教区の歴史

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臨時世界代表司教会議(臨時シノドス)報告

2014年10月29日

(2014年10月29日 東京教区司祭研修会資料)

 
会議はバチカンで2014年10月5日より19日まで開催された。カトリック教会の代表司教だけでなく、正教会(オーソドックス)からも参加があり、さらに信徒夫婦の「証し」のプログラムも組まれていた。

会議は全体会議と言語分団会議に分かれて行われ、18日には2つの文書を採択した。即ち、ひとつは世界中の「神の民」に向けてのシノドス参加司教のメッセージ、もうひとつは「レラチオ・シノディ(relatio synodi)」という表題のシノドス最終報告書で、これらは2週間にわたる司教たちの討議結果のまとめであり、教皇に提出された。

今回のシノドスは自由な雰囲気の中で率直な意見が表明された。この最終報告書を元に各国の司教協議会は1年掛けて来年の通常シノドスへの準備をすることになる。

会議では、内容は少しずつ異なるにせよ、世界中の家庭が深刻な問題に直面していることが報告された。

まずカトリック信者が受けている迫害、イラクやアフリカの国々の一部では、カトリック教会の信徒を始めとするキリスト教徒が信仰の自由が侵され、重大な人権侵害を受けている。また、中米やアフリカの国々より極度の貧困の状況が報告された。

五大陸の教会から、結婚をめぐるさまざまな問題が報告された。問題の多くは、いわゆる「変則的結婚(irregular marriage)」についてで、民法上でも教会法上でも、正式に結婚しないで同居している人々が増えているという。

破綻した結婚のことも司教たちの重大な関心を引いている。不幸な結婚の状態にある人々への司牧が熱心に話された。またいわゆる混宗婚、異宗婚についても課題として取り上げられたことは、日本の教会にとってもありがたいことであった。

結婚をめぐる問題の一つが婚姻の「無効宣言」という問題。日本のカトリック教会からも、無効宣言手続きの簡略化と迅速化の要望が提出された。善処するという応答が期待される。

最も白熱した論争点は、「離婚者の再婚と聖体拝領」という問題。婚姻の無効宣言あるいは取り消しなしに再婚した者は、キリストの「からだ」である聖体を拝領できないことになっている。この点について多くの熱心な発言があり、東方教会での司牧上の解決法も紹介された。各国の司教協議会ではこれからの1年間、特にこの問題を話し合うことになる。

日本ではほとんど見られない「変則的結婚(irregular marriage)」の中に「同姓婚」がある。ヨーロッパや北アメリカでは大きな課題となっているよう。またアフリカの国々より「一夫多妻あるいは一妻多夫(polygamy)」の存続に苦慮しているという話があった。

女性差別と女性への暴力、人身売買、子どもの虐待など、痛ましい現実、また個人主義と金銭崇拝の蔓延が世界共通の現象になっていると感じる。

シノドスの中で、議論している内容についても情報公開が問題とされ、おおむね、できるだけ参加司教たちの議論は人々に知らせるべきであるという意見が多数であった。

移住者の直面している課題、また親子の問題、高齢者の問題についての言及が少なかったのは残念。

参加司教たちは二つの立場に揺れながら議論が進んだという印象である。即ち、牧者として、苦しみ、傷ついている疲れた家庭の人々を慰め、励まし、助け、希望を与えたいという気持ち。他方、キリストの教えを深め、それを伝え守らせなければという立場である。この葛藤は離婚・再婚者の聖体拝領の是非に如実に示された。ヨハネ福音書の「サマリアの女」の話(4章)または同8章の姦通の女の話を引用した司教が多かったと思う。

18日午後、参加司教によりシノドス最終報告書の承認を問う投票が行われた。この文書は62項目に分かれているが、項目ごとに62回の投票が求められた。52番は離婚・再婚者についての項目では、70票以上の反対が表明された。投票結果も添えて公表されている。