教区の歴史

教区の歴史

本郷教会訪問ミサ説教

2010年08月01日

2010年8月1日 年間第18主日 本郷教会にて

 

第一朗読 コヘレトの言葉1・2,2・21-23

第二朗読 使徒パウロのコロサイの教会への手紙3・1-5,9-11

福音朗読 ルカ12・13-21

 

8月6日からの10日間は日本のカトリック教会の『平和旬間』です。最近発行された『東京教区ニュース』に皆様の主任司祭井手雄太郎神父様のインタヴュー記事が載っております。この記事によりますと、井手神父様の父上と弟様は8月9日の長崎での原爆投下の犠牲者でいらっしゃいます。ここに謹んでお二人の永久の安息をお祈りすると共に、この戦争でなくなられたすべての人の永久の安息のために祈りをおささげいたしましょう。

 

今日の第1朗読はコヘレトです。「伝道の書」とも呼ばれ、人生の空しさが繰り返し述べられ、「すべては空しい」といわれています。この世と被造物は人間の心を満たすことはできないのです。

本日のルカの福音では倉を壊して大きな倉を建てる金持ちの話です。金持ちは多くの財産を大きな倉に入れて安心を得ようとします。しかしその金持ちの命はその計画を立てたその夜に取り去られてしまいます。いくら財産をつんでも心からの安心と幸福を得ることはできないのです。

戦争に敗れた日本は経済価値によって安心と幸福を追求する道を選びました。わたしにとって1960年代は大学生、神学生の時代でしたが、ちょうど高度経済成長の時代にあたります。その結果わたしたちは幸福になったでしょうか? 今年2010年貧困とともに孤独と生きがいの喪失の時代であります。3万人を超す人が自死を遂げる時代です。

今日の朗読で聖パウロは言います。

「上にあるものを求めなさい。・・地上的なもの、すなわち、みだらな行い、不潔な行い、情欲、悪い欲望、および貪欲を捨て去りなさい。貪欲は偶像崇拝にほかならない。互いにうそをついてはなりません。古い人をその行いと共に脱ぎ捨て、造り主の姿にならう新しい人を身に着け、日々新たにされて、真の知識に達するのです。」(コロサイ3・1,5-10)

パウロは日々新たに生まれ変わりなさい、と勧めています。わたしたちは神の恵みを受けて日々新たにされなければなりません。新たにされるためには地上のものへの執着を捨てなければならないのです。日々自分を捨てて日々小さなささげものをささげるならば、わたしたちは少しずつでも、日々新たにされるのでしょう。

 

今日もわたくしはラインホールド・ニーバーという神学者の『静けさの祈り』を紹介したいと思います。ニーバーはプロテスタントでアメリカ人です。第2次大戦中の行なった説教に由来しているといわれています。

 

Serenity Prayer

God grant me the serenity

to accept the things I cannot change;

courage to change the things I can;

and wisdom to know the difference.

 

神さま、私にお与えください

変えられないものを受け入れる心の静けさを

変えられるものを変える勇気を

そしてその二つを見分ける賢さを。

 

この知恵と勇気は堅信の秘跡が授ける7つの聖霊の賜物の中の二つです。

祈りましょう。

わたしたちはこの世界を、この社会を、わたしたちの教会をもっとよくしたいです。新しく造り変えたいです。でもそれは簡単ではない。難しいです。他の人を変えるのも難しい。人を変える前に自分を変えてください。人のせいにしないで自分を変えて生まれ変わらせることができますように。どうか主よ、わたしたちに聖霊を注ぎ、知恵と勇気をお授けください。アーメン。