教区の歴史
2015年聖香油のミサ説教
2015年04月02日
2015年4月2日 東京カテドラルにて
説教
聖香油のミサにご参列の皆さん、
毎年カテドラルでささげられる聖香油のミサの中で、わたしたち司祭は叙階の際に行った約束の更新をいたします。
そして、司祭の任務を受ける者は次の約束をいたしました。(現行の司祭叙階式の式次第による。)
1) 福音をのべ伝え、カトリックの信仰を表すことによって、神の言葉に奉仕する務めを誠実に果たします。
2) 絶えず祈るようにとの主のご命令に従い、自分にゆだねられた民のために、神のあわれみを祈ります。
3) 教会共同体の助けのもとに、貧しい人、苦しむ人、助けを必要とするすべての人に、主の名において神の慈しみを示します。
兄弟である司祭の皆さん、わたしたちはこのように約束をして司祭の任務を受け、今日まで歩んでまいりました。
その道のりを振り返り、また、現在の自分の状態を見つめて、至らなかった点についての反省とともに、神に深い感謝をささげ、さらなる恵みと光、力を祈り求めましょう。
わたしたちはこの聖なる務めを、弱い、脆い人間性である「土の器」(二コリント4・7)の中に受けています。それは、「この並外れて偉大な力が神のものであって、わたしたちから出たものでないことが明らかになる」(二コリント4・7)ためです。
弱いわたしたちがこの聖なる務めを忠実に果たすことができますよう、わたしたちは今日、特に聖霊の助けと導きを祈り求めましょう。
お集まりの皆さんも、どうか司教・司祭のために聖霊の恵みを祈ってください。
今日の福音朗読が示しているように、わたしたちの主イエスは主の霊、すなわち聖霊を豊かに受けた人でした。むしろ、聖霊がイエスご自身の霊である、と言えるでしょう。
イエスは聖霊の導きに従い、神の国の福音をのべ伝え、病人を癒し、悪霊を追放し、十字架の死と復活によって罪に打ち勝ち、父のもとにのぼり、弟子たちの上に聖霊を注ぎ、教会を設立しました。
今、イエスは、教会を通して、ご自分の使命を継続し、発展させておられます。わたしたち司祭の使命は、主イエスから受けた使命、主イエスから託された任務です。
わたしたち司教・司祭は弱い人間でありながら、神の力である聖霊の助け、導きを受け、キリストの使命に与り、いわば「神の仕事を行う者」となりました。それが可能であるのは、ひとえに聖霊の働きを受けているからです。
したがって、司祭は、自分の存在と任務はすべて神の霊の働きによることを深く悟り、人々の前に、自分の存在とすべての働きを通して神の栄光が現れるよう努めなければなりません。
さて本日は、この機会をお借りして、日本司教団の使徒座定期訪問(アド・リミナ)について一言お話します。
3月20日より27日、日本の司教たちは使徒座を訪問し、聖ペトロと聖パウロのお墓参りを行い墓前でミサをささげ、教皇様とお会いし、福音宣教省、典礼秘跡省、列聖省、国務省などを訪問いたしました。
教皇様とは非常に和やかな雰囲気で日本の教会のいろいろな課題について話し合うことができたことは大きな恵みでありました。
福音宣教省の訪問の際には、日本の教会の直面している課題と困難な状況についての率直な分かち合を行うことができました。典礼秘跡省では、ミサ式次第の日本語への翻訳の問題、列聖省では高山右近列聖手続きの件、国務省では日本の司教団の出した戦後70周年に際しての平和メッセージの内容についての分かち合いが行われました。
このたびの使徒座訪問によって、日本の教会とローマの本部との相互理解が前進したように思います。
日本の教会の福音宣教の働きが前進しますよう、今日も心を合わせてお祈りいたしましょう。