教区の歴史
千葉地区平和旬間「平和を願うミサ」説教
2013年08月11日
2013年8月11日 千葉北東部宣教協力体担当
いんば学舎・草深(そうふけ)にて
聖書朗読箇所
第一朗読 イザヤ66・10-14
第二朗読 ガラテヤ6・14-18
福音朗読 ルカ10・1-9
説教
主イエスは言われました。「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる。」(マタイ5・9)
わたしたちは平和のために祈り、平和のために働くという使命を受けています。
きょうの福音で、主イエスは72人の弟子を派遣するに際して際言われました。
「どこかの家に入ったら、まず『この家に平和があるように』と言いなさい。 「平和の子がそこにいるなら、あなたがたの願う平和はその人にとどまる。もし、いなければ、その平和はあなたがたに戻ってくる。」(ルカ10・5-6)
平和への願いはすべての人の願いであるはずです。しかし、神の平和、神の祝福を人々が受け入れるとは限りません。しかしそれでもわたしたちは神の取り計らいに信頼し、平和のために祈り平和のために働き、その結果は神の計らいに委ねなければなりません。
ちょうど50年前の1963年、教皇ヨハネ二十三世は『地上の平和』という回勅を発表し、当時の東西冷戦の緊張した国際情勢の中で、世界の政治指導者が冷静かつ賢明に対処することを求め、地上の平和の実現のために協力するよう呼びかけました。
「平和」とはただ戦争や争いがないという状態ではありません。平和とは神のみ心が行われていること、神のみ心が行われことによってもたらされる「秩序」であります。教皇はこの秩序を次のように要約しています。
「その秩序とは、真理を土台とし、正義によって築かれ、愛によって生かされ、最後に、自由によって実践されるのです。」
ここでいう「真理」とは何より、まず「人間の尊厳」を指しています。人間の尊厳についての教えです。誰でも人間は神の似姿として造られ、神によって「尊厳」が与えられています。互いに人間の尊厳を認め合い尊重しなければなりません。
日本カトリック司教協議会はいろいろな機会に平和を訴えるアピールやメッセージを発表してきました。第二次世界大戦終結の五十周年の1995年には、『平和への決意』というメッセージを出しました。
これは、教皇ヨハネ・パウロ2世の書簡『紀元2000年の到来』によって、励ましをうけたからこそできたことでした。教皇は、この書簡のなかで過去一千年の教会の歩みを真摯に反省しなければ二千年の『大聖年』を迎えることはできない、とわたしたちに訴えたのでした。
当時の正義と平和協議会はこの『平和への決意』に合わせて、『新しい出発のために ― 平和を愛するすべての兄弟姉妹、特にアジア・太平洋地域の皆さんへ』というメッセージを発表しました。
このメッセージは戦争責任の問題を取り上げ、「当時の教会がなぜあの侵略戦争を正しく聖なる戦争ととらえたのかということを明らかにする」という課題があることを指摘し、それを現在の自分たちの信仰の問題として、受け止め解明することが重要であると訴えています。
教会の歴史は、どんなに立派な人も聖人もその時代、その場所の影響から免れない、ということを示しています。いま現在のわたしたちがなすべきことは、過去の歩みを徒に非難することではなく、過去への真摯な反省に基づきながら、現在をより福音的に生きる、ということです。
過去に困難な状況がありましたが、わたしたちも今、難しい状況におかれております。この時の流れの中で、いま、福音の呼びかけは何であるのか、その呼びかけにどう応えるのか、ということを、わたしたちは真剣に祈り求めなければならないのです。
聖霊よ、どうかわたしたちを照らし導き助けてください、そのように祈りましょう。アーメン。