ヤンゴン大司教ボ枢機卿のメッセージ

2021年02月04日

アジア司教協議会連盟(FABC)事務局より、ミャンマーのヤンゴン大司教チャールズ・マウン・ボ枢機卿様のメッセージが届けられましたのでご紹介いたします。

東京教区では1979年以来、ミャンマーのカトリック教会の支援を行い、特に11月の第三日曜日をミャンマーデーと定めています。姉妹関係にあるミャンマーの教会のためにお祈りください。

チャールズ・マウン・ボ枢機卿よりミャンマー国民と国際社会の皆様へ
2021年2月3日

親愛なる友人の皆様

今この時、私は霊的指導者として、何百万人もの人々の感情に心を寄せながらこの文章を書いています。私は親愛なる国民、文民指導者、タトマドー(ミャンマー国軍)、そして国際社会に手紙を書いています。私は、私たちの歴史における暗闇の時を悲しみの内に見てきました。そして、尊厳のための闘いにおける私たち国民の回復力を希望の内に見てきました。私たちは、私たちの歴史上最も困難な時を旅しています。私は恒久的な解決策を求めながら、そして、愛する国民の皆様を包む周期的な暗闇に永遠の終わりが来ることを祈りながら、すべての人に愛を込めてこの手紙を書いています。

1.親愛なるミャンマー国民の皆様へ
この国で起こっている、予期せぬ衝撃的な出来事に取り組むため、私は皆さんと深い交わりの時を持っています。皆様一人ひとりにお願いします。 落ち着いてください。暴力の犠牲にならないでください。私たちはもう十分に血を流しました。この大地に、これ以上一滴の血も流さないでください。最も困難なこの時でさえも、平和こそが唯一の方法であると、そして、平和は可能であると、私は信じています。私たちの抵抗を表明するためには、どんな時も非暴力の手段があります。今起こっている出来事は、対話とコミュニケーションの悲しい欠如、そして多様な意見の論争の結果です。尊厳と真実を求めて闘っているこの時、憎しみを続けることをやめましょう。すべての共同体指導者と宗教指導者は、これらの出来事に平和的に対応できるように祈り、地域社会を励ましましょう。

私たちはパンデミックの時代を生きています。勇気ある医療従事者の方々は多くの命を救ってきました。私たちはあなた方の痛みを理解しています。この事態への抗議のために辞職した方々もいると聞きます。私はあなた方にお願いします。今、あなたがたを必要としている人々を見捨てないでください。

2.ミャンマー国軍の将軍と家族であるミャンマー国軍の皆様へ
世界は、この出来事に衝撃と苦痛をもって反応しています。2015年、選挙で選ばれた政府への平和的な民政移管が軍によって行われて時、それは世界中からの称賛を得ました。今日、世界は、その後の数年間にどんな過ちが起こったかを理解しようと務めています。選挙で選ばれた文民当局とミャンマー国軍の間に対話の欠如があったのだろうかと。

私たちは、紛争の中で多くの痛みを経験してきました。流血と暴力の七十年は何の結果ももたらしませんでした。あなた方は平和と真の民主主義を約束しました。民主主義は、かつて豊かだったこの国の問題を解決するための一筋の希望でした。今回の選挙では、何百万もの人々が民主主義に投票しました。国民は平和的な権力の移管を信じています。

今、ミャンマー国軍は一方的にそれを奪いました。それは世界とミャンマー国民に衝撃を与えました。投票に不正があったという申し立ては、中立的な監視者の立ち会いの下、対話によって解決することができたのです。その重要な機会は失われてしまいました。世界の多くの指導者は、この衝撃的な行動を非難しています。そして、これからも非難するでしょう。

今、あなた方は、調査と別の選挙の後、より良い民主主義をもたらすことを約束しています。ミャンマー国民は空約束に疲れ果てています。彼らは偽りの主張は決して受け入れないでしょう。あなた方は一年後に複数政党による宣教を行うことも約束しています。どのようにして国民の信頼を得るというのですか?信頼とは、言葉と誠実な行いが一致した時にのみ得られるものなのです。

国民の苦悩と失望を理解しなければなりません。あなた方は、自分たちの行動が国民を愛し、助けるためのものなのだと証明する必要があります。もう一度お願いします。偉大な尊厳と平和をもって国民を扱ってください。親愛なるミャンマー国民に対する暴力がありませんように。

悲しいことに、NLD(国民民主連盟)に所属する我々の代表者が逮捕されました。多くの作家、活動家、若者もそうです。多くの作家、活動家、そして若者も同様です。 あなた方に訴えます。彼らの権利を尊重し、早急に解放してください。彼らは戦争捕虜ではありません。民主主義への過程のために囚われ人となったのです。民主主義を約束するのならば、まずは彼らを解放してください。そうすれば、世界はあなた方を理解するでしょう。

3.アウンサンスーチー女史、ウィンミン大統領、そして親愛なる指導者たちへ
親愛なるNLDの指導者たちへ:この国に民主主義をもたらすための終わりなき闘いの中で、あなた方はこの苦境に立たされています。予期せぬ出来事によってあなた方は囚われ人となりました。私たちは、あなた方のために祈るとともに、早急にあなた方を解放するように、すべての関係者に訴えます。

親愛なるアウンサンスーチー女史へ:あなたは国民のために生き、国民のためにその命を献げてきました。あなたはどんな時も人々の声です。苦しい日々です。あなたはこの国の暗闇も光も知っています。あなたは、建国の父アウンサン将軍の愛する娘というだけの存在ではありません。あなたはこの国の「母なるスー」なのです。真実は勝利します。神は真実の究極的な裁定者です。しかし、神は待っています。今この時、私はあなたの窮状に思いを致し、あなたが再びあなたの民の中を歩き、彼らを元気づける日が来ることを祈ります。
同時に、この出来事は、対話とコミュニケーションの欠如、互いを受け入れることの欠如によって生じていることも明らかです。どうか他者の声に耳を傾けてください。


4.国際社会の皆様へ
皆様のお心遣い、私たちのために心を痛めてくださること、そして、あわれみをもって寄り添ってくださることに感謝いたします。それはとても大切なことです。

しかし、歴史は、突然の結論や判断が、究極的には国民に利益をもたらさないことを痛々しいほどに示しています。制裁と非難はほとんど結果をもたらさず、むしろドアを閉ざし、対話を締め出しました。これらの厳しい措置は、我々の資源に目を付ける超大国に大きな恩恵をもたらしました。私たちの主権を交換材料とすることを利害関係者に強要しないことをお願いします。国際社会は、ミャンマーの歴史や政治経済を理解した上で、現実に対処する必要があります。制裁は経済を崩壊させ、何百万人もの人々を貧困に陥れるリスクがあります。当事者たちを和解させることが唯一の道なのです。

この度起こった出来事は痛みに満ちています。それは私たち国民の心を打ち砕きました。私は政治家としてではなく、彼らを慰めるためにこの手紙を書いています。私は、この国のすべての利害関係者が国民のために最善を祈っていると信じています。私は、この偉大な国、優雅な人々の黄金の大地が、希望と平和の内に和解した共同体として世界の舞台に上がることを望み、祈りながらこの手紙を書いています。

平和は可能です。平和は唯一の道です。民主主義はその道を照らす唯一の光です。

枢機卿 チャールズ・マウン・ボ
ヤンゴン大司教
ミャンマーカトリック司教協議会会長
アジア司教協議会連盟総裁
ミャンマーRfP指導者 国際RfP副会長