大司教
海外にいる間に悲しい事件
2019年06月07日
国際カリタスの総会のためローマにいる間に、日本では生命に関わる悲しい事件が発生していました。
5月28日の朝、登校するためにスクールバスを待っていた川崎市のカリタス小学校の子どもたちが刃物を持った大人に襲われ、6年生の女の子おひとりと、保護者の男性おひとりが生命を奪われ、17名が傷を負われたと聞きました。
大切な存在を突然暴力的に奪われた方々。その心の悲しみに対しては、どんな言葉も足りないのだと思います。心からお悔やみ申し上げるとともに、わたしも言葉にならないくらいに悲しいことだけをお伝えします。亡くなられた方々の永遠の安息をお祈りするとともに、傷を負われた子どもたちの一日も早い回復をお祈りします。
カリタス小学校に通われている多くの子どもたち、その家族、そして教職員。多くの方が心におわれた悲しみ、恐れ、怒りなどを思うとき、犯行に及んだ人物の凄まじい暴力の負の力に、わたし自身の心をつぶされそうに感じます。どんな理由があっても、神が与えられ愛される人間のいのちを、暴力的に奪い取ることは許されません。ましてや、人から生きるための希望を暴力的に奪うような暴虐も、許されてはなりません。
これからしばらくの間は、犯行に及んだ人物の背景などが報道されることでしょう。確かに背後には社会的な要因も指摘されることでしょうし、そういった社会的要因の解消に取り組むことも避けてはならないでしょう。しかし、何にもまして、わたしは、この社会にあって、人間の生命を大切にすることは人間の務めであるという価値観が、普遍的な価値観でなければならないことを、主張し続けたいと思います。生命における希望を奪い取ることは許されないのだと言うことを、主張し続けたいと思います。
カリタス小学校の皆さんに、そして関係する多くの方々に、生命の創造主である神様のいつくしみと力に満ちた守りがあるように、心から祈ります。ただただ、悲しいです。
(「司教の日記」2019年6月1日より)