菊地大司教

    週刊大司教第六十回:年間第二主日

    週刊大司教も記念すべき60回目となりました。毎週ご覧いただいている皆様には、心から感謝申しあげます。

    感染症の状況下で教会に集まることに困難がある中で始めた毎週のミサのネット配信と、それに続いて始めた週刊大司教でのメッセージ発信ですが、緊急避難措置としてだけでなく、これからもさまざまに役立てていただければ幸いです。Youtubeのカトリック東京大司教区のアカウントを訪れていただくと、これまでの60回のすべての週刊大司教に加え、その途中何度か配信したロザリオの祈りや、季節毎のメッセージもご覧いただけます。また現在は、シノドスの歩みのためのビデオも配信していますので、土曜日の夕方や日曜日だけでなく、いつでも訪れて見直し、霊的生活の一助として役立てていただければと思います。

    1月11日に、2022年度の第一次となる教区人事異動を公示いたしました。教区司祭に関しては主な移動はすべて公示しましたが、まだ修道会関係が出そろっていませんし、それ以外でも、今後、数回にわたって人事の公示をする予定です。

    人事異動は、司祭の配置や担当を決定してお願いする立場のわたしよりも、実際に担当が代わり、新しい場所で新しい挑戦に立ち向かう神父様方の方が、何倍も大変です。特に年齢が上になるほど、新しい環境での再出発は容易ではありません。どうか、新しい主任司祭を迎える小教区などにあっては、司祭を支えて助けてくださいますように、お願い申しあげます。司祭を支えることには、当然、実際に手を貸すこともあれば、祈りを持って霊的に支えることもあります。特にわたしは霊的な支えこそが重要だと思っていますので、どうか、司祭のためにお祈りくださいますように、またその祈りは、「わたしの思い描くような司祭になりますように」ではなくて、「イエスの御心に導かれ、それを具体的に生きる司祭になりますように」と言う方向でお祈りくださいますよう、心からお願いいたします。

    本日のメッセージでも触れていますが、キリスト教一致祈祷週間が1月18日から25日まで行われます。今年のテーマは「わたしたちは東方でそのかたの星を見たので、拝みに来たのです」とされ、特に紛争が続く中東地域で信仰を生きている諸教会を心に留めながら、一致を祈ることになっています。カトリック中央協議会のホームページ(こちらのリンク)、または東京教区のホームページ(こちらのリンク)をご覧ください。

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    写真は、先日、東京での一致祈祷週間に備えて、東京での祈祷集会を事前に聖公会聖バルナバ教会においてビデオ撮影したときのものです。日本キリスト教協議会の吉高議長が説教をされ、わたしは司式を担当させていただきました。

    以下、15日午後6時配信の、週刊大司教第60回目の、メッセージ原稿です。
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    年間第二主日
    週刊大司教第60回
    2022年1月16日前晩

    ヨハネ福音は、よく知られているカナの婚姻の奇跡物語を記しています。公生活を始めたイエスが、最初に行った奇跡として知られているのが、招かれたカナの婚姻において、水をぶどう酒に変えたというこの奇跡物語です。婚姻の宴は聖書、特に福音の中で、しばしば神の救いや神の支配の実現を例えるために用いられています。イザヤも、神の支配が実現することの喜びを、「花婿が花嫁を喜びとするように、あなたの神はあなたを喜びとされる」と記します。

    すなわち婚姻の宴のように、あふれんばかりの喜びと希望に満ち溢れているのが、神の救いであり、神の支配の実現であるとされています。その意味で、宴を盛り上げるのに欠かせないワインが枯渇することは由々しき事態であり、イエスは水をワインに変えて、しかもそれを溢れんばかりに与えたと記すことで、救いにおける喜びの源は救い主イエスであることを、福音は明示します。

    ヨハネ福音は、イエスが救いの計画を実現するために神の「時」を自覚して行動していたことを、最後の晩餐において弟子たちの足を洗う場面の直前に、「イエスは、この世から父のもとへ移る御自分の時が来たことを悟り」と記すことで明らかにします。しかしこのカナの婚姻では、聖母に対して「わたしの時はまだ来ていません」と答えています。神ご自身が定めた「時」を変えさせたのは、聖母マリアの信仰とそれに基づく確信です。カナの婚姻の出来事に、わたしたちは、聖母マリアの取次の力と、神の救いの喜びと希望に寄与する聖母の存在の重要さを見出します。

    コリント書は、聖霊のたまものが与えられた神の民は、それぞれが与えられた賜物によって多様な働きを実現し、それが同じ聖霊に導かれていることから、一致をもたらしていることを記します。

    喜びと希望に満ちた神の救いと支配の実現のためには、聖霊に導かれて、多様性のうちに一致していることが不可欠です。

    教会は、1月18日から25日までを、キリスト教一致祈祷週間と定めています。今年は、マタイ2章の「私たちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです」をテーマに掲げ、特に中東の諸教会のために、また人々のために祈ることを求めています。

    一致祈祷週間のために用意された資料には「中東の歴史は、昔も今も、紛争と対立にあふれ、血に染まり、不正と抑圧により暗雲に覆われています。・・・この地域では血なまぐさい戦争や革命が繰り返され、宗教的な過激主義が台頭しています」と記されています。

    第二バチカン公会議のエキュメニズムに関する教令は、次のように指摘しています。
    「あたかもキリスト自身が分裂しているかのようである。このような分裂は真に明らかにキリストの意志に反し、また世にとってはつまずきであり、すべての造られたものに福音をのべ伝えるというもっとも聖なる大義にとっては妨げとなっている(1)。」

    ただ単に一緒になればよいものでもなく、同じ祈りを一緒にすれば済むものでもない。それよりも「公正と真理に基づいて」互いのことをよく知り合い理解を深め、適切な対話を行って一致して福音を証ししていくことができる道を探っていく努力を、この教令は求めています。

    今回のシノドスの歩みも準備文書で、「一つの洗礼によって結ばれた、異なる信仰告白をもつキリスト者間の対話」の重要性を指摘し、その具体的な行動について問いかけています。神の救いと神の支配の実現がもたらす本当の喜びを共にできるよう、多様性の中で一致して歩み続けたいと思います。

    東京大司教タルチシオ菊地功