大司教

週刊大司教第二百二十八回:年間第二十九主日

2025年10月20日

先週は、10月9日木曜日夕方6時からローマで行われた枢機卿名義教会着座式のため、週刊大司教は一度お休みさせていただきました。

着座した名義教会サン・ジョバンニ・レオナルディ教会は、ローマ市郊外の比較的新しい住宅地にある生き生きとした小教区です。聖ジョバンニ・レオナルディが創立した修道会の会員が司牧にあたり、現在はインド出身の司祭が担当されています。

日本ではあまり知られていない聖ジョバンニ・レオナルディについては、以下のメッセージで触れている教皇ベネディクト十六世の、2009年10月7日の一般謁見での講話で詳しく紹介されています。こちらのリンクから是非お読みください

同小教区聖堂は、サイズ的に300人程度の規模ですが、戦後に発展した住宅地にあり、信徒の方々が自分たちの努力で建設した教会だと伺いました。日曜日には4回のミサが捧げられているそうです。敷地内にはいわゆる学童保育的施設やカリタスのセンター、そしてサッカー教室などもあり、子どもたちも多く見られました。

この日のミサには日本からの巡礼団だけで100名を超えていたため、聖堂に入りきれない恐れがあり、まず名義教会着座式を聖堂で行い、その後に隣にある運動場に移動して、そこでのミサとなりました。信徒の方々にとってはこの日、10月9日は、保護の聖人である聖ジョバンニ・レオナルディの祝日であり、木曜の着座式に始まって日曜の堅信式までの小教区フィエスタの初日となりました。

運動場にはステージが設けられ、その上でミサを捧げましたが、その後は深夜まで、コンサートが行われ、地域の大勢の方が参加されていました。

日本からは前田枢機卿様、中村大司教様、中野司教様、アンドレア司教様、その他複数の巡礼団の皆さんが参加してくださり、東京教区を代表して事務局長の泉神父様と赤井職員、枢機卿秘書役として小西神父様、前田枢機卿秘書としてスック神父様、巡礼団に同行して山口道孝神父様が参加されました。また日本政府を代表して駐バチカンの千葉大使ご夫妻や、国際カリタス事務局長始めシニアスタッフ、ローマのカトリック日本人会、留学中の司祭や修道者・信徒の皆さん、さらにはローマ市の代表も参加されました。皆さんありがとうございます。心から感謝申し上げます。

下の写真の祭服は、小教区に伝わる祭服だそうです。カズラの下にはダルマチカも着用しています。侍者は福音宣教省管轄下のウルバノ大学で学ぶ神学生たちが来てくださり、全体の儀式は教皇儀典室のモンセニョール(教皇フランシスコ訪日の際にも来られたモンセニョール)がおいでになり、しっかりと仕切ってくださいました。わたしは彼のささやきの通りに動きました。なおミサはイタリア語です。練習しました。説教は日本語で行い、アンドレア司教様が翻訳してくださいました。説教原稿は別途掲載します。

以下、18日午後6時配信の週刊大司教第228回、年間第29主日のメッセージです。

年間第29主日
週刊大司教第228回
2025年10月19日前晩

10月9日の夕刻、ローマ郊外にあるサン・ジョバンニ・レオナルディ教会において、枢機卿の名義教会の着座式を行いました。枢機卿になることによって、名義上はローマの司祭団の一員に加えられますので、慣例によって枢機卿にはローマ教区内のいずれかの小教区が名義教会として割り当てられます。ローマ教区の教区司教である教皇様のもとには、300を超える小教区があり、枢機卿の数を超えていますから、中には伝統によって長年名義教会であるところもありますが、わたしの名義教会は今回が初めてとなります。そのためもあって、着座式には多くの信徒の方が参加され、活気のある小教区共同体の一面を体験することができましたし、日本からも巡礼団を始め100名を超える方が一緒に参加くださいましたので、日本とローマの教会共同体の絆も生まれたのではと期待しています。わたしがこの小教区の運営に直接関わるわけではありませんが、今後も信仰上の交わりを深めたいと思います。

10月9日は聖ジョバンニ・レオナルディの祝日でもありました。教皇ベネディクト十六世は、2009年10月7日、聖人の没後400周年を記念したメッセージで次のように聖人を紹介されています。

「聖ジョヴァンニ・レオナルディは神の母律修参事会の創立者で・・・強い宣教への熱意においても記憶にとどめられています。レオナルディはフアン・バウティスタ・ビベスとイエズス会士のマルティン・デ・フネスとともに宣教者のための聖座の特別な省、すなわち布教聖省と将来の布教聖省直属のウルバノ大学の設立を計画し、そのために貢献しました」

その上で教皇は、「ジョヴァンニ・レオナルディは、イエス・キリストと個人的に出会うことを自らの根本的な存在理由にしようと努めました。彼が繰り返していったとおり、「キリストから再出発しなければなりません」。すべてにおいてキリストを第一とすることが、彼の判断と行動の具体的な基準であり、司祭としての活動を生み出す原理でした」と述べておられます。福音宣教を第一に掲げて活動された聖人の教会を、名義教会としていただいたことに、心から感謝しています。

本日のルカ福音は、「気を落とさずに絶えず祈らなければならないことを教えるために」、イエスが裁判官相手に正義の行使を求め続ける一人のやもめの話を記しています。その執拗な要求に、裁判官が降参してしまった様を記したあとに、「まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、いつまでも放っておかれることがあろうか」というイエスの言葉が記されています。

そうであるならば、わたしたちは困難にめげることなく、神の福音をのべ伝え続けましょう。諦めることはありません。執拗に祈り続けましょう。執拗に語り続けましょう。執拗にあかし人となり続けましょう。

10月はロザリオの月です。教皇レオ十三世によって、10月は聖母マリアにささげられた「ロザリオの月」と定められました。福音宣教における困難な状況に立ち向かうためにも、神の母であり、教会の母であり、そしてわたしたちの母である聖母マリアの取り次ぎによって、多くの人に救いのメッセージがもたらされるように、共にいてくださる主イエスと歩みを共にしながら、祈り続け、あかしを続けていきましょう。