教区の歴史
アレルヤ会総会ミサ説教
2014年05月16日
2014年5月16日 東京カテドラルにて
説教
イエスは道であり真理であり命です。わたしたちの信仰はこの信仰告白に集約されます。わたしたちは主イエスをもっとよく知り、イエスに倣って生き、主イエスの福音を人々に伝えて行かなければなりません。
教皇フランシスコは昨年11月24日、『信仰年』終了に際し、使徒的勧告『福音の喜び』を発表しました。
教皇は言っています。「福音の喜びは、何によっても、また誰によっても、奪われることはありません(ヨハネ16・22参照)。世間の悪や教会内の悪に直面しても、献身と熱意を失うための口実にするべきではありません。それらを成長するきっかけだとみなすことにしましょう。」
福音の喜びは主イエスと出会い、イエスと共に歩む喜びであります。
わたしたちは困難な状況で、失望し、絶望し、投げやりになり、不毛な悲観主義に陥るという誘惑にさらされます。あせらず、希望を持って、主キリストに信頼して、この試練のときを越えていきたいと願っています。
第二ヴァチカン公会議は『教会憲章』(1964年)を発表しました。同憲章は「キリストは諸民族の光」という言葉で始まります。教会は諸民族の光であるキリストから光を受けてこの世界を照らすのです。
『現代世界憲章』は冒頭で次のように述べています。
「現代人の喜びと希望、悲しみと苦しみ、特に、貧しい人々とすべて苦しんでいる人々のものは、キリストの弟子たちの喜びと希望、悲しみと苦しみでもある。」
わたしたち教会は現代の荒れ野である社会の中で、途方にくれ、孤独に悩む人々の苦しみ、悲しみを、自分自身の苦しみ、悲しみとして受けとめ分かち合いたいと思います。
1987年、京都に集まった第1回福音宣教推進全国会議の参加者たちは「宣言」のなかで謙虚に教会の現状を反省し、次のように決意を表明しました。
「ともすると内向きに閉ざされがちであったわたしたちの姿勢を真剣に反省し、神であるにもかかわらず兄弟の一人となられたキリストにならい、すべての人に開かれ、すべての人の憩い、力、希望となる信仰共同体を育てるよう努めたいと思います。」
ベネディクト十六世は「信仰年」(2012年10月11日〜2013年11月24日)を定めました。
わたくしは、大司教として信仰年を迎えるにあたり、「信仰の創始者また完成者」(ヘブライ12・2)であり、道であり、真理であり、命である主イエスをより深く知るように努めることが何より大切であると訴えました。 (2012年9月30日、大司教書簡「信仰年」を迎えるにあたり)
ご承知のように、その間に、ベネディクト十六世は引退しましたが、教皇フランシスコが登場し、前任者の意向を引き継ぎ、2013年11月24日、使徒的勧告『福音の喜び』を発表しています。
困難の多いこの時代、あらためて福音の喜びを生きることができますよう、聖霊の導きを祈り求めましょう。