教区の歴史

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復活徹夜祭ミサ説教

2014年04月19日

2014年4月19日 東京カテドラル関口教会にて

言葉の典礼・朗読箇所

創世記1・1,26-31a
出エジプト記14・15-15・1 a
エゼキエル36・16-17a、18-28
ローマ6・3-11

福音朗読

マタイ28・1-10

 

説教 

皆さん、復活徹夜祭は教会の伝統が伝える、もっとも大切でもっとも豊かで荘厳な典礼であります。

今日の第一朗読、創世記です。神は六日目に人間を創造しました。そして次のように告げられています。

「神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ、それは極めてよかった。」(創世記1・31)

しかしこの世界に不条理なこと、種々の悪が存在していることは否定できません。わたしたちを悩ませる問題は多々ありますが、それを一言で言い表すとすれば「悪の存在」ということではないでしょうか。災害、病気、障害、戦争、紛争、飢餓、貧困などの明らかな社会悪だけでなく、人間には罪という悪が存在しています。それはまさに「混沌と闇」という状態です。

実は創世記1章のはじめを読んでみると「地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた」(創世記1・2)となっているのです。

世界はそもそも、混沌と闇の状態でした。その世界に神の霊が働き、次第に闇が消滅し、秩序が確立されて行くのです。神の創造の業が完成しますと、神のお望みの世界が出現します。

人間は時間の中におりますので創造の完成をみることは出来ませんが、時間の外にいる神にとって既にこの世界は既に完成しているのと同じなのかもしれません。

そこで「神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ、それは極めてよかった」(創世記1・31)と言えるのだと思います。

創世記の朗読の後で司祭は祈ります。

「全能永遠の神よ、あなたは万物を、み手の業として美しく造ってくださいました。時が満ちて、キリストの過ぎ越しによって新たにされた世界は、時の初めに造られたものよりもさらに美しいものであることをあがなわれた民に悟らせてください。」

キリストの復活によって贖われた世界は完全な世界、神の美しさの反映である世界です。それはヨハネの黙示録が告げる「新しい天と新しい地」(黙示21・1)に他なりません。

この世界と宇宙を創造された神は、常に創造のみわざを続けられ、やがて、この世界を完成してくださいます。それは、闇と混沌のない世界、神の支配が完成した世界です。

さてこれから洗礼式が行われます。 洗礼とはパウロが教えているように、キリストの死と復活にあずかること、キリストとともに死に、キリストとともに、新しいいのちに生きるようになることです。

洗礼式では、「白衣の授与」が行われます。その際、司祭はつぎのように言います。

「あなた方は新しい人となり、キリストを着るものとなりました。神の国の完成を待ち望みながら、キリストに従って歩みなさい。」

白い衣をつけて、新しく生まれ変わることを表します。このことはすでに旧約のエゼキエル預言者によって告げられておりました。

「わたしはお前たちに新しい心を与え、お前たちの中に新しい霊を置く。わたしはお前たちの体から石の心を取り除き、肉の心を与える。」(エゼキエル36・26)。

神の霊の働きによってわたしたちの頑な心は肉のような柔軟で素直な心に変えられ、過去に訣別して、新しい人に生まれかわることができるのです。

今日は「死からいのちへ」の過ぎ越しの神秘の信仰を新たにし、日々、希望と信頼を持って歩んでまいりましょう。