教区の歴史
歴代大司教追悼ミサ説教(主の昇天)/講話「歴代東京大司教と東日本大震災」(要点)
2011年06月05日
2011年6月5日 築地教会にて
第一朗読 使徒たちの宣教(使徒言行録1・1-11)
第二朗読 使徒パウロのエフェソの教会への手紙(エフェソ1・17-23)
福音朗読 マタイによる福音(マタイ28・16-20)
今日はミサのなかで、ピエール・マリ・オズーフ大司教様をはじめ、歴代の東京大司教様方の追悼を行います。
オズーフ大司教様は1906年6月27日に帰天されました。お墓は東京の青山霊園にあります。(以下は、講話要点を参照してください。)
さて、主イエスは復活後40日間にわたり弟子たちに現れ、十字架に架けられて殺されたナザレのイエスは確かに生きている、ということを弟子たちに知らせたのでした。
復活されたイエスの出現の期間は40日です。しかしそれ以後もイエスは教会にとどまっています。今日のマタイの福音で、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」といわれました。
イエスはもはや人間として地上にはとどまっておりません。またマグダラのマリア、エマオへの道を歩む弟子にあらわれたイエスは、その後、もはや復活の姿をとって人々に現れることもありませんでした。
聖母マリアのご出現の話はたびたび聞きますが、キリストのご出現の話はありません。
しかし実は、キリストは秘跡を通し、み言葉を通し、また貧しい人を通してわたしたちに現れ、わたしたちと会ってくださっているのです。わたしたちとキリストとの出会いは信仰による出会いです。イエスは、イエスを信じるわたしたちと共に世の終わりまでいてくださいます。
イエスは時間を超え時間を超えていつもわたしたちと一緒にいてくださいます。どうしてそのようなことができるのでしょうか?それは聖霊の派遣によって可能となるのです。
来週の日曜日はいよいよ聖霊降臨の主日です。聖霊はイエスを信じる者に働きかけ、復活のイエスの存在を人々に指し示します。使徒言行録は目覚しい聖霊の働きを示しています。まさに使徒たちの働きの主人公は聖霊でした。
教会の歴史を見ると、聖霊の働きが顕著に見られた時代があり、他方聖霊の働きがはっきりとは見えない時もありました。教会が、復活のキリストの明確で輝かしいしるしであった時があり、他方、暗く、今にも消えそうな弱々しい明かりでしかない時もありました。
「主の昇天」はもはや主は人間の姿を取って地上に現れることはないという主の別離のしるしでもあります。一方、主イエスが聖霊を派遣し、聖霊と共にわたしたちを動かし導き励ましてくださることを約束された時でもあります。
「主の昇天」はわたしたちに信仰を求めます。信仰が必要です。すでに昇天のときですら「しかし、なかには疑う者もいた」とマタイが告げています。
東日本大震災から3ヶ月、わたしたちは信仰と希望を新たにするように求められています。
今日の集会祈願で祈りました。
「全能の神よ、あなたは御ひとり子イエスを、苦しみと死を通して栄光に高め、新しい天と地を開いてくださいました。主の昇天に、わたしたちの未来の姿が示されています。キリストに結ばれるわたしたちをあなたのもとに導き、ともに永遠のいのちに入らせてください。」
わたしたちは「新しい天と新しい地」に招かれているのです。「新しい天と新しい地」はこの世界が完成したときの状態、神の創造の完成の世界を示しています。(そして、そのようなことを述べる箇所は黙示録21・1、ペトロの手紙二ペトロ3・13、イザヤ65・17,66・22に出てきます。)
「新しい天と新しい地」に向かい、希望をもって歩みましょう。そして、来週の聖霊降臨に向かって、聖霊の豊かな賜物を祈り求めましょう。特に困難に際して、あなたのみ旨を行うことができるよう、知恵と勇気をお与えください、と主なる神に祈りましょう。