教区の歴史
朗読奉仕者・祭壇奉仕者選任式
2017年03月12日
2017年3月12日、ケルン・ホール
選任された者
朗読奉仕者 フランシスコ・アシジ 小田武直(東京教区)
祭壇奉仕者 洗礼者ヨハネ レー・ファム・ギェ・フー(サレジオ修道会)
説教
朗読奉仕者並びに祭壇奉仕者の選任式が、今年は、ケルン・ホールで開催される一粒会総会の前に行われることになりました。
いま、読まれました福音は、今日、四旬節第二主日のミサで読まれた福音です。
イエスのご変容の場面、「イエスの姿が光り輝く栄光の姿に変わった」という出来事をわたしたちに告げています。その時、天の父から声がしたのでした。「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」。
イエスは受難を前にして、弟子たちに、このご変容の出来事を経験させながら、受難につまずかないよう、信仰を失わないよう願って、このような場面を弟子たちに示したのだと思います。イエスは、ご自分の受難と復活の神秘をあらかじめ弟子たちに垣間見させたのではないでしょうか。
そしてさらに、わたしたちもいつかこのイエスのご変容の恵みに与ることができるだろうという信仰と希望を与えてくれる場面であると思います。
さて、いま、朗読奉仕者、祭壇奉仕者を受けるお二人に一言申し上げたいと思います。
昨日、3月11日は東日本大震災が起こった日であり、昨日でちょうど6周年を迎えました。いまなお、多くの人が、被災者として、避難者として、苦しみ、不安と悲しみの日々を送っています。そして、多くの人の命が失われました。
わたしたちは、この人々のために、何をすることができるだろうかと、考えざるを得ません。
昨日、カテドラルで献げられました、復興祈念のミサのときに、わたしたちは祈りを献げ、黙祷の時間を持ちました。そして、いま、わたしたちの信じる主イエスは、苦しんでいる人のことをよくわかり、その人たちと一緒にいてくださる、寄り添ってくださると、わたしたちは、改めて、そのように思いました。わたしたちも、主イエスにならい、苦しむ人々と寄り添う者でいたいと思います。
やがて、助祭、司祭になる道を歩んでおられるお二人は、「これに聞け」と言われた御父の声を、今日、改めて、深く心に刻み、主イエスにならって歩む者となるのです。
この世の中に起こる、さまざまな難しい問題に出会うときに、苦しみ、迷い、悩む人々を受け止め、そして、一緒に歩むことができるよう、どうぞ、日頃から、いろいろな面での準備をしていただきたいと思います。
もう一つのことに触れたいと思います。これは東日本大震災とは関係のないことですが、今年2017年は宗教改革からちょうど500年という年です。
この500年の間に、カトリック教会とルーテル教会との関係は、大きく変わってきました。そして、いま、お互いに相手の言うことをよく聞いてみると、基本的には仲違いするほどの大きな問題はなかったということに気付いたと、双方が認めています。
「相手の言うことを、よく聞かなかった。決めつけてしまった。誤解した。」
そのような間違いを、いま、双方が反省しております。なお、完全な一致に至るまでには、乗り越えるべき問題が、いろいろありますが、基本的な重要なことについては、一致しているということがわかりました。わたしたち、キリスト教会の中で、もっと、お互いの理解と一致が進みますように、祈りたいと思います。
そして、わたくしが感じましたことは、「人間というものは、なかなか人の言うことをよく聞けないものである」ということです。聞いているつもりではありますが、自分の思いの方が先に立ってしまって、頭から相手の言うことを受け付けない、という部分があるのではないかという気がします。そのようなことが、カトリック教会とルーテル教会の間に起こったのではないでしょうか。
「人の話を聞き、人のためにできることをする。」
そのような務めをわたしたちは受けています。どのようなことであっても、静かに耳を傾けることができるような心と体、そして霊的な準備をするようにしたいと思いますし、そのようにできますよう、お二人は、これからの司祭への道の中で、よい準備をしていただきたい。
今日が3月12日、そして、2017年ということで、わたくしの念頭にあることを、ひと言申し上げました。どうぞ、宜しくお願いいたします。