大司教
週刊大司教第百二十四回:復活節第六主日
2023年05月15日
復活節も終盤となり、すでに第六主日です。主の昇天と聖霊降臨が近づいてきました。
復活節第六主日は、世界広報の日でもあります。この日の教皇様のメッセージは、こちらで公開されています。ご一読ください。今年のメッセージのテーマは、「心をもって、『愛に根ざして真理を語る』(エフェソ4・15)」とされています。
予定通りであれば、本日わたしはローマにおります。この原稿は一週間前に事前投稿していますので、どういう結末になっているかは、この後改めて記します。
何をしているのかというと、予定では選挙に負けるためにローマまで来ております。国際カリタスは4年ごとに総会を開催し、そのたびごとに4年任期で、総裁と事務局長を選出しています。その国際カリタスの次期総裁選挙の投票が5月13日午後に、ローマで行われます。それに参加しております。
前回の2019年5月の総会まで、わたしは、アジアのカリタスの総裁を8年務めました。昨年2月にはカリタスジャパンの責任司教も降りましたので、いまはカリタスとのつながりはありません。カリタスの選挙はメンバーによるノミネート制で、立候補はできません。また候補者に関しては国務省の事前審査が必要です。
というわけで、カリタスジャパンではなくて、アジアのどこかのカリタスが、ありがたいことにわたしを総裁候補にノミネートしてくださり、国務省の審査も通りましたので、選挙に参加するように急遽呼ばれました。候補者はわたしを入れて5名です。ほとんど全員存じ上げているので、どなたが選ばれるか、事前に予測しております。現在の総裁がフィリピン出身のタグレ枢機卿様ですから、わたしは無理だと思います(地域的にも能力的にも)。いずれにしろ結果が出たらすぐにお知らせします。ちなみに事務局長はフルタイムですが、総裁はパートタイムですから、選ばれたからといって、ローマに引っ越すわけではありません。
※国際カリタスは、5月13日午後、国際カリタスの新総裁として菊地功大司教を選出しました。
以下、13日午後6時配信の週刊大司教第124回、復活節第六主日メッセージ原稿です。
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復活節第六主日
週刊大司教第124回
2023年5月14日前晩
ヨハネ福音は、最後の晩餐の席上で、聖霊を与えると弟子たちに約束を繰り返すイエスの言葉を記しています。御聖体の秘跡のうちに常に現存されることを約束された主は、さらに愛する弟子たちに思いをはせ、またご自分が創造されたすべてのいのちへの愛に駆られて、常に変わらない聖霊の導きを約束されます。その愛に満ちあふれたイエスの御心に思いを馳せましょう。
「わたしが父のうちにおり、あなた方が私のうちにおり、私もあなた方のうちにいる」
イエスに従うものが、共同体のうちにともに生きていくことが、この言葉に示唆されています。聖霊は教会共同体に働き、共同体としてイエスの福音を明かしするものであるようにと、わたしたちを導いてくださいます。主はともにおられます。
教会は、復活節第六主日を、「世界広報の日」と定めています。第二バチカン公会議の「広報メディアに関する教令」に基づき、「広報分野における各自の責務について教えられ、この種の使徒職活動のために祈り、援助のために募金するように(18)」と、1967年に始まりました。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画などにとどまらず、いまや時代はインターネットです。すべての人が、この使徒職に関わる道具を手にしています。SNSなどを通じてわたしたちは、誰でもいつでも、世界に向けて声を届ける手段を手に入れました。いまや、広報における使徒職は、特別な人や団体だけに限定された使徒職ではなく、すべてのキリスト者にとっての使徒職です。
この配信をご覧になる皆さんを含め、福音宣教のための道具を手にしているのです。もう、福音宣教ができない口実を並べることはできません。わたしたちは、道具を手にしているからです。
今年の第57回世界広報の日メッセージで、教皇様は、「心をもって話す」ことに焦点を当て、こう記されています。
「澄んだ心で相手の話に耳を傾けることができれば、愛に根ざして真理を語れるようになります(エフェソ4・15参照)。面倒が生じようとも、真実を告げることを恐れてはなりません。ただし真実を告げる際、愛も心もないままにそうしていないかを気に掛けなければなりません」
心を持って語ることは愛のうちに語ることです。現代社会はインターネットという福音宣教の道具を手にしながら、同時に「真実を捏造して操作する偽情報を持ち出すことす」すら可能となっています。わたしたちは、ともにおられる主に導かれ、聖霊に照らされながら、主の愛を受けて、心をもって語るものでありたいと思います。