教区の歴史

教区の歴史

東京教区合同堅信式説教

2011年06月12日

2011年6月12日 東京カテドラル関口教会にて

 

第一朗読 使徒たちの宣教(使徒言行録2・1-11)

第二朗読 使徒パウロのコリントの教会への手紙(一コリント12・3b-7,12-13)

福音朗読 ヨハネによる福音(ヨハネ20・19-23)

 

皆さん、聖霊降臨の日を迎えました。今日は、聖霊がいわば、「主人公」である日です。

わたしたちは「父と子と聖霊」の三位一体の神を信じています。

わたしたちは、子である主イエスについては、福音書を通して非常に生き生きとしたイメージを持つことができます。また父である神は、いつも『主の祈り』などの日々の祈り、ミサなどで祈りをおささげしていますので身近に感じています。しかし聖霊についてはどうでしょうか?聖霊は「火」、あるいは、「鳩」というシンボルで示されていますが、その顔が見えません。聖霊についてどう考えたらいいのでしょうか?

聖霊とは神の息です。人間の息は、目には見えませんが、確かに息は存在しています。同様、神の息は見えませんが確かに存在し働いています。神はご自分の息で世界を創造し、人間を造り、また絶えず世界を新たにしています。最後には世界は聖霊の働きによって神の御心にかなう存在に変えられるでしょう。

また聖霊は主イエス・キリストの霊です。キリストは聖霊降臨のときに使徒たちにご自分の霊を注ぎ、教会を設立しました。使徒たちは聖霊を通して罪の赦しを受け、今度はさらに聖霊の働きによって人々へ罪の赦しをもたらし伝えるために派遣されました。いま教会は全世界に広がる、大きな神の家族となっています。

さてこのわたしたち教会のメンバーの間には互いに違いがあります。そもそもこの地上には、まったく同じという人は存在しません。神はそれぞれの人を互いに違う存在としてお造りになりました。それは人間の体にいろいろな部分があることに似ています。人間には、手と脚、目、耳、口・・・の種々の部分がありそれぞれの働きがあります。

教会も同じようにそれぞれ違う働きをする人々から成り立っています。

今日堅信を受けられる皆さん、神があなたに望んでおられる働きは何ですか?他の人とは違うあなたの役割は何でしょうか?今日はそのことをよく考えてください。自分は何をするためにこの世に生を受け信者になったのでしょうか?わたしたちの間に違いがあるのは何故でしょうか?

それは、互いに助け合い尊敬しあいながら、美しい世界を建設するためである、とわたくしは思います。

今日はこれから堅信式が行われます。堅信を通して、神はそれぞれの人が自分の役割をよく果たすことができるよう、聖霊の7つの賜物を授けます。それは、知恵と理解、判断と勇気、神を知る恵み、神を愛し敬う心、です。

このなかに知恵と勇気が含まれています。

実は、わたくし、今年の年賀状に次の祈りを記しました。静けさの祈り(Serenity Prayer)という祈りです。

神さま、わたしにお与えください、

変えられないものを受け入れる心の静けさを、

変えられるものを変える勇気を、

そしてその二つを見分ける知恵を。

(ラインホールド・ニーバーと言う神学者の作と伝えられています。)

2011年は図らずも東日本大震災の年となりました。この困難に立ち向かうためには知恵と勇気が必要です。あらためてこの祈りを、堅信を受ける皆さんに差し上げたいと思います。