教区の歴史

教区の歴史

年末聖職者の集い・Te Deumの集会における説教

2009年12月26日

2009年12月26日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

今年もおかげさまでTe Deumの集会で感謝の祈りを捧げることが出来ます。2009年の教区の歩みを支え導き、力を尽くしてくださったすべての皆さん、特に司祭の皆さんに心から御礼申し上げます。

2009年は教皇ベネディクト16世の世界平和の日のメッセージ「貧困と闘い、平和を築く」で始まりました。日本では『年越し派遣村』が設置されたことはまだわたしたちの記憶に新しい事であります。貧困との戦いは実に人類の大きな課題であります。東京教区の平和旬間も「貧困と闘い、平和を築く」という教皇様の呼びかけに応えるものでありました。

他方、教区本部事務局からみれば、司教館と教区本部事務所の移転、そして病気との闘いの年であったといえます。白柳誠一枢機卿様が8月初めに入院されました。多くの司祭が今なお病気と闘っています。司祭の高齢化が顕著であり、疲れた司祭が増えているこの1年です。また3年間、東京教区の神学生の入学はありませんでした。これは実に容易ならぬ事態です。

おりしも今年の6月19日(イエスのみ心の祭日)から来年の6月11日(イエスのみ心の祭日)までは司祭年であります。わたしたち真剣に司祭の心と体の健康の問題を考えなければなりません。司祭の休養、休暇、サバティカル、司祭の年の黙想、司祭の月例集会などの在り方を根本的に見直さなければならないと思います。来年度の司祭評議会にはこの課題の検討をお願いします。

そしてさらにわたしたち司祭の日々の霊的生活の真剣な反省が必要であります。今の時代、若者たちはわたしたちを見て、司祭になりたいとは思わないだろうと言った人がいます。そうかもしれません。今、実にわたしたち自身の生き方、在り方が問われています。わたしたちの霊性が問われています。司祭職の危機は日本だけではなく世界規模の現象ではないかという気がします。

FABC(アジア司教協議会連盟)の聖職者局Office of Clergyでも、司祭について、次のような問題点が指摘されています。

司祭の務めへの熱意の欠如、自己の霊的生活への無関心、司教への協力と忠実の問題、司祭団諸行事への参加の低下、自己の説明責任の欠如、性的問題への関与、自分に委ねられた信徒を司牧するに際しての未熟さ、など。

2010年は東京教区の司祭の安息年にしたいと思います。安息年は、司祭の反省と休息、回心、祈り、学びの年であります。カテドラル構内再構築は今進行中です。新しい司祭の家は来年11月には完成の予定です。それにあわせてわたしたち司祭団の再構築がおこなわれなければならないと考えます。

主なる神が私たちに聖霊を送り、わたしたちを清め、わたしたちを照らし、わたしたちを謙虚な神の僕として生き返らせ、知恵と勇気に満たされた奉仕者としてくださいますよう、祈ります。