大司教

週刊大司教第百二十三回:復活節第五主日

2023年05月08日

復活節第五主日です。

ご存じのように今年の10月には、ローマでシノドスが開催されます。このほど確定した日程が公表され、シノドスはまず、9月30日(土)にエキュメニカル祈祷会で始まり、9月30日から10月3日までが参加者全員の黙想会、そして10月4日から29日までが実際の討議となります。

正式な参加者リストは、これから教皇様の裁可を経て、後日公表されるとのことですが、すでに報道されているように(ヴァチカンニュースの英語版です)、参加者には各国の司教協議会から選出された司教以外にも、70名の司祭・修道者・信徒の代表が参加することになります。また教皇様はこれまで司教に限定されていたシノドスでの投票権を、司教以外の参加者にも認める決定をされ、すでにシノドス事務局の次官として女性・修道者で初めて投票権を持つことが決まっていたシスター・ナタリーに加えて、投票権の範囲が広がることになりました。

それぞれの大陸別司教協議会連盟にはリストを作成するように指示が出ており、私が事務局長を務めるFABC(アジア司教協議会連盟)でも候補者リストを作成しているところです。これから準備される世界から集まる140名の候補者リストから、教皇様が、70名を選択することになります。

とはいえ、9月30日から10月29日まで、仕事や学業を休んでローマにいることになりますから、司祭・修道者・信徒からの候補者選びは、それは簡単なことではありません。

よりよい参加者の選択がされますように、お祈りください。

以下、6日午後6時配信の週刊大司教第123回、復活節第五主日のメッセージ原稿です。
※印刷用はこちら
※ふりがなつきはこちら

復活節第五主日A
週刊大司教第123回
2023年5月7日前晩

「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、誰も父のもとに行くことができない」

私たちの主イエスは、すでにできあがっている地図に基づいて道を案内してくれるいわばカーナビのガイドなのではなく、ご自分こそが何もないところに新たに切り開かれていく「道」そのものであるのだと、自ら宣言されます。

すなわち、御父へと至る道は、すでに存在している道ではなくて、新しい道、しかもイエスご自身が先頭に立って切り開いて行かれる新しい道であります。イエスは、その新しい道こそ真理であり、そこにこそいのちがあるといわれます。わたしたちは、すでにあり、よく知っているからこそ、不安なくたどることのできる道に安住しがちであります。すでによく知っているからこそ、そこにこそ安心があり、いのちがあると思い込んでしまいます。しかし主は、常に新たにされる道であるご自身を、ともにたどるように、招いておられます。未知への旅立ちを促します。

わたしたちは御父へと至る道を、一人で勝手に歩むことはできません。イエスご自身しか、その新しい道を知らないからです。ですからイエスに付き従って、歩み続けなければなりません。そのためにもイエスがともにおられる、共同体の存在は不可欠なのです。「わたしのいるところに、あなた方もいることになる」と、福音に記されているように、主は信仰の共同体とともにおられます。わたしたちが歩むいのちに道は、共同体の交わりの道であります。

初代教会が発展してきた頃に、その実際の運営を巡って対立と混乱が生じたと、使徒言行録に記されています。そこで教会共同体は進むべき道を識別します。教会の新たなあり方を定めていったのです。聖書に記された教会の最初の改革です。神の言葉を告げしらせることこそ優先すべきことであると識別した教会は、そのための制度を整えたことで、さらに発展を遂げていきました。

現代を生きる教会も、「神の言葉をないがしろにして」はなりません。神の言葉をさらに多くの人たちに告げていくために、教会のあり方を常に見直す必要があります。シノドスの道はそのことを求めています。いま教会は変革のときにあります。