大司教
主任司祭の着任式@六本木
2022年09月02日
8月28日の日曜日、午前11時から、六本木にあるフランシスカン・チャペルセンターで、新しい主任司祭の着任式ミサを捧げました。
フランシスカン・チャペルセンターは、英語を使う共同体の小教区で、その名の通り、フランシスコ会が司牧を委託されています。これまで主任を務めたラッセル・ベッカー神父様に代わり、クリフォード・アウグスティン神父様が主任司祭として着任されました。クリフォード神父様は、シンガポールからの派遣です。
主任司祭の着任式を司教や地区長の司祭が司式して行ったりするのは、欧米ではしばしばありますが、日本ではあまり行うことはありません。多くの場合、人事異動が復活祭後に集中するので、司教や司教総代理などの教区役職者の数では間に合わないのが理由でしょうが、これを行うこと自体には大きな意味があると思います。それはただ、小教区を管理する神父が送られてきたということではなくて、まさしく、小教区共同体と「ともに歩む」牧者が新たに誕生したのですから、司祭も小教区共同体も、互いに、共同体の方々を知り、牧者を受け入れ、ともに歩む決意を新たにし、聖霊の導きを共に祈ることには大きな意味があると思います。
この日は米国での儀式書に倣い、新主任司祭は司教から委任された務めに励むことを誓い、共同体の責任者を紹介され、迎え入れられ、その上で、新主任司祭が聖体祭儀を司式しました。
この日、私からクリフォード神父様には象徴的に手渡しをしましたが、司祭が教区内で司牧の務めにあたるには、権限を教区司教から委任される必要があります。司祭が、例えば黙想会に呼ばれたり、行事に呼ばれたり、旅行中に立ち寄ったりして、一時的に司祭の務めを果たすには、その場の主任司祭や修道会などの上長の一時的な許可があれば充分ですが、定期的に司牧の務めを果たすためには、その地の司教(裁治権者)からの権限委任がなければなりません。これは主任司祭や助任司祭などに任ぜられる司祭だけでなく、教区内で聖職者が適法に使徒職を果たすために不可欠な権限委任です。
この司教からの権限の委任を公式に記しているのが、「権限委任書(Pagella Facultatum)」と呼ばれる文書です。ラテン語が正文で日本語の訳がついています(ラテン語部分だけでも4ページあります)。わたし自身もこれまで8年間働いたガーナや、半年間だけお世話になったオーストラリアのメルボルンなどで、それぞれ居住する教区の司教様からそれぞれの権限委任書をいただきました。権限委任書に記されている通り、「司祭が本教区を決定的に離れるとき」には消滅しますので、それ以降定住するか、または定期的な使徒職を遂行する教区の司教様から、あらためて権限委任書をいただかなくてはなりません。教会は、司祭叙階だけで、あとはどこでも勝手に司祭としての使徒職を遂行することはできない仕組みになっているのです。それは、教会が個人プレーヤーの集まりではなくて、ペトロの後継者である教皇様と共にある共同体であり、その中心におられる主ご自身と一致して「ともに歩む」神の民であるからに他なりません。
クリフォード神父様の新しい任地である六本木のフランシスカン・チャペルセンターにおける今後の活躍に期待し、これまで同様に、素晴らしい共同体を育て、ともに歩み、また牧者として導いてくださいますように。
クリフォード・アウグスティン神父様、東京へようこそ。