大司教
週刊大司教第百二十二回:復活節第四主日
2023年05月01日
復活節第四主日です。善き牧者の日曜日です。
また教会はこの日を、世界召命祈願日と定めています。東京教区では、教区の一粒会が、この日にカテドラルで召命祈願ミサを捧げていますが、この3年はパンデミックの影響で開催できていませんでした。
メッセージでも触れていますが今年は、4月30日午後2時半から、東京カテドラル聖マリア大聖堂で、従来通り捧げることができることになりました。司祭・修道者の召命のために祈るとともに、同時にキリスト者としてのすべての人への神の呼びかけに、ひとり一人が勇気を持って応えることができるように、ミサに参加される方も、参加されない方も、お祈りをお願いいたします。
教皇様の今年のメッセージは、発表が大きくずれ込んだため、中央協議会事務局で現在翻訳中です。翻訳ができ、こちらに今年のメッセージが掲載されています。
以下、29日午後6時配信の週刊大司教第122回、復活節第四主日のメッセージ原稿です。
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復活節第四主日
週刊大司教第122回
2023年4月30日前晩
教会は復活節第四主日を、世界召命祈願日と定めており、司祭や修道者への召命のために特に祈りをお願いする日としています。今年は2019年以来四年ぶりに、東京教区の一粒会が主催して、神学生や志願者と一緒に、召命祈願ミサがささげられます。
あらためてみなさまには、司祭や修道者への召命のために、またその道を歩んでいる神学生や志願者のために、お祈りくださるよう、お願いいたします。
また、召命を語ることは、ひとり司祭や修道者への召命を語ることにとどまるのではなく、すべてのキリスト者、特に信徒に固有の召命を語ることでもあります。
第二バチカン公会議の教会憲章には、こう記されています。
「信徒に固有の召命は、現世的なことがらに従事し、それらを神に従って秩序づけながら神の国を探し求めることである。自分自身の務めを果たしながら、福音の精神に導かれて、世の聖化のために、あたかもパン種のように内部から働きかけるためである」(31)
「自分自身の務めを」社会の中で果たしながら、「パン種のように内部から働きかける」召命を生きる人がいま必要です。「福音の精神に導かれて、世の聖化」のために召命を生きる人がいま必要です。召命は、特別な人の特別な役割のことだけを語っているのではなく、すべてのキリスト者に与えられている使命について、責任を持つようにと求めるものです。
ヨハネ福音はよい牧者であるイエスの姿を記します。羊はよい牧者の声を聞き分け、従うことで、救いへとつながる羊の門へと導かれます。よい牧者であるキリストの声を聞き分け、よい牧者が示す道を見いだし、それをすべての人に届けるためには、一人ひとりのキリスト者の働きが必要です。暗闇に彷徨う多くの人に、永遠のいのちへとつながる道を示すのは、わたしたち教会の務めです。
互いへの信頼が失われ個人主義の深まる社会にあって、パン種のように、「神に従って秩序づけながら神の国を探し求める」召命に生きる人の存在が、これまで以上に必要です。たとえ一人の働きは小さくとも、まさしく小さなパン種がパンを大きく膨らませるように、その働きは福音宣教に大きな実りを生み出します。
牧者であるキリストの声が、社会に大きく響き渡るように、すべての人に届くように、努めましょう。世の終わりまでともにいてくださる主に信頼しながら、その声がすべての人の心に響き渡るように、わたしたち一人ひとりに与えられている召命を見つめ直してみましょう。