教区の歴史

教区の歴史

洗足教会ミサ説教(年間第6主日)

2011年02月13日

2011年2月13日 洗足教会にて

 

第一朗読 シラ書(シラ15・15-20)

第二朗読 使徒パウロのコリントの教会への手紙(一コリント2・6-10)

福音朗読 マタイによる福音(マタイ5・17-37)

 

今日の福音は有名な山上の説教、マタイの5章です。

イエスは言われました。

「わたしが来たのは・・・律法や預言者を廃止するためではなく、完成するためである。」

そして繰り返し言われました。

「あなたがたも聞いている通り、昔の人は(中略)と命じられている。しかし、わたしは言っておく。・・・」

しかし、の後の教えがイエスの新しさを示しています。

集会祈願の中で祈りました。

「いのちの道を示してくださる神よ、あなたは旧約の民にお与えになった律法を、御子キリストの生涯によって完成されました。」

人間として心がけるべき戒めはどの宗教にも掲げられています。高尾山の参道に大きな掲示板が設けられていて、そこの「十善戒」という教えが書いてあります。わたしたちには十戒がありますが、こちらは十の善い戒めです。紹介します。

不殺生 ふせっしょう むやみに生き物を傷つけない

不偸盗 ふちゅうとう 盗まない

不邪淫 ふじゃいん  男女の道を乱さない

不妄語 すもうご   うそをつかない

不綺語 ふきご    無意味なおしゃべりはしない

不悪口 ふあっく   粗暴なことばを使わない

不両舌 ふりょうぜつ 中傷しない

不慳貪 ふけんどん  物に執着しない

不蹎恚 ふしんに   怒らない

不邪見 ふじゃけん  まちがった考え方をしない

この十の戒めの中で、四つが言葉に関するものであります。

不妄語。うそをつかない、正直に話そう。

不綺語。無意味なおしゃべりをしない。逆に言えばよく考えて話そう。

不悪口。わるくち、汚いことば、乱暴なことばを使わない。美しい言葉、優しい言葉を話そう。

不両舌。二枚舌はいけない。人の仲を裂く言葉は使わない、言い換えれば思いやりのある言葉を話そう、という意味だそうです。

言葉を使って生活し、仕事をしているわたくしたちはこの四つ言葉に関する戒めを大切にしなければならない、と思います。

ヤコブの手紙の中で次のように言われています。

「言葉で過ちを犯さないなら、それは自分を完全に制御できる完全な人です。」(3・2)

今日の福音でイエスは

「一切誓いを立ててはならない」

と言っていますが、どういうことでしょうか?あらゆる誓いを禁じているのでしょうか?法廷で宣誓してはならないのでしょうか?修道誓願はしてならないのでしょうか?そうではありません。主の名をもって誓いさえしなければ守る義務はない、と考えて、天や地を指して軽々しく誓っていた当時のユダヤ教の人たちの誓いをさして、そのような誓いをしてはならない、といわれたと考えられます。

神の十戒の第8は

汝偽証するなかれ(隣人に関して偽証してはならない)

です。

嘘をつかない、真実を述べる、約束は守る・・・人間として非常に大切なことです。しかも言ってはならないことは言わない、守秘義務を守る、という場合もあります。

秘密は守る、しかし嘘はつかない。これは時として非常に難しいです。

わたしたちは自分の言葉に責任を持たなければなりません、しかも口から出る言葉は、曖昧さのない、判然として明確な表現であるべきです。

まさに

『然り、然り』『否、否』

でなければならないのです。自分の言葉に誠実である恵みを願って祈りましょう。