お知らせ
2022年「貧しい人のための世界祈願日」にあたって
2022年11月11日
東京大司教区の皆様
2022年「貧しい人のための世界祈願日」にあたって
カトリック東京大司教区 大司教
菊地功
2020年に東京教区の宣教司牧方針を策定するにあたって力を頂いたのは、教皇ベネディクト十六世の回勅「神は愛」に記されたこの言葉でした。
「教会の本質は三つの務めによって表されます。神のことばを告げ知らせること、秘跡を祝うこと、愛の奉仕を行うこと」(回勅『神は愛』 25参照)。
この三つの務めは互いに関係しあいます。神のことばを告げ知らせる宣教の前提には、秘跡を祝う共同体がなければなりません。秘跡を祝う共同体は愛の奉仕へと突き動かされていきます。愛の奉仕は、主イエス・キリストの生き方を実践することなのです。ですから、この三つの務めをわたしたちの教会がないがしろにしてはならないのです。この三つの務めを行うために、宣教司牧方針では、東京区に「宣教する共同体」、「交わりの共同体」、「すべてのいのちを大切にする共同体」を生み出し育んでいくことを呼びかけました。ですから、愛の奉仕活動は、教会が教会であるために必要な重要な柱の一つです。
教皇フランシスコは、2015年から16年にかけて開催された「いつくしみの特別聖年」の終わりに使徒的書簡「あわれみあるかたと、あわれな女」を公布され、年間第33主日を「貧しい人のための世界祈願日」とするよう定められました。今年2022年は11月13日がその祈願日です。同書簡にはこう記されています。
「(この祈願日は)万物の王である主イエス・キリストの祭日への、もっともふさわしい準備となるでしょう。なぜなら、キリストは、ご自分を小さい者や貧しい者と等しい者とみなし、いつくしみのわざについて、わたしたちを裁かれるからです。それは、共同体と洗礼を受けている者それぞれが、どれほど貧しさが福音の中心にあるか、そして、わたしたちの家の戸口にラザロが横たわっているかぎり、わたしたちに正義も社会的平和もありえないことを反省するのを助ける日となるでしょう」
今年の教皇様のメッセージのタイトルは、「イエス・キリストはあなたがたのために貧しくなられた」とされています。全文は中央協議会のホームページをご覧ください。
教皇様は、コリントの教会への手紙を引用しながら、「イエスをしっかりと見つめなさい、イエスは豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるためだったのです」と呼びかけられます。教会は義務として愛の奉仕に生きるのではなく、イエスに倣って生きる者だから当然として、困窮する人々との連帯のうちに支え合って生きるのだと教皇様は強調されています。
あらためて、この世界祈願日にあたり、小教区共同体の活動として、またカリタスなどの活動を通じて、さらにはそれぞれの信仰者の行動として、教会の本質の柱の一つである愛の奉仕に生きる決意を新たにいたしましょう。