤井 私も同じ考えです。司祭団の意見をどのようにおさえていったらよいのかについても考えていくべきでしょう。
長島 全国会議で「みなさんの意見をまとめたのはこうでした。」というようなものばかり集めたって、しっかりした一つの方向づけや指針なんて出てこないと思うんです。やっぱり「私が」という部分がどこかにはいってこないと…
荻野 私は青年の代表という立場にありますからできるだけ私に近い人たちの意見をまとめていく意識で参加したいと思います。長島さんのように、やっぱり自分が入っていないと声が聞けないのでは。

以上の対話から、ナイスの代表者としては単に、自分の周囲の人間の意見をそのまま鵜のみにして全国会議にもってゆくだけでは不十分であり、自分としてはこうなんだというものをしっかりと踏まえた上で各自その役職にあたるべきだという姿勢がうかがえる。

ナイス=希望(?)

次にテーマとしてのぼってきたのは「どういうふうにナイスを進めてゆくべきか」ということであった。ナイスを提唱している司教団が、これによって一体何が起こるということを望んでいるのか-、まさに今、信徒の皆さんが準備を進めているときに、各人がどういう対応をすることが求められているのか-という質問が、司教団からの代表者に対してなされた。ナイスに期待するものは何か、という問いかけである。
それに対して白柳大司教は次のように答えている。
「この全国会議において、全国が統一して一つのことをやろうとか、そういうことは出てこないと思う。
そしてそれを意図してもいない。むしろそれを契機として信徒の皆さんの宣教への意識が強まり、熱意が高まることを期待している。
宣教の具体的な方法について「これこれこういうふうにしなさいよ」というのではなくて、各自がそれぞれ大人として考え、やっていくという一つのキッカケになればよいと思っている。したがって、これが終ったらすぐに何かの結果が出るというような性質のものではない。」
どうやら私たち信徒の一人一人が、自分で考え、積極的に活動に参加し、運動を推進してゆく力となるよう求められて(望まれて)いるようだ。
「これは大変なことになった。信徒が期待されている。」と感じられた方は、前ページの森司教の解説を読んでいただきたい。これまでも司教団はどういうふうにすれば盛り上げることができるかということで、一生懸命に努力してきている。例えば公聴会を開いたり教会報を出すなどして、できるだけ多くの信徒の人々に「司教団は今どう考えているか」について知らせる工夫や努力を重ねている。このように頂点では司教団が不断の努力を続けている間、教会を下側から支えている各小教区の信徒がそれと関連した個々の活動にいそしむ-これこそ理想とするところだろう。
「結局、上から下へ、下から上へという流れの中で、だんだんとエンジンがかかってくると思うんですね。長いことかかるでしょうけど。」
以上のような司教団の考えに対して、代表委員の間から疑問の声が幾つか出た。

荒井 東京教区ではブロックというものがあって組織というものがあるのだからそのブロックないしその下の小教区というところまで降ろして、その小教区あたりでもう少しこの全国推進会議へ向けての意識が浸透されるべきだと私は思うんです。けれども現状はブロック止まりというような感じを受けるんですね。その小教区にもよるんでしょうけど、その小教区の中で全国に向けて何か実行をしていく、あるいはテーマを絞ってするという動きが現状ではない。それが私には非常に不思議でもありもったいなく感じます。小教区の教会委員会の中でこの全国会議について私が言っても、皆さんそんなにピンとこないようです。
それが小教区の現実だという面もあるんじゃないか、まずそれをそこからやってかないと何だか上だけでの空回りに終ってしまいそうで……。
古川 全国大会に向けて「然るべきではないか」といってあちらこちらで終始会議や公聴会があるので、それの準備に追われて一つ一つのテーマをじっくり考える余裕もなく疲れきってしまってるんですね。一生懸命何かに向かってやっていくというプロセスも大事だ、という、まあ、それもいいんでしょうけどね、余り疲れたくもないし、疲れさせたくもないという感じがいたします。
広戸 私のブロックの前の準備の段階で私たちは何回も集まるんですが、何回も集まるけど話してみるけど、何か意味がない、時間はかかるけれどもこれから何が出てくるんだろうかって疑問に思ってしまうんです。「一生懸命にやってたのに、結局何にもならないんですか」って声も実は前から出てたんです。「私は毎週こんなにも……」というような熱心な方が、何か喜びが抜けたようになって……問題だなあって思うんです。

全国大会のために各小教区で準備活動などを頑張ってやっている現場の人々の「むなしさ」を訴える声は少なくない。ではどうしたらいいのか?この難題にいかに対処していくべきなのか?

法悦感(喜び)があれば

佐久間 「法悦」という言葉、みなさんご存知でしょうか?この間私が出席した公聴会であるご婦人が司教様に訊くんですね。「司教様、法悦っていうのは本当はどういうものなんでしょうか、教えてください。」って。
そのご婦人が司教様に色々と説明して頂いた後で最後に、「その法悦ってものが欲しい。その法悦を本当に教えて頂きたい。あるいは教えてくださる方を送って頂きたい!」
その言葉が私はただ、悲鳴のような気がしました。
会議とか、その吸い上げとかいうのは大事ではあるけど信徒一人一人の法悦感みたいなもの、喜びみたいなものが欲しい、それがないとエネルギーが出てこない。
カンガス まあ、理想と現実は必要ですね。理想ばかりでしたら、むなしいね。結局何も出てこないし、人々はついてこない……。そうかといって現実だけだったら、また動かないね。全国会議の成果がこれから達成されるということよりも、それをやってみる価値は、現にやっている人達、これから何とかしましょうと動いている人達の働きの中にあるのかもしれないね。
福川 理想へ向かって少しでも近づいてきてる人は現にいるわけです。乗り越えてきてる人もいるわけですよ。
そういう姿を見るというのはやっぱり私達にとっては力を得るということなんです。
この全国会議のあり方もここらへんをもう少し推し進めてゆくといいんじゃないか。
国富 本当に底辺にある人達の声というものをいかに吸い上げて耳を傾けるか、同時にその人達の悩みに対して神父様方や司教様方が、そのお話の中に「あなたの言ってることこそが本当の信仰の形なんですよ。」と証明をしたい。
それがいかに出るか、だと思いますね。
荒井 カトリックの中で一番重要なものは、やはり教会です。そこに秘跡があるのですが、その特徴が生かされていない。形式化されちゃっているところに、教会に来てもつまらない、教会離れがあり、若い人も教会に行かないのだと思う。教会に来て「法悦」、私たちの言葉で言えば「信仰に生きる喜び」というものが生き生き感じられる、それが本当のカトリックの光であると思います。
福川 秘跡を受けてその喜びを超えた「証し」というのが大切ではないでしょうか。現実と理想を近づけて実際に本当の「法悦」を感じるためのプロセスの一つが「証し」だと私は思うのですが。
スパイサー 私は、本当にイエズスを信じているか、イエズスは私の神なのか、はじめに一人づつ反省しなければならないと思う。イエズスが私と共におられると感じるならば、そこから出発すればちょっとは変わることもあろうと思います。
佐久間 全国会議で霊性ということが言われているが、教会、司教、司祭等すべてを合わせて信仰の霊性を考えなければならないと思います。
最近、私はプロテスタントの方から関西弁で「主はワテをスイテハル」という言葉を教わりましたが、「ワテをスイテハル」という気持があったら「怖いことアラヘン」という、何も恐れることのない喜びが出て来るように思えて、こういう受け取り方も良いものだと感じたのです。

あなたはどのようにお考えになりますか?

教会は証しの束

第1回福音宣教推進全国会議に向けて司教団声明が出され、全国会議の課題の3つの柱と9つのテーマが決まりました。東京教区代表者は、司祭・信徒・修道者によって構成されたメンバーが選出され、第1回代表者会議も開かれました。司祭・信徒・修道者が一つになって歩み出しています。
司教団声明のポイントは、今、生活と信仰が離れてしまっている。私達自身の信仰の態度を改め生活そのものを信仰の心で実践し、真剣に生きることが福音宣教につながる、教会の手作り運動を推し進めていこうと言うことです。神様と私達の間に流れている愛、各自の神様との出会い、体験の積み重ねが霊性の高まりとなります。人と人との交わりも愛の交流によって成り立っています。同じ体験を持ったもの同志、神様を核とした体験をお互いに話し合い、証しをしあうことによって同じ信仰を持ったもの同志の横の結びつきも強くなりますし、自分の信仰を強めることにもなります。同じ核の体験を持ったもの同志の輪がいくつもでき、輪と輪との間も信仰によって結ばれ、輪の外にも証しの流れが溢れ出し現代社会と生活に合った信仰様式を生み出そう等です。
声明を受けた全国会議の課題は、3つの柱と9つのテーマに分かれています。
1つ目の「日本の社会とともに歩む教会」は、大げさに考えなくても、社会の一員として身近なことから、信仰の目で見て、何ができるか。
2つ目の「生活を通して育てられる信仰」は、職場、家庭、学校で、信仰の立場を自分自身の心の中で明確にし、行動して信仰を育てていくにはどうすればよいのか。
3つ目の「福音宣教をする小教区」は、教会の中でどのようにすれば教会がより良い方向に向かえるか等です。
代表者のかたがたがこれから討論していかれるのでしょうが、私達も代表者にまかせるだけではなく、カトリック新聞・教区ニュース・各教会の広報誌等から全国会議に向かっての教会全体の動きをつかみ、私ならどうするか、何ができるか等を考え、友達同志で又グループで話し合ってみて下さい。

あとがき

春の訪れと共に、もうすぐ今年も卒業式のシーズンがやってまいります。ここ関口の聖マリア大聖堂におきましても3月15日(日)に叙階式が行われます。フレッシュマンとは言え、一般企業とは、年齢的にかなり差がございますが、頭と心は常にフレッシュであってほしいと願っております。神の召し出しを受け、多くの事を学んで来られ、長い準備期間も終盤に指しかかり、この度、叙階の秘跡を受けられる方々は、7名。豊かな人材に恵まれました事は、神に感謝するばかりでございます。神のお力なくしては、何も語る事はできませんが、ある荘厳なる叙階式、クリスマスや復活祭の荘厳さとも違うあの雰囲気、是非是非身をもって体験してみて下さいますように。森司教叙階式の時、大聖堂が大勢の人であふれました。その時は、我が身が震えるのを覚えておりますが、それは2月という寒さゆえだけではなさそうです。目で見た光景、そして肌で感じる空気の流れと声の響き、今年の叙階式を前にして、新しい歌ができました。

揺らぐことのない主の道を苦しむ事で与えられ主のいつくしみを知りました
揺らぐことのない主の道を悲しむ事で与えられ愛する心を知りました
揺らぐことのない主の道を失なう事で与えられ感謝の心を知りました
あなたをたたえます アレルヤ、アレルヤ……

今年も歌える事を神に感謝し、新司祭にアレルヤ!

今月の編集、Sr佐藤、渡部、阿部、田辺、宮沢、坂井、国富、市川師。