大司教

週刊大司教第百六十二回:復活節第二主日

2024年04月08日

復活節第二主日は神のいつくしみの主日です。

メッセージの中でも触れていますが、日本の司教団は4月8日から13日まで、定期的な聖座訪問「アドリミナ」のために、全員がローマに出かけます。もちろん様々な理由から、全員が一緒に飛ぶことはありませんが、この数日以内に、日本の現役のすべての司教はローマに集合し、バチカンの各省庁を訪問して意見交換をし、さらに教皇様と謁見して、日本の教会についての報告をしてきます。

また滞在中には、省庁訪問や教皇様との謁見だけでなく巡礼の要素もあり、特にペトロとパウロの墓前で司教団はミサを捧げます。

私にとっては、2007年のベネディクト16世教皇、2015年の現フランシスコ教皇と、三回目のアドリミナになります。上の写真は、その2015年のアドリミナに参加した日本の司教団ですが、よく見るとそのときから9年で、現在の司教団の顔ぶれは大きく変わっていることが分かります。この写真に写っている2015年当時の日本の司教団は16名ですが、そのうち、すでに10名が引退され、そこには新しい司教様が任命されています。一口に「日本の司教団」と言ったとしても、その顔ぶれは10年くらいでガラリと変わっているものです。

アドリミナに出かけている日本の司教団のため、また教皇様のために、どうぞお祈りください。お願いいたします。

以下、6日午後6時配信、週刊大司教第162回、復活節第二主日のメッセージ原稿です。
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復活節第二主日
週刊大司教第162回
2024年4月7日前晩

ヨハネ福音は、主が復活された日の夕刻、まだ何が起こったかを理解していない弟子たちが、恐れのうちに隠れてしまっている様を伝えています。もちろん自分たちのリーダーを殺害した人々の興奮への恐れもあったでしょうし、同時に、見事にイエスを裏切り見捨ててしまったことへの自責の念もあったことでしょう。

その弟子たちの真ん中に現れたイエスは、弟子たちの心の闇を打ち払うように、平和を告げます。平和は神が定められた秩序が完全に存在する状態です。神との完全な交わりのうちにある状態です。すなわちここで、イエスは神がいつくしみそのものであり、常に神との完全な交わりへと招き続け、見捨てることはないことを明白に示します。神のいつくしみに完全に包み込まれていることを知ったとき、弟子たちの心の暗闇は打ち払われました。

復活節第二主日は、「神のいつくしみの主日」です。1980年に発表された回勅「いつくしみ深い神」に、教皇ヨハネ・パウロ二世は、「(神の)愛を信じるとは、いつくしみを信じることです。いつくしみは愛になくてはならない広がりの中にあって、いわば愛の別名です」(7)と断言されています。

教皇フランシスコは、2015年12月8日から一年間を、「いつくしみの特別聖年」と定められ、神のいつくしみについてあらためて黙想し、それを実行に移すようにと招かれました。

その特別聖年の大勅書「イエス・キリスト、父のいつくしみのみ顔」には、「教会には、神のいつくしみを告げ知らせる使命があります。いつくしみは福音の脈打つ心臓であって、教会がすべての人の心と知性に届けなければならないものです。・・・したがって教会のあるところでは、御父のいつくしみを現さなければなりません」(12)と記されていました。

わたしたちはいま、世界の各地で、いのちの危機に直面し、暗闇の中で恐れに打ち震えています。どこへ向かって歩みを進めれば良いのか分からずに、混乱した世界で生きています。そのわたしたちに、常に共にいてくださる主イエスは、わたしたちの直中に立ち、「あなた方に平和があるように」と告げながら、わたしたちをそのいつくしみで包み込もうとされています。復活された主は、わたしたちの具体的な愛の行動を通じて、世界に向かって平和と希望を告げしらせようとしています。「教会には、神のいつくしみを告げ知らせる使命が」あります。

不安に打ち震える社会の中で教会が希望の光となるためには、キリストの体である教会共同体を形作っているわたしたち一人ひとりが、いつくしみに満ちあふれた存在となる努力をしなければなりません。

明日4月8日から13日まで、日本の司教団は全員で、アドリミナの訪問のためにローマを訪れています。アドリミナとは、世界中の司教団が、定期的に聖座を訪問し、ペトロの後継者である教皇様に謁見して教会の現勢について報告をし、聖座の各省庁を訪問して情報交換するために行われます。さらには教会の礎を築いた二人の偉大な使徒、聖ペトロと聖パウロの墓前でミサを捧げ、サンタマリアマジョーレとラテランの両大聖堂にも巡礼します。前回は2015年でした。ローマを訪問している日本の司教団のために、また教皇様のために、お祈りください。