教区の歴史
復活徹夜祭説教
2011年04月23日
2011年4月23日 カテドラル関口教会にて
≪聖書朗読≫
創世記(創1-1・1,26-31a)
出エジプト記(出14・15-15・1a)
イザヤの預言(イザヤ55・1-11)
使徒パウロのローマの教会への手紙(ローマ6・3-11)
≪福音朗読≫
マタイによる福音(マタイ28・1-11)
「見よ、それは極めてよかった。」
神が創造された世界はよかった、極めてよかったのです。それでは、なぜ悪が存在するのか、という疑問が生じます。悪には災害という天災があり、事故あるいは犯罪という人災があります。そして人の犯す罪という悪があります。
日本の7歳の少女が教皇ベネディクト16世に質問しました。
「わたしは地震でとても怖い思いをしました。同じ年のたくさんの子どもたちが亡くなりました。どうしてわたしたちはこのような悲しい目にあわなければならないのですか?」
教皇様はお答えになりました。
「どうして皆さんがこのように苦しまなければならないのでしょうか。私には答えることができません。けれども私は知っています。イエスは罪がないのにわたしたちと同じように苦しまれました。神様は皆さんの苦しみをご存知です。神様は皆さんのそばにおられます。神様は皆さんを愛しておられます。世界中の人が皆さんと一緒にいてくださいます。いつか、なぜかがわかるときがくると思います。・・・」
実は神は天と地を創造されましたが、今も創造しておられるのです。父である神はいまも働いておられるのです。創造は世の終わりまで続けられるのです。
今日のイザヤの言葉を思い出しましょう。
「天が地を高く超えているように
わたしの道は、あなたたちの道を
わたしの思いは あなたたちの思いを、高く超えている。
雨も雪も、ひとたび天から降れば
むなしく天に戻ることはない。
それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ
種蒔く人には種を与え
食べる人には糧を与える。
そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も
むなしくは、わたしのもとに戻らない。
それはわたしの望むことを成し遂げ
わたしが与えた使命を必ず果たす。」
神は必ず創造のみ業(わざ)を完成し、新しい天と新しい地を実現させるのです。
「見よ、それは極めてよかった」と言われた神は必ずこの言葉どおりの世界を実現されると信じます。
本日の光の祭儀はこの神のみ業の歴史を示しています。闇の中にともる復活の光。参列者のろうそくに次々と移されて聖堂内がキリストの光で満たされます。同じように、救いの歴史は闇を追い払う復活の光で満たされて、闇が消滅するときがくる、と聖書は教えています。
悪とは善の欠如した状態、という説明があります。端的に言って、闇が悪であるとすれば、善は光であります。光のないところが闇ですから、そこに光を点せば、闇は消えていきます。
洗礼を受けるとは、キリストの光を受けてキリストの光をともす人になるということです。洗礼を受ける人は古い人が死んで新しい人として生まれ変わり、この世界を復活のキリストの光で照らす人として歩む人になるということです。すでに輝いているキリストの復活の光をさらに豊かに受けて歩んでまいりましょう。洗礼を受けられる皆さん、おめでとうございます。