教区の歴史
聖パウロ女子修道会修道誓願宣立感謝ミサ
2013年06月30日
2013年6月30日 聖パウロ女子修道女会聖堂にて
説教
修道誓願宣立25周年、50周年、60周年を迎えられた11人のシスターの皆さん、おめでとうございます。
今日の福音はイエスが12人を選んで派遣する際に言われた言葉です。
「人々を警戒しなさい。あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で鞭打たれるからである。また、わたしのために総督や王の前に引き出されて、彼らや異邦人に証しをすることになる。」(マタイ10・17-18)
イエス自身、ユダヤの宗教指導者たちから反感を買い、排斥され、ついに十字架刑によって処刑されるに至りました。
イエスの身に起こったことはイエスの弟子たちにも起こります。弟子たちはその信仰のゆえに迫害されました。しかし、いのちをかけて信仰の証しをおこない、殉教しました。
昨日6月29日に記念した聖ペトロ・聖パウロはその模範であります。二人ともローマで殉教し、教会の礎となりました。
キリスト教はローマ帝国で迫害されましたが、信徒の数は増加し、やがて公認され、さらに皇帝も信徒となり、4世紀の終わりにはキリスト教は国教となったのです。いわばキリスト教は体制の宗教となりました。
わが国日本には、ご存知のように、1549年に聖フランシスコ・ザビエルによってキリスト教が日本に伝えられ、瞬く間に多くの人が信徒なり、教会は大いに発展しました。しかし、キリスト教の存在に危険なものを感じた国家権力はキリスト教を禁止しました。その結果、何万人もの人が殉教したと伝えられています。
長い禁教の時代を経て明治政府はキリスト教禁止の高札を撤去しました。さらに1889年には大日本国憲法が発布され、条件付きながら、信教に自由が認められるに至りました。
「信教の自由」は人類の多年にわたる努力と戦いの結果、認められるに至った最も重要な基本的人権です。現行の、わが日本国憲法も「信教の自由」を国民に保障しています。
2015年は長崎の大浦天主堂でキリシタン信徒が発見されてからちょうど150年にあたります。いまわたしたちは教会の歴史の転換点に立っています。
この節目のときを迎えて、これからの日本の福音化・福音宣教をどのように行ったらよいでしょうか?
この問題を司教だけでなく、日本の教会の信者、皆で考えていただきたいと思います。
以下、今こころに浮かぶことを三点述べてみます。
1)今年はヨハネ二十三教皇が『地上の平和』という回勅を発表して五十周年を迎えます。先日、日本の司教たちは『地上の平和』の勉強会をもちました。
東京教区も今年の『平和旬間』では『地上の平和』を学んでいただくよう、呼びかけています。
いままで日本の司教協議会は平和・人権について繰り返し発言してきました。特に戦後50周年、また60周年に際して司教団は平和についてのメッセージを発表しました。
そのような発言は第二ヴァチカン公会議の教えに基づくものです。平和のために働くことはキリスト者の大切な使命です。
わたしたち教会は、先ほど述べたような教会の歴史に学び、国家権力にたいしては、適切な距離を置かなければなりません。そして、賢明に、しかし、勇気を持って、平和のために発言する「預言者」の役割を果たさなければならない、と思います。
2)現代社会のもっとも深い問題は何か、と自らに問うに、人々の「孤独」という問題に思い至ります。多くの人は人とのつながりを失い、生きがいを失いがちです。
祈りと共に行う、神の愛の分かち合いのネットワークをつくり広げることが教会の使命ではないか、と考えます。
3)まずわたしたち教会の中でそのようなネットワークがしっかり整えられなければなりません。外の問題を問うと共に自分自身の中の問題を問うことが必要と思います。
聖霊の導きを祈りましょう。