お知らせ
東京教区ニュース第172号
2000年05月01日
目次
- ◇ 「新しい千年期の教会づくりに向けてのアンケート」 森司教司祭月集で集計結果を試分析
- ◇ プロテスタントの洗礼の有効性について
- ◇ 終身助祭説明会行われる
- ◇ 東京教区役職
- ◇ マタタ神父のインタビュー チェレスティーノ神父を訪ねて
- ◇ フランシスコ会叙階式
- ◇ 東京教区生涯養成委員会主催 第6回小教区を支える信徒のための研修会 「新しい千年期の小教区共同体を考える」
- ◇ 生涯養成コース研修会 -私たちは「マリア」をどのように理解しているか-
- ◇ 〈広報の日 特別企画〉1999年度 『日本カトリック映画賞』授賞式および上映会―今年より『日本カトリックビデオ賞』も新設―
- ◇ CTIC
- ◇ 第3回YGTについてお知らせします
- ◇ 新しい世紀における教会の展望(ヴィジョン)
- ◇ 大聖年・中高生の集い
- ◇ 教会学校リーダー研修
- ◇ 教会・修道院巡り(77) 『鴨川教会』
- ◇ 東京教区生涯養成委員会主催 一泊交流会のお知らせ
- ◇ お知らせ
- ◇ 五日市霊園をご利用の皆さまへ
- ◇ 天国のわが輩はペトロである(15) O神父の離島ミッション珍道中(5)
- ◇ 編集部から
- ◇ VIVID
「新しい千年期の教会づくりに向けてのアンケート」 森司教司祭月集で集計結果を試分析
昨年末実施された「新しい千年期の教会づくりに向けてのアンケート」の集計結果が出された。このアンケートは、「小教区の統廃合」についての信徒たちの意識および認識をさぐり、教区全体の関心を高め、議論を始めていくためのきっかけを作ろうという、意図のもとに行われたもの。回答数は、3898通であった。3月の司祭月例集会で、森一弘司教が、「試分析」として集計結果を解説した。宣教司牧評議会で、あらためて詳しい分析が行われ、発表されるだろうが、とりあえず森司教の解説の要点をお届けする。
1、すすむ高齢化
回答者の年齢を見ると、50代以上が、全体の70%近くを占めている。いわゆる働きざかりの30代・40代の回答者が少ないということは、教会にも、高齢化の波が着実に及んでいることを示している。また一方では、回答者の過半数が女性でありながら、教会委員の役割を担っているのは男性が多いため、回答に女性の意見が反映されない、という結果になったことも、見過ごしてはならない。あらためて、女性の意見をくみ上げる配慮が求められる。
2、問われていたのは、「制度としての小教区」
「あなたは小教区のあり方に満足していますか」という問いは、設問が不明瞭であったために、結果的に、自分が所属している小教区に対する満足度と、とられてしまったようである。普通と答えた人を入れると、回答の90%が肯定的であり、この数字は、期せずして、小教区が制度として受け入れられていることを示している。しかし、あくまで、小教区のあり方に関する見解ではなく、自分にとっての満足度であることを忘れてはならない。
3、求めているのは人間関係
満足の理由を見ると、教会が「家庭的である」とか「あたたかい雰囲気」が、多数を占めている。反対に、不満足の理由には、「お互いが疎遠」とか「閉鎖的」が上位にあがっている。満足・不満足に人間関係が大きく関わっている。人を受け入れ、人に受け入れられ、癒しと安らぎが与えられる場を求めている、現代人の渇きが見え隠れしている。
4、寂しい近隣小教区関係
自分と小教区との関係に関しては、積極的に出た意見も、近隣の小教区との関係となると、とたんに沈黙してしまう。近隣小教区との協力関係の設問に、無回答が目立った。これは、ただ信徒の「内向き」傾向を表わしているということだけでなく、ブロック制度や地域協力体が上滑りして、「知る人は、知る、知らない人は、全く知らない」状態を、反映しているといえるのではないだろうか。
5、「私は、どこの地域協力体だっけ」
自分が属する地域協力体に関して、約半数がきちんと答えている。これは、地域協力体制度が認識されてきたととるべきか、答えるために、聞いたり、調べたりした結果ととるべきか、今のところなんともいえない。
6、10人に1人は、よその教会に
「あなたは、本来籍を置くべき教会に行っていますか」という設問に、約八割が、「はい」と答えている。しかし、10人に1人は、本来籍を置くべき教会に行っていない。しかも、本来籍を置くべき教会が、あることを理解しながら、別の教会に行っているということは、何を意味するか、またこれを評価するかは、小教区の統廃合を考えていく上で、重要な課題である。
7、小教区の将来はどうなるのか
このままいくと、小教区の将来はどうなるのか、という設問に対し、約70%の人が、不安を感じている、という結果が出ている。不安というのは、今までのようにはいかないという不安である。信徒の高齢化や、司祭不足も、視野に入っての反応である。というのは、この回答者が、50代、60代に多いということ、つまり、現在の教会を、具体的に支えている世代に多いということである。教会の現実を、本当に知っている人が感じる将来への不安こそが、小教区の統廃合を含めた、教区の改革への大きな手がかりになっていくのではないかと思われる。
8、反応のない若い世代
このままでは近い将来、教会が立ち行かなくなるのではないか、という深刻さに対し、若い世代ほど、反応が薄いということは、何を意味するのか。いわゆる若い層の教会離れの表われなのか、「なるようになるさ」「あわてたって何がどうなるものでもない」という意識の表われなのか、検証を要するところである。もし、教会の体質そのものが、高齢化現象に伴って、柔軟性を失っているのだとすれば、体質改善も大きな課題となるし、親たちががんばっているから、甘えておこうという気持ちだとすれば、ますます、教会に明日はないということになる。
9、司祭のいない教会なんて
今後、あなたの教会に、司祭が常駐しなくなるということが、考えられますかという設問に対し、約40%が、「そんなことは考えられない」とか「考えたこともない」と答えている。この答えの回答者は、比較的司祭数に恵まれた修道会、宣教会が担当している小教区の信徒である。それに対し、教区司祭が司牧している教会の信徒は、「考えてみれば、あり得る」とか、もっと積極的に、「必ずそうなる」という反応を示している。この落差は、教区全体の改革を目指す上で、当然ながら、考慮に入れていかなければならない要素である。また将来、自分の、司祭が常駐しなくなることを、当然のこととして、受けとめている背景に、司祭の高齢化、召命の減少化を、現実としてよく知らされていることが、大きく作用している。つまり、情報の公開と、現実の啓発が、きちんとなされているかという点である。厳しい現実を見れば、自分の教会に、司祭がいなくなるのは、決して不思議ではないという認識に至るはずである。
10、せめて、主日のミサだけは
司祭が小教区に、常駐できなくなったらどうするか、という質問に、どのような形になっても、せめて、今までどおり、主日(日曜日)にミサがあるような対策をとってほしい、という答えが多数を占めた。どんな選択がなされようと、主日のミサに与かれることを最優先にしている意識が、はっきりと読みとれる。その気持ちに応えるために、考えられる道は、何人かの司祭がいくつかの教会を、司牧していく、という共同宣教司牧の方向である。信徒が、小教区に何を求めるかということが、今回のアンケートの収穫である。家庭でも、職場でも、また、身近な人間関係のなかでも、疲れきっている信徒が、まるで、砂漠の中でオアシスを求めるように、教会に足を運び、癒されて帰っていく姿が明確に示されていた。このことは、統廃合の課題を進めていく上で配慮しなければならない、大きなポイントである。
11、このアンケートをきっかけとして
今回のアンケートは、さまざまな点で、問題提起をもたらすものだったといえる。予想通りの点も多々あったが、意外な点も少なからずあった。信徒からしても、同じ感想だと思う。1回のアンケートで分かることは、わずかである。しかし、大切な部分が見えてきたことも事実である。お互いが認識を深めて、与えられている課題に取り組んでいかなければならない。
(西川哲弥神父)
プロテスタントの洗礼の有効性について
「プロテスタントの洗礼は有効ですか」というお問い合せをよくいただくので、カトリック中央協議会エキュメニズム委員会の小林敬三神父に、プロテスタントの洗礼の有効性について伺った。
プロテスタントの洗礼は、有効であるから、原則的には、再度は行わない。はっきり疑念のある場合のみ、条件付きで授けても良い。次の派の洗礼は認めない。
統一教会 エホバの証人(ものみの塔) モルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)
エキュメニズムの対象になるのは、およそカルケドン公会議(451年、三位一体)までの教会の伝統を守っている教会である。なお、受け入れ式には、当人に信仰宣言を唱えていただくが、使徒信条ではなく、ニケア・コンスタンチノープル信条が望ましい。理由は、「われは、一、聖、公、使徒継承の教会を信じ」とあるからである。使徒信条は、「聖なる普遍の教会」のみ。
(カトリック中央協議会 エキュメニズム委員会 小林敬三神父)
終身助祭説明会行われる
来年4月からの東京教区における終身助祭養成開始に向けての説明会が、3月19日(日)の午後、カテドラル構内の関口会館2階の教区スペースで開かれた。参加者は約30名、ご夫婦での参加、他教区(浦和・横浜・大阪)からの参加者もあり、終身助祭に向けての関心の高さを感じながら、説明会は始まった。
最初に森一弘司教が挨拶に立ち、終身助祭制度の導入を、司教団として合意してから、東京教区が養成に踏み切る、決断をするまでの経緯を、簡単に説明した。引き続いて、門馬邦男神父が、終身助祭への志願から、4年間の養成期間を経て、叙階に至るまでの流れを説明した。
志願から、正式に志願者として認められるまでには、相当の覚悟が必要であり、いろいろな形での適性の見極めが行なわれる。具体的には、幅広い人たちからの意見が求められたり(家族、所属教会の司祭、教会内外の友人も含む)、本人の信仰の足跡を、自分の言葉で表現することなどがある。また正式な志願者となった後には、東京カトリック神学院で、神学生と一緒の授業を受け、単位を取得しなければならないことなどを話した。
説明後、質疑応答へと移り、様々な(自分の身に直接関わる具体的な)質問が、森司教、門馬神父に寄せられた。中には、「応募条件の中の年齢制限は、何を基準にしているのか。応募の時期なのか、養成の開始時期なのか、どの時点で、60歳であればOKなのか」などという切実な問いもあった。また、他教区に属していて、終身助祭を真剣に考えている方からは、教区間の連携や、条件の緩和についての可能性を問う質問も出された。
今回の説明会で、いろいろなことを感じた。東京教区が開いた、終身助祭への扉は、ある意味で狭いものである。教区の再編成が叫ばれている中で、そんなことで良いのかという声も、どこからとなく聞こえてきそうである。しかし東京教区は、終身助祭制度の導入に踏み切る決断をした。なんとなく、アブラムが神の呼びかけに応えて歩み出した、創世記の話を思い出す。アブラムに確たる保証があったわけではない。でも歩み出した。その歩みは、長いものであった。その中で名前をアブラハムと変えられ、成長を重ねていった。
今井助祭の誕生を東京教区における終身助祭の第1歩とするならば、今回の説明会は第2歩とも位置付けられよう。そして来年4月から始まる予定の養成は第3歩になる。一歩一歩の歩みはゆっくりだが、その歩みが始まりつつあること、この歩みに強い期待と高い関心が寄せられていること、そんなことを確かに感じさせる説明会であった。
(浦野雄二神父)
東京教区役職
2000年4月1日〜2003年3月31日 (敬称略)
教区長 白柳誠一枢機卿
司教総代理 森一弘補佐司教
司祭評議会 森、大倉、大原、藤井、吉池、幸田、江部、末吉、森山、レオ、ボーガルト、古賀、チェレスティーノ、浦野(主宰者 教区長)
(2000年1月〜2001年12月)
◇神学生養成担当 大原・立花・吉池・(事務担当 浦野)
◇一粒会運営委員会 辻・猪熊
◇教区立幼稚園運営委員会 小沢
◇広報委員会 森・西川・マタタ・浦野
◇典礼委員会 幸田・江部
◇教会学校委員会 稲川(圭)・ラップ・松本・吉岡
◇青少年委員会 シェガレ・宮下・稲川(圭)・加藤(信)・荒川
◇生涯養成委員会 森・後藤・田中(隆)・小宇佐・荒川
◇女性と教会委員会 森・チェレスティーノ
◇正義と平和委員会 大倉・深水
◇部落問題委員会 小宇佐
◇平和旬間委員会 吉田・岩崎・後藤
◇インターナショナルデー委員会 レオ・伊藤・加藤(信)・浦野
◇難民委員会 藤岡・ヒエン・ディン
◇靖国問題委員会 青木・(事務担当 木邨氏)
◇福祉委員会運営委員会 西川・ヘロニモ・油谷
◇聴覚障害者会 安次嶺・稲川(圭)
◇カリタスジャパン担当 西川・油谷
◇エキュメニズム委員会 小林(敬)・山本(量)
◇ミャンマー委員会 岸・田中(隆)・レオ・ドナルド・
◇大聖年委員会 森・大原・幸田・今井
◇聖体奉仕者・集会司式者養成委員会 小沢・江部・湯沢・スカリー・岸
◇高齢司祭委員会 小川・西川・田中(康)・チェレスティーノ
◇終身助祭養成委員会 森・門馬・マーフィー・江部・寺西・古川・チェレスティーノ・今井・(事務担当 浦野)
◇サバティカル運営委員会 江部・チェレスティーノ・浦野
◇小教区統廃合検討チーム 中央:稲川(保)・城東:吉川・城北:古川・城西:湯沢・城南:小沢・武蔵野:森山・総武:小川・多摩:岩橋・千葉:幸田
マタタ神父のインタビュー チェレスティーノ神父を訪ねて
4月初め、カトリック府中教会で働いている、ミラノ外国宣教会のチェレスティーノ・カヴァニヤ神父を訪ねました。彼は、復活祭後、東京大司教館に移り、大司教区事務局長を務めています。
略歴
チェレスティーノ・カヴァニヤ神父は、22年前(1978年)、ミラノ外国宣教会の宣教師として、日本に来ました。東京聖ヨゼフ日本語学院で、日本語の勉強を終えたとき、佐賀県鹿島市にある、カトリック教会の主任司祭に任命されました。同神父は、教会の司牧活動のみならず、座禅や仏教などに興味を持って勉強し、純心女子大学で非常勤講師として教えてきました。今回の異動前は、カトリック府中教会主任司祭として任務に励んでいました。
司教たちの下に働く者
「東京大司教館で働くようになると聞いたとき、宣教共同司牧とか、何か他の事務的なことを頼まれると思いました。しかし、大司教区事務局長を務めるという話を聞いたときに大変驚きました。ともかく、これまでの日本人とのつきあいを振り返って、自分が積み重ねた経験を生かすために、司教さまたちの依頼を引き受けました。イタリア人でありながら、外国人として日本で働くのではなく、日本人に受け入れられた者として、自分の信仰を、教会共同体や、日本の社会に伝えることが出来るならば、うれしいことです。特に、今の東京教区の小教区が直面している問題のなかでも、『統廃合』は、最優先課題だと思います。これから、この問題を取り上げていくために、信者の皆さんの理解と協力が必要とされるわけです。また、『統廃合』という課題は、小教区を閉めるという意味ではなく、むしろ、日本の21世紀の教会において大切な考え方であり、教会から求められるふさわしい考え方であるともいえます。これだけの仕事を、責任を持って行うには、皆さまのご協力とお祈りがなければ何も出来ないと感じています。司教さまのご指示とご理解をいただきながら、全力を尽くしたいと思います。」
フランシスコ会叙階式
3月18日(土)、田園調布教会で、フランシスコ会の叙階式が行われ、徳田教会で助祭奉仕をした小西広志(こにしひろし)助祭が、白柳誠一枢機卿によって、司祭に叙階された。 写真は、入堂する小西師 (白柳枢機卿からふたり目)
東京教区生涯養成委員会主催 第6回小教区を支える信徒のための研修会 「新しい千年期の小教区共同体を考える」
対象:小教区共同体で奉仕している方、及び関心のある方
新しい千年期がはじまり、東京教区も新しく変わろうとしています。「新しいぶどう酒は、新しい皮袋に」が、さしせまったテーマとして提起されています。小教区を支える信徒の方々が、是非この研修会に参加し、教区からの問題提起について、共に考えていただきたいと思います。多くの方々の参加をお待ちしております。なお今年度は、春に7回連続の講座として開催致します。
◇期日:5月13日(土)〜6月24日(土)各土曜日7回
◇時間:第1講座 13時30分〜14時45分 第2講座 15時〜16時45分(第2講座終了後、30分程度の茶話会を用意しています)
◇会場:東京大司教区「ケルンホール」(カテドラル構内、関口会館地下1階)
◇申込方法:申込み用紙に必要事項を記入し、郵送またはFAXで生涯養成委員会に
◇郵送先:文京区関口3-16-15(〒112-0014)東京大司教 館事務局 FAX:03-3944-6677生涯養成研修会係
◇受講料:3500円(7回分)
◇支払方法:次の郵便振込口座に振込みしてください。入金を確認次第、7回分の受講券をお送りします。
◇郵便振込口座:00140-6-769130
◇口座名義:(宗)東京教区 生涯養成委員会
◇問合せ先:電話 03-3943-2277(10〜12時、14時〜16時、除土日祭)時間外はFAXで。
*全七回を一人の方が通して受講することをおすすめします。なお、会場に余裕がある限り、1日だけの参加もお受けしています。(当日受付 受講料600円)
生涯養成コース研修会 -私たちは「マリア」をどのように理解しているか-
東京教区生涯養成コース研修会は「現代人の目でこれまで語り伝えられてきたカトリックの教えを問い直してみよう」の問い掛けの下に、1997年秋から「聖書」、「イエス・キリスト」、「教会」、「コムニオンとしての教会共同体」、「三位一体」、「罪」等のテーマで研修会を進めてきたが、この度四回シリーズで「マリア」についての理解を深めようと、3月4日福田勤師(フランシスコ会)に第1回「聖書の中のマリア」を、3月18日川村信三師(イエズス会)に第2回「第二バチカン公会議からのマリア理解」を語っていただいた。
講話を進めるに当たり、師は初めに「信仰」と「信心」との区別に触れ、次いで聖書の読み方の前提概念を説明し、堀田雄康師の「イエスのマリア観とマリアのイエス観」を紹介しつつ本題に入った。
先ず、マリアはイエスをどのように見、イエスはマリアをどのように見ていたのかを、逆転の聖書解釈という形で、聖書記者の立場で、その例をマリアが登場する聖書記述の枠に適用。新約聖書の記述者たちが復活体験後の信仰理解と共に書いたもの、つまりイエスの目を通して見たマリア観は、当時の人々の見たマリアを浮上させることになるという。
神殿での少年イエスと母マリアの会話(ルカ2・41〜52)、カナの婚礼の席でのマリアとイエスの会話(ヨハネ2・1〜12)、イエスと身内の人々の場面(マルコ3・31〜35)を提示説明し、この三つの例に共通する点を列挙した。
1.マリアとイエスとの考え方のズレ、2.時折示された肉親の情を超えると見える、マリアへのイエスの言葉と態度、3.このようなマリアのイエスについての、認識と理解の不充分さによる会話のズレを通して、神と人であるイエスの神秘がクローズアップされている、等。聖書に基づいた、信仰理解の大切な要である、救いの歴史の中の、マリアの位置と役割について更に話を進め、受胎告知は、神の救いの実現の時であり、天使のお告げは、マリアにとって生涯忘れ得ぬものとして絶えず黙想し続けた筈。
救いの歴史におけるマリアの「フィアト」が、まさに受胎告知であり、自由意志を持つ、人間の代表としてのマリアの答えであった。神の自由意志による、呼び掛けに応えた「フィアト」は、神の国の到来であり、愛の完成に向かうこと。拒絶する自由をもつ造られた者が自由意志で応えることが、信仰の原点ではないかと。
自己中心的現代人の生き方に対して、神の御旨を中心にし、弱い者、貧しい人の側に立つ、慎み深いマリアの姿勢の中に、現代社会に呼び掛けるマリアの生き方を見、自己を空しくしたイエスの生き方のこだまのように、マリアは受胎告知において究極的謙遜ともいうべき「フィアト」となられたことを強調された。
キリスト中心的マリアの生き方は最高の生き方であり、自己を捧げ尽くして生きたマリアは、まさにアガペーの愛である。マリア論は、キリスト論のためにあり、イエスはキリストであるという、その防波堤の役目を持っていて、マリアの取り次ぎは決して迷信ではないと言う。マリアのメッセージは、その時代時代に意味があると述べられ、後半質疑応答をもって講話を終了された。
(今井幸子)
2回目は3月18日、川村信三師(イエズス会)が、「第二バチカン公会議からのマリア理解」の題で話された。
1、まず、第二バチカン公会議以前の、伝統的なマリア理解はどうであったか、ということから入っていかれた。初代教会、使徒教父時代までのマリア理解は、新約聖書の記述そのままで、キリスト中心であった。キリスト論の中でマリアが語られる。受肉の神秘を通して、「母マリア」が語られ、さらに教父たちの「マリアは新しいエバ」という表現によって、乙女であったエバと対比させた「乙女マリア」という表現がでてきた。三世紀以降、キリストの神性に関しての論争がおこり、異端と正統教義が区別されていく。その過程で「母マリア」の理解を深め、「キリストの母」の呼称を排して「神の母」の呼称が確立された。中世におけるマリア理解の特徴としては、
1.純潔を尊重した騎士道の時代を反映して、「乙女マリア」が強調されたこと、
2.人間の罪深さの理解と、十字架の崇敬が盛んであった中で、人間の弱さの側に立って、十字架のもとに佇むマリアは、罪人にとって身近な助け手、取りなして下さる方として、「仲介者マリア」の理解となっていったこと、
3.そしてローマ以後の、西洋世界が混乱している中で、悪に充ちたこの世に、助け手として頼みとされた聖母は、天と地の后(女王)として崇敬されたことがある。
中世では、信徒の力の伸長と共に、マリア信心も大きくなっていった。民間伝承で迷信的な要素も入ってきて、キリストより、絶対者である神よりも、身近な対象として崇拝されるほどになると、宗教改革者たちの批判の的となった。これに対して、トリエント公会議は、マリアも「聖人の崇敬の定義」で収めることで切りぬけた。
2、近世になって、マリア理解には、教皇回勅により2つの教義が成立する。「無原罪の御宿り」と「被昇天」である。実証主義、合理主義の台頭によって、教会への批判、敵対が強まる中でのことであった。マリア理解は、その時代時代の特色を反映しているものである。
3、第二バチカン公会議では、マリア理解は教会憲章の第8章にまとめられたが、何もつけ加えず、従来の教義と理解を確認した。終末的完成に向っている教会にとって、2つの教義は、やがて我らも到達すべき最終の人間像であり、マリアはキリストによって第二義的に終末的希望のしるしなのである、とされた。
(天辰七郎)
〈広報の日 特別企画〉1999年度 『日本カトリック映画賞』授賞式および上映会―今年より『日本カトリックビデオ賞』も新設―
◇日時 6月30日(金) 14時30分 (開場14時)
◇場所 なかのZERO小ホール
◇授賞映画作品 『ナビィの恋』
◇入場料 前売り1,300円 (中学生以下1,000円)当日券1,500円 満員の場合は、前売券をお持ちの方を優先させていただきます。
◇授賞パーティー
時間 18時30分〜20時 場所 『ガーデン・レストラン 二幸』(大ホール内) 問い合わせ 03-5632-4431
CTIC
聴罪を依頼されて、拘置所を訪ねたことがある。依頼主は日系人。数年前に来日したものの、のちに妻子は帰国し、不安定な生活が始まる。生活が荒れ始める。例にもれず、職を求めて転々としたあげく、やくざとの繋がりもできた。法にふれる行為にも手を染めるようになる。帰国した家族ばかりか、日本に残った兄弟たちや友人たちとも音信不通の日々、孤独な毎日が続く。
当日、最寄りの駅で弁護士と待ち合わせ、拘置所に向かう。入り口では、外国人司牧の分野で働く顔見知りの人々にも会い、この分野での働き手が求められていることを実感させられる。数分後、彼の待つ部屋へ。ガラスごしに初めて会う彼は、おどおどとしてはいるものの、従順であり、常識をわきまえた青年とさえ見える。司祭である私にとって、告白を聴き罪の赦しを与えるという、慣れたはずのほんの数分の仕事をこなすだけではあるのだが、語られる現実の重さに緊張する。
帰り道、弁護士に誘われて入った喫茶店で、詳しい説明を聞く。生活が荒れ果て、窃盗によって得た金によってホテルを転々としたり、自分の車の中で寝泊まりする日々をおくっていた彼は、欲求不満のはけ口を、罪もない女性たちに求めるようになる。起訴事実によれば、3人の女性を強姦。そのうちの2件はカラオケ店内での犯行であり、被害者の1人は客の女子高生、もう1人は同店でアルバイト店員として働く短大生である。3人目は20代の主婦。帰宅し、鍵をあけて家に入ったところを襲われたという。彼女は夫に打ち明け、それが原因で別居となる。驚いたことに、この3件以外にも、同様の余罪が3件あるものの、被害者が特定できないのか、裁判では争われないとのこと。心の重くなる一日だった。裁判は、久しく会わなかった兄弟や友人たちも傍聴して進む。足並みが揃わなかった彼らからの経済援助もなんとかまとまり、額はわずかながら、裁判官の心証をよくするのに多少は役だったらしい。
判決の日。門外漢の私には、刑が妥当なのかどうか、何もわからなかったのだが、弁護士の献身的な働きもあり、予想以上に軽い判決だったようである。彼を支援していた人々の目には涙が見られた。彼に関わった数日間に、私の心にあったのは、最近マスコミで騒がれる、「被害者の人権」のことだった。加害者、兄弟、友人たちや支援者たちとは直接話し合うことができたものの、被害者の皆さんとは直接、間接に接触を持つことはできなかった。接触を拒んだ彼女たちの心の傷の大きさを知るべきであろう。
知りながら、しかし、何もできないこと、また、彼女たちの心の癒しに関わる人は誰もいないのでは、と想像することは、予想以上の軽い判決を、手放しでは喜べない苦い思いを、心の奥に残した。加害者がいて被害者がいる。しかし、加害者であれ被害者であれ、傷つき、苦しみ、悲しんでいる。「なぜ、こんなことになってしまったのか」とは、双方に共通する思いであろう。幸せだと感じている者など、誰もいない。これが罪の姿である。「7回どころか7の70倍までも赦しなさい」と、簡潔に言い放たれるイエスの言葉に、難しさを感じるとともに、赦しや癒しが、神の手を経ないでは実現されないものであることを思わされる。
(加藤信也神父)
『外国人支援金』 にご協力をお願いします
郵便為替00150-5-120640
カトリック東京国際センター賛助会 〒136-0071東京都江東区亀戸1-21-5モンドビル5F
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第3回YGTについてお知らせします
先月の東京教区ニュース第171号でお知らせしましたとおり、第3回YGTは、7月9日(日)午後1時から、四谷にあるカトリック麹町教会で行われます。テーマは、「大聖年 愛とゆるしと祈りだ門(もん)」に決定しました。
「ゆるし」には相手が必要だということ、私たちをいつも包んでいて下さる神様は、人間が自分の弱さに気づき、神様に顔を向けるのを待っておられるということを、実感できる集まりになればいいな、と思っています。当日は、教皇ヨハネ・パウロ二世の「ゆるしのミサ」などをビデオで見て、それについての疑問などを、白柳枢機卿・森司教にお伺いしてみましょう。ビデオ・分かち合い・カテケージス(司教による福音の響き合い)の後、ミサ・交流会というプログラムになっています。
YGTのコンセプトは、「門であること」です。そこを通って、初めて教会を訪れる人がいたり、また中で力をいただいた人たちが、外に行って活動する場だったり。YGTに来た人が、「自分は一人ではない」ということを感じてくれたら、スタッフとしてとても嬉しいです。教会の中だけにとどまるのではなく、社会の中で、この東京という場で、どのようにキリストの生き方を伝えていくことができるか、ともに探しましょう。そして、疲れたときには、いつもあたたかく迎えてくれる家としての教会を、ともに支えていきましょう。
大聖年、ローマでは聖年の扉が開かれ、また夏には、WYD(WorldYouthDay)などが企画されています。2000年という、人類の旅を振り返り、そこをいつも流れていたキリストの教えを、もう一度見つめ直しましょう。「謝罪」という行為は、教会のトップにだけ、課せられたものではなく、私たちの日常生活の、ごく小さな部分に隠れているはずです。罪人、つまり、すべての人と食事をともにされたイエス。「食事」という、日常生活のありふれた風景の中に、宝を見出すことができますように。
地球上のすべての生命とつながって、それらをつくられた神様の愛のもとに、また、ご自分を差し出してくださった、イエスの勇気のゆえに生かされている私たち。私たちも、心を開き、目を開き、口を開き、耳を開いて、神様のお恵みを、全身で感じとらせていただきましょう。ぜひ、ご参加ください。
(YGT実行委員会 本田まり)
新しい世紀における教会の展望(ヴィジョン)
ミラノ教区大司教のカルロ・マルティーニ枢機卿は、黙想指導のために来日し、3月6日にカテドラルで、司祭・修道者を対象に講演を行いました。
今世紀は科学技術が発達し、同時に残酷な戦争で多くの苦悩と分裂がありました。新しい世紀は、人類が連帯すること、教会にとっては新しい一致が課題です。枢機卿は預言者ではないと断りながら、個人的な考えを分かち合いました。ヨーロッパ教会が直面している困難は、少子化・召命の減少と高齢化。また科学の力による驕りから人間が命の最終的所有者のように行動すること等に対して、教会が社会に影響を与えるという意味では、マイノリティー(少数派)になっています。日本の教会は、少数派ながら、社会に多大の影響を与え続けて来たので、未来の教会への希望です。現代の困難な状況の中で、神はどのように教会を支え、慰め励ましているかを、枢機卿はしるしの列挙で示します。教会の中に霊的な傾きやキリストの姿の黙想から、「山上の説教」を生きようとする動きが信徒の中にも見られ、記憶の浄化という、教会が過去の罪を認めて告白する動きや、教会一致運動の促進、現代の多くの殉教者による信仰の証しなどは、大きな励ましです。新しい世紀に、教会はどのような夢を持ちましょうか。何よりも聖書がすべての人にとって信仰を生きる書、喜びの書となることです。枢機卿のミラノ教区での体験から、すべての人が聖書で祈ることが可能という確信があります。大聖年に教皇は、キリスト教の源泉の聖地、シナイ山等を巡礼されるので、私たちも共にキリストの源泉へと戻り、一致と平和を築く歩みをすることです。
(石丸脩子)
大聖年・中高生の集い
◇日時 6月10日14時〜17時
◇場所 東京カテドラル
◇テーマ 集まろう!-来なさい、そうすればわかる-
キリスト降誕二〇〇〇年の記念の年。時を超えて今、呼びかける声があります。「来なさい。そうすればわかる」私たちが、何につながって生きているかが分かります。 中高生の皆さん、集まろう!
1時30分集合 2時 ミサ 3時30分ゲームで出会う 4時30分お茶を飲みながら
◇問い合せ あきる野教会 稲川神父 TEL&FAX 042-596-1261
教会学校リーダー研修
恒例の春の研修会です。今年は大聖年。秋10月15日(日)に「こどものミサ」を計画しています。春の研修会では、「ミサ」の恵みに目を向けます。
一人でも多くのリーダーが参加して下さい。
テーマ「ミサ・この恵み!」
◇日時 6月18日(日)午後2時〜5時
◇講師 沢田和夫神父 -ミサの恵みに生きる- 「お供え運んで おみやげ」 講話後、分かち合い
◇場所 東京カテドラル 教区スペース2階
◇参加費 五百円(当日)
◇申し込み はがきかFAXで、氏名、 住所、連絡先電話番号、所 属教会を明記の上、左記ま でお申込み下さい。(締め 切り6月11日)
◇申し込み先 〒190-0142 あきる野市伊奈1 カトリックあきる野教会 稲川神父 TEL&FAX 042-596-1261
教会・修道院巡り(77) 『鴨川教会』
房総半島の南に小さな都市、鴨川市があります。人口30,053人。男14,143人、女15,911人、所帯数11,430。南房総は日蓮上人が生まれ育った所です。お寺の多い所です。でも、鴨川教会の近くに聖公会がありますが。
房総半島外房はきれいな海岸が続いています。海水浴場がずっと並んでいます。海岸線は山並み麓にあると言えましょうか。外房を南に下る道は右に緑の山々、左にきれいな波打つ海岸が見えます。鴨川は遠い町でした。東京から千葉までは電車の便が頻繁にあります。館山方面の内房線はそれ程不自由ではありませんが、鴨川は便の少ない外房線の終点の駅なのです。「東京に行くのに不便ですか」と聞かれれば、「東京は近くないです」と答えてしまいます。でもそれは宝です。鴨川が鴨川であるのは、大都会東京から往来が不便だからだと思います。
さて、鴨川教会の信徒数は30世帯、52名です。また、3人から10人くらいの外国の方がミサに来ます。鴨川教会は、JR鴨川駅から歩いて12、3分のところにあります。教会の庭の緑の中にマリア様が祈っています。聖堂に入ります。小さな聖堂ですが、落ち着いた、温かさがあります。鴨川教会はイエスのみ心に捧げられた教会です。私たちは毎日、十字架のイエスを見ます。私たちの苦しみを苦しむイエスが十字架にいます。自分の悪さによっても、今もイエスは苦しんでいる姿を見ます。私たちの悪さがイエスを苦しめているのですね。鴨川教会はイエスのみ心のうちにいます。イエスの憐れみ、喜び、おおらかさ、待ってくださる心、安心を特に見つめていく教会です。
さて、鴨川教会はコロンバン会の神父さんたちによって建てられ育てられました。1952年鴨川教会として独立、八人を超えるコロンバン会の神父さんたちが主任神父として活躍なさり、鴨川教会に、家族の雰囲気を見つけました。そして、1991年から、日本人の神父が主任神父として赴任されるようになり、1992年に40周年記念が行われました。
鴨川市は東京から遠い町でした。しかし今、東京湾を横切る高速バスが走っています。東京から鴨川駅まで2時間少しです。鴨川教会は小さく生きる教会です。鴨川教会は、今でも家族の雰囲気の教会です。皆さんと一緒に祈っていきたいと思います。
(加藤英雄神父)
〒296-0001 鴨川市横渚1727-1 Tel0470-92-0432 Fax0470-92-0432 主日ミサ:9時
東京教区生涯養成委員会主催 一泊交流会のお知らせ
「豊かな人間関係を築く」-自分を知り、他者を知る-
講師 有田モト子先生(青山学院大学・東京聖書学院講師、臨床心理士・学校心理士)
◇日時 7月1日16時30分〜2日16時
◇会場 聖霊修道院マリア館 小金井市桜町2-1-43 042-381-8001
◇参加費 6000円
お知らせ
バスと電車で巡る 江戸切支丹殉教ゆかりの地
A2版十字折り カラー印刷 1部 300円
このリーフレットは1991年、大司教区創立100周年記念事業の一環として発行された、教区内の殉教遺跡巡りの便利な案内書です。既に公式販売は終わっていますが、少し残りがありますので、カテドラル構内スペースセントポールで販売しています。どうぞご利用ください。なお郵送はご容赦ください。
(発行責任者)
五日市霊園をご利用の皆さまへ
あきる野教会の建築工事は、4月をもって終了し、献堂式を迎えることになりました。正面玄関からの道路も従来通り通行できることになりました。長い間ご迷惑をおかけしたことをお詫びし、これまでのご協力に心から感謝いたします。
(あきる野教会建築実行委員会)
天国のわが輩はペトロである(15) O神父の離島ミッション珍道中(5)
マリアが帰る頃には、雨も幾分おさまっていたが、風は一向に止むことなく吹き荒れていた。島から東京に帰るには3つの方法しかない。エビネ丸で三宅島へ渡り、飛行機に乗り継ぐか、ヘリコプターで三宅島か八丈島に行き、飛行機に乗り継ぐかの方法だ。
電話をかけまくっていたケンちゃんが、「なんとか八丈島行きの予約が取れたけど、明日も風が強いらしいから、ヘリが飛ぶかどうか分からないですね」と言った。O神父は「こうなったら何日でも居てやる。酒でも買って飲むしかないな」とやけくそ気味に言ったが、そっと財布を開けて不安そうな顔をした。
一通り電話連絡が終わると、後は夕食までやることがないのか、ケンちゃんが将棋をやろうと言いだした。民宿には将棋がなかったので、2人は島にある2軒の店に、買い物に出かけた。「御蔵島伝説」という名の農協にも将棋の駒は置いてなかった。御蔵島はツゲの産地で将棋の駒づくりが有名で、ツゲ材の駒は数万円から数十万円もすると言う。民宿の近くの酒屋でも同じことを言われたが、ケンちゃんは「将棋の駒を作るので、段ボールくれませんか」と諦めない。店のおかみさんは笑いながら「そんなことしなくても、うちの将棋を貸してあげますよ」と言って、ふくさ袋に入れた駒を貸してくれた。優しいおかみさんに感じ入ったのか、O神父はビールやウイスキーを、やたらに買い込んだ。「ツゲの駒で将棋をさすなんて、名人になった気分だね」とケンちゃんは言うが、2人の腕前は、ヘボの部類に属するようだ。廊下を隔てた部屋に、3人の工事関係者が泊まっていたが、部屋はひっそりと静まり返っている。O神父は「何だか、隣は観想修道院のようだね」とか「うまくいっていない主任と、助任神父の関係みたいに気まずいのかな」とぶつぶつ言いながら、「ちょっと待った」を連発する。「待ったなし」と言うケンちゃんも、「待った」が多い。2人は飽きもせず、深夜まで酒を飲みながら、下手な将棋を繰り返していた。
翌朝6時、「エビネ丸は欠航になりました」という島内放送が流れた。相変わらず風はうなりをあげている。10月から5月初旬にかけて、強風が吹き荒れるため、貨物船が入港できず、時には2〜3週間もの間、食料品など生活必需品が入らないことが多いという。「もう1週間以上も、島にいるような気がするね」との思いは、2人の実感だったようだ。「忙しい。忙しい」を連発し、時間に追われ、いつも何かをしていることが、生きていることの証拠のように思い込んでいるO神父には、御蔵島の時間が、ゆっくり流れているように感じるのだ。人間たちは、何故やみくもに走り続けるのだろう。どうして、時間の流れや自然と、一緒にいようとしないのだろう。猫の私にはよく分からない。風の音を聞いたり、草や木を眺めたり、風がおさまるまでじっと待つという、自然との付き合い方を、すっかり忘れているから、人間たちはいつも刺々しく、いらいらしているのだ。
風は幾分おさまり、八丈島行きのヘリが飛ぶことになった。ヘリに乗るのは、2人にとって初めての経験らしく、かなり緊張しているようだった。ヘリは機体を傾けて、急速に高度をあげ旋回した後、自然の宝庫、ゆっくり時間の流れる御蔵島を離れていった。長いながいミッションの旅であったが、それは「不吉」ではなく、「豊か」な旅であったに違いない。
(離島ミッション珍道中は終わり)
編集部から
春は、巣立ち、異動の季節。わが広報委員会は、人の動きはありませんが、編集長の西川師が、豊四季教会に異動になりました。編集会議の行われる大司教館まで、2時間ほどかかるそうです。ただ、原稿の送付・校正等は、E・メール、FAX等でOKですので、作業に支障はないはず。便利な世の中になったものです。
(A・A)
VIVID
聖地イスラエルってどんな国? 聖地の旅準備会のお知らせ 〜大聖年の巡礼にそなえて〜
第4回◇日時:5/14(日)14:00〜16:00◇テーマ:神の都エルサレム(1)旧約時代のエルサレム、以降6/11、7/9、10/1、11/12、 12/10の各日曜日14:00〜16:00(勉強会後、希望者のためのミサ有り)◇内容:大聖年、この恵みの年に、真の意味の「巡礼」とは何 かを考え、エルサレム、ガリラヤ、荒野、シナイなど地方ごとに歴史、地理、風土を聖書のことば、スライドその他の資料で紹介◇場所: 真生会館(JR信濃町駅1分)◇講師:鈴木信一師(聖パウロ修道会)井上弘子(道の会)◇対象:聖地と聖書に興味のある方ならどな たでも◇会費:¥1,000◇申込・問合せ:道の会井上道子〒164-0013中野区弥生町1-19-1-201Tel/ Fax03-3379-5571e.mail-hiroko@mars.dti.ne.jp 瀬川真佐子Tel/Fax0492-86-6291*ユニークな聖地巡礼(ゆっくりとした日程の 祈りの旅)を企画しています。体力に自信のない方もご遠慮なくお問い合わせ下さい。
信徒会館建設のためのバッハオルガンシリーズ(全3回)
◇日時:5/14(日)13:00開演(約50分)◇場所:カトリック田園調布教会大聖堂◇曲目:J.S.バッハ復活祭のコラール、トリオ・ソナタ4 番他◇演奏:久野将健(オルガン)◇主催:カトリック田園調布教会建設委員会◇入場料:自由献金◇問合せ:村山 Tel045-941-4924、久野Tel03-3725-5262
聖母女子短期大学同窓会「第16回セミナー」
◇日時:6/10(土)14:00〜16:00◇講師:Sr.中島その枝◇演題:魂のライフサイクル―自分らしくいきる為に―◇会場:聖母女子短 期大学 新校舎講堂◇会費:¥2,000(学生¥1,000)◇申込み方法:1.往復ハガキ:住所・氏名・電話番号明記 2.FAX:住所・氏名・ 電話番号・FAX番号(職場FAXの場合は部署名)明記、上記1,2のいずれかでお申し込みください。折り返しハガキまたはFAXにて 受講票を送付します。◇申込み・問合せ先:聖母女子短期大学同窓会セミナー担当 吉沢まで〒161-8550新宿区下落合4-16-11 Tel/Fax03-3954-7145
祈りの集い いのちの泉へ 大聖年にあたって新しく歩む祈りの道
◇日時・テーマ:○5/20(土)日常生活の中で祈る ○6/17(土)私のうちに住まわれる神 ○7/8(土)洗礼の恵みを深める ◇講話:伊従信子(ノートルダム・ド・ヴィ会員)◇プログラム:14:00〜講話、祈り、お茶&質問の時間17:30ミサ(日曜日のミサ)◇対象:祈りに関心のある方はどなたでもどうぞ◇参加費:¥200◇場所:ノートルダム・ド・ヴィ〒177-0044練馬区上石神井 4-32-35Tel03-3594-2247Fax03-3594-2254◇交通:西武新宿線武蔵関駅北口から徒歩10分(上智大学神学院&イエズス会黙 想の家の隣)西武新宿線上石神井駅北口から徒歩15分 西武バス(都民農園―吉祥寺)武蔵関駅入口より徒歩10分 申込みの際、 ご希望の方に案内図をお送りします。
若い人々の黙想会
◇テーマ:共生と調和-あなたとわたし、いのちといのち-◇日時:6/18(日)10:00〜16:30◇場所:汚れなきマリア修道会町田祈り の家◇対象:青年男女◇指導:清水一男師(マリア会)◇参加費:¥1,300◇申込:6/11(日)までに、電話、Faxで下記へ〒194-0032 町田市本町田3050-1Tel042-391-4952、Fax042-395-2092 汚れなきマリア修道会Sr.小林
第58回江戸キリシタン巡礼
◇日時:5/3(祝)10:00カテドラル集合〜16:00品川駅解散 江戸キリシタン殉教地を案内(カテドラル-キリシタン牢屋敷-鳥越キリ シタン殉教地-小伝馬牢屋敷-札の辻・元和の大殉教跡地-元和大殉教図絵・記念碑(高輪教会内)◇参加費:無料(飲食費・交 通費等は自己負担)◇申込み・問合せ:〒167-0021 杉並区井草2-31-25 カトリック下井草教会東木忠彦神父Tel03-3396-0305 Fax03-3396-9039
ビ・モンタント:カトリック高齢者会主催の講座
5月の勉強会
◇日時:5/9(火)13:30〜15:00(時間は全会場共通)◇会場:事務所◎指導:塚本伊和男師 ◇日時:5/19(金)
◇会場:高輪教会◎指導:泉富士男師 ◇日時:5/16(火)◇会場:三軒茶屋教会◎指導:塚本伊和男師 ◇日時:5/23(火)◇会場:吉祥寺教会◎指導:泉富士男師 ◇日時:5/24(水)◇会場:成城教会◎指導:塚本伊和男師
※申込み:いずれも不要 会費:¥300〜500 程度
5月の散策会(60回)
◇日時:5/10(水)10:30JR赤羽駅北口改札集合◇行先:清水公園、赤羽教会
大聖年特別企画巡礼旅行会
◇日時:6/7(水)〜9(金)◇函館の行き先:トラピスト修道院・トラピスチヌ修道院・函館元町教会、旭ケ丘の家、函館黎明クラブ会員 と交流、◇札幌の行き先:北一条司教座聖堂他市内数教会◇宿泊先:湯の川温泉、洞爺湖温泉(検討中)◇費用:(概算)7万円(航 空運賃、宿泊費、バス代、交流会費)◇定員:30名◇同行司祭:塚本師、泉師◇申込み締切:5/10(水)◇申込み先:ステラコーポ レィションTel03-3407-1218 Fax03-3407-1582
絵画同好会(新設)
◇日時:5/17(水)13:00〜16:30◇場所:洗足教会◇参加資格:ビ・モンタント会員他どなたでも自由、希望者は当日お出でください ◇内容:水彩、クレヨン、パステル、色鉛筆いずれでも(油は使わない)◇指導:日塔笑子(カトリック美術会会員・日本美術家連盟会 員・元一水会会員)◇会費:¥2,000(含画材料費、光熱水費等)出席の都度(月当り)お納めください◇年会費:2回目です、初めての 方は、他に若干の年会費が必要
以上旅行会以外の◇申込・問合せ先:荒川区西日暮里1-61-23 リレント西日暮里102 VMI東京支部事務所執務時間火・木・
土14:00〜16:00 Tel/Fax03-3806-9877
ビ・モンタント:カトリック高齢者会 東京支部第4回(2000年度)総会
◇日時:5/12(金)11:00〜15:00(受付:10:30)◇会場:麹町教会◇講演:吉山登師◇会費:¥1、500(弁当代、講師謝礼他)
三位一体の聖体宣教女会『祈りの家』講座
黙想会「聖書で祈る」
◇指導:雨宮慧師(東京教区)◇日時:6/24(土)17:30〜6/25(日)16:00◇対象:女性信徒 ◇指導:星野正道師(カルメル会)◇日時:5/30(火)10:00〜16:00◇対象:一般信徒
キリスト教講座
◇毎週木曜日10:00〜11:00◇対象:カトリックの教えを学びたい方
大聖年聖書に親しむ集い
◇講師:マグダレナT.A.◇対象:信徒◇テーマ:御父、御子、聖霊との交わり―秘跡を通して―◇日時:毎月最終木曜日14:00〜 15:30(7、8、12月を除く)
十字架の使徒職(司祭のために祈る集い)
◇対象:信徒・求道者◇指導:本会会員◇期日:第1グループ:毎月第2金曜日14:00〜15:30第2グループ:毎月第1木曜日14:00〜 15:30)両グループとも、13:30より30分司祭のために、聖体礼拝を捧げます
上記講座のいずれも、場所・問合せは下記まで 〒 189-0003東村山市久米川町1-17-5Tel042-393-3181Fax042-393-2407三位一体の聖体宣教女会
コングレガシオン・ド・ノートルダムよりのご案内
黙想会
◇テーマ:「祈りのうちに神の呼びかけに耳をかたむけませんか」自分の召命を考える◇日時:5/20(土)20:00〜5/ 21(日)16:00(当日9:00からでも可能)◇対象:20代〜30代未婚の女性信徒◇指導者:瀬本正之師(イエズス会)◇参加費: ¥2,000(宿泊費、食事等)◇持参品:聖書、筆記用具、洗面具等◇申込み:5/18(木)までに下記へ
一日黙想会のご案内
◇テーマ:和解(赦しの秘跡)◇日時:6/18(日)10:00〜16:30(受付:9:30から)◇対象:男女・年齢を問わず、信徒・求道者◇指導:國 井健宏神父(御受難会・上智大学神学部教授)◇参加費:¥2,000(お弁当代を含む)◇持参品:聖書◇申込み:6月11日(日)までに 下記へ
上記いずれも◇場所:コングレガシオン・ド・ノートルダム調布修道院(〒182-0034東京都調布市下石原3-55)京王線調 布駅南口より徒歩20分、タクシー5分下石原3丁目歩道橋下車)◇申込み先:〒182-0034調布市下石原3-55 コングレガシオン・ ド・ノートルダムTel0424-82-2012Fax0424-82-2163 黙想係
「来て見なさい」プログラム 結婚、修道生活、独身生活を選定したい方
◇テーマ:負の体験を祈る◇指導:住田省吾師(イエズス会)◇日時:5/14(日)10:00〜16:30◇場所:イエズス会黙想の家◇対象: 35歳までの未婚女性◇費用:¥1,500◇申込み先:〒160-0012新宿区南元町6-2マリアの御心会「来て見なさい」係 Tel03-3351-0297Fax03-3353-8089
佐久間彪神父油彩画個展 「マリアの賛歌・マグニフィカト」等を中心に展示
◇日時:7/3(月)〜7/9(日)11:00〜18:30(最終日16:00)◇場所:ギャラリーポート(中央区銀座1-8-7 銀座ビル F1Tel03-3535-5559地下鉄銀座線銀座駅A12番(松屋出口)徒歩5分、有楽町線銀座1丁目駅9番出口徒歩2分)
竹前光子パイプオルガン・コンサート
◇日時:5/28(日)13:30◇会場:カトリック西千葉教会聖堂◇入場料:大人¥2,000小・中学生¥1,000(全席自由)◇主催・問合せ 先:カトリック西千葉教会(Tel043-241-4812)※収益はカトリック東京国際センターに贈られます。
第40回「イエズス探求会」
◇日時:5/12(金)19:00〜5/14(日)15:30◇場所:日野ラサール研究所(JR中央線日野駅下車徒歩5分)日野市本町 3-3-2(Tel0425-83-4224)◇参加費:¥13,500(当日)2泊3日5食◇申込み先:〒262-0017千葉市花見川朝日ヶ丘町2509-7間野 幹夫(西千葉教会所属)Tel043-271-1869◇締切:4/30(日)定員25名◇携帯品:聖書、教会の祈り、パジャマ、洗面具
祈りの集い―土曜日の午後のひと時、いつも共にいてくださる主の内にじっと私をおいてみませんか
◇テーマ:新しい力をいただいて主とともに歩むための月に一回の“神様ブレイク”◇日時:○第9回5/27(土)○第10回6/ 17(土)14:00〜16:00◇祈りたい方、祈りの体験をしたい方はどなたでも◇担当:師イエズス修道女会シスター◇費用:無料◇場所: 八王子市戸吹町1490 師イエズス修道女会八王子修道院◇連絡先:Tel0426-91-3236(シスター加藤)