教区の歴史

教区の歴史

東京教区合同堅信式説教

2009年05月31日

2009年5月31日 聖霊降臨の主日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

今日は2009年の聖霊降臨の主日です。教会は聖霊降臨の日に誕生しました。使徒たちの上に聖霊が下り、聖霊の導きによって使徒たちは主イエスの教えを深く悟り、力強く福音を述べ伝え、イエス・キリストの死と復活を証ししました。

今日はこれから合同堅信式が行われます。堅信の秘跡は、使徒たちが受けた恵みと同じ恵み、使徒としての務めを果たすための恵みを授ける秘跡であります。

使徒とは遣わされたものという意味です。わたしたち東京教区は東京都と千葉県を担当しています。わたしたちはここに派遣されているのです。それは使徒として福音を述べ伝え、またこの社会を神の御心に適った社会に変えていく努力をするためです。

なすべきこと、課題は多いのですが、東京教区は3つのことを優先課題にしています。 

まず第1に、わたしたち教会のメンバーは生涯にわたって霊的に成長していかなければならない、ということです。今日の使徒パウロの教えを思い出してください。わたしたちは同じ神の霊を受けてキリストの体です。体には色々な部分がありますがひとつの体を造っています。務めは色々ですが同じ霊の働きです。教会には信徒、司祭、修道者(奉献生活者)などの身分があります。それぞれが異なった召命を受けています。私が特に最近強く感じているのは、司祭と信徒の協力が大切であるということです。司祭と信徒はお互いの立場を尊重し、相手の意見を傾聴し、よく理解しあうように努めなければなりません。広い心で受け入れあい、力を合わせてキリストの体である教会をキリストの背丈に達するまで成長させたいものです。 

第2は、普遍の教会としての成長です。聖霊降臨の出来事が示しているように、本来教会は民族、文化、言語、国籍を超えた神の民であります。2千年の間に教会は世界に広がり、多くの民族、国民から構成される神の民として成長してきました。

今、日本のカトリック教会の現状を見ますと、信者の半分は外国籍の人です。東京教区の登録信者は9万人あまりですが、それ以上の人数の外国籍の信者が在住していると思われます。東京教区には外国から移住してこられた方々を支援するために、カトリック東京国際センター(CTIC)があり、生活支援と司牧を行っております。来年2010年はちょうど創立20周年にあたります。CTICは外国人司牧のために重要な役割を果たしていますが、外国人司牧はCTICだけの任務ではなく教会全体の働きです。特にいわゆるダブルの子の教育が非常に大切な課題です。両親が頃なる文化、民族に属する子どもたちの教育です。 

第3は、心の問題です。心の問題や心の傷をもつ人を支え、助け、癒す。あるいは助け合い、支え合うということは本来教会の使命です。主イエスは実に癒しの人でありました。今この課題を特に優先課題として取り上げるのは「時のしるし」が見えるからです。多くの人が過重なストレスに苦しみ、心に傷を持ち、迷い、悩んでいます。教会こそ荒れ野の泉、オアシスにならなければなりません。人は癒しと支えが必要です。そのためにできることが色々考えられます。日常の小さなことを積み上げていきたいと思います。

東京教区には財団法人「東京カリタスの家」があり、家族福祉相談室を設けて、この課題に取り組んできました。

また本年は9月より3回にわたり麹町教会で「心のセミナー」の連続講演会が予定されています。うつ病、統合失調症、トラウマの3つのテーマを取り上げる予定です。多くの方々の参加をお願いします。 

昨年の11月24日、日本の殉教者188人が列福されました。400年前の教会は実に立派に信仰の証しをしていたのです。それでは、現代のわたしたちの教会はどうでしょうか?どのようにしたら多くの人々に、救いのメッセージ、喜びの便りを伝えることができるでしょうか?わたしたちには何が足りないのでしょうか?わたしたちはどう変わらなければならないのでしょうか?人を変えるためにはわたしたち自身が変わらなければならないと思います。 

実は大司教館が今日最後の日を迎えました。大司教館とペトロ館の建っているところに新しい司祭の家が建つことになっています。明日から建物を業者に引き渡します。此処で仕事を寝起きしたものとして深い感慨に耽っています。

建物は新しくなります。しかしわたしたち自身が新しく生まれ変わらなければ何にならないでしょう。

聖霊の恵みを受けてわたしたちが新しく生まれ変わり、現代の社会において、力強く復活したキリストを宣べ伝えることができますよう、祈りましょう。

今日、堅信を受けられる皆さん、是非このことを深く心に刻んでいただきたいと思います。