教区の歴史
無原罪の聖マリア・説教-カテドラル献堂記念・白柳枢機卿追悼-
2011年12月08日
2011年12月8日 東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂にて
第一朗読 創世記3・9-10,20
第二朗読 エフェソ1・3-6,11-12
福音朗読 ルカ1・26-38
今日は「無原罪の聖マリア」の祭日です。「無原罪の聖マリア」とは、聖母マリアはその受胎の瞬間から罪の汚れを免れていた、という教えです。それはおとめマリアを神の母にふさわしい母とするためでありました。
この無原罪の恵みは、御子イエスの十字架によるあがないによってマリアにもたらされました。
使徒パウロはローマ書5章で言っています。
「そこで、一人の罪によってすべての人に有罪の判決が下されたように、一人の正しい行為によって、すべての人が義とされて命を得ることになったのです。」(ロマ5・18)
一人の罪とはアダムの罪です。一人の正しい人の行為とはイエスの十字架によるあがないです。明らかにアダムとキリストが対比されています。
創世記によれば、最初の女エバはアダムと一緒に神に背きました。しかし、おとめマリアは神のお告げを信じ神のお告げに従い、救い主の母、神の母となりました。明らかに、エバとマリアが比べられております。
わたしたちは罪深いものであり、原罪を持って生まれ、しかも、原罪によって汚れたこの世界に生まれました。それでもわたしたちも、清い者、聖なる者となるよう召されています。エフェソ書は言っています。
「天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、ご自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、キリストにおいてお選びになりました。」(エフェソ1・4)
わたしたちも聖母にならい、道、真理、命であるキリストによって、天の父のもとへ到達することができますように、祈りましょう。
今日2011年12月8日、カテドラル献堂記念47周年の日であります。
白柳枢機卿様は2年前の12月30日に主に召されました。枢機卿はカテドラルの建設、献堂、維持のために大きな働きをされたので、本日、カテドラル献堂記念日に、合わせて、枢機卿様を偲び追悼を行なっております。
カテドラルは枢機卿様が残された偉大な遺産のひとつであります。
今わたしは、生前白柳枢機卿が言われた言葉を思い出します。
「わたしたちは、先の世代から多くの良いものをいただいたのだから、一緒に悪いものも受け取らなければならない。」
正の遺産だけでなく負の遺産も継承しなければならない、という意味だと思います。
人類の歴史は悪の系列の歴史であると同時に善の系列の歴史です、悪の系列とはアダムの罪の歴史であり、善の系列はキリストのあがないの歴史です。
教会も同じように、負の遺産を背負っています。教会にも多くの困難と問題が山積しています。
わたしたちは、良いところ、都合の良いところだけ受け取って、悪いところ、都合の悪いところは自分の問題ではない、自分には責任ではない、とすることはできません。
わたしたちの日々は、困難と問題との取り組み、その解決と改善のために戦わなければならないのです。
わたしたちに、勇気、知恵、希望が与えられますよう、聖母の取次ぎを願って祈りましょう。