教区の歴史
復活節第5主日ミサ説教
2010年05月02日
2010年5月2日 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて
今日の第2朗読はヨハネの黙示です。「わたしは、新しい天と新しい地を見た」
ということばで始まります。わたしは「新しい天と新しい地」ということばをいつも心に思いながら日々過ごしています。今日説教するに際して、昔となえていた「公教会祈祷文」の中の「始業の祈り」を思い出しました。
次のような祈りです。
「聖霊来たり給え、信者の心に充ちたまえ。主の愛熱の火をわれらに燃えしめ給え。
主よ、聖霊を遣わし給え、しかしてよろずの物は造られん。地の面は新たにならん。」
後半の祈りの言葉は詩編104編30節から取られています。新共同訳では次のようになっています。
「あなたはご自分の息を送って彼らを創造し、地の面を新たにされる。」
神は絶えずご自分の息である聖霊を送り、地上を新たにしてくださいます。神の創造の働きは創世記の一章で終わったのではなく、世の終わりまで絶えず行なわれ、イエス・キリストの再臨のときに完成されます。その完成された状態が今日の黙示録の朗読に出てくる「新しい天と新しい地」(21・1)であります。そのときには万物は刷新され「海」は消滅します。聖書で言う「海」とは悪の存在と支配を表しています。一切の悪が克服された状態が「新しい天と新しい地」であります。
聖パウロも言っています。そのときには「被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれる」(ロマ8・21)時が来るのです。
世界の歴史は救いの歴史であり、それは創造と解放の歴史です。
人間はこの壮大な神の計画の中で、神の愛を実行することにより、この計画の実現に協力します。
イエスは言われました。
「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13・34)
愛することは難しいと感じますが、イエスがわたしたちを愛してくださったことを思えば、愛する心、愛する力がいただけると思います。実際、わたしたちが互いに愛し合う、その愛する力は聖霊によって与えられます。使徒パウロが教えるように、聖霊によってわたしたちは日々新たに生まれ変わることができます。聖霊の働きを受けて人間は日々新たにされ、旧い人を脱ぎ捨て、新しい人を着、キリストに似たものに変えられていくのです。
ところで生身の人間であるわたしたちは、時間が継続すると活力が衰え、息が切れてきて、元気に創造的・建設的な活動を行なうことができなくなってしまいます。神は創造の7日目を安息日に定めました。人間は安息の時間を持たなければなりません。時の流れに節目節目に休息と回復の機会を設け、神の安息にあずかり、神の息を受けて新しくしていただく必要があります。
日本語のケガレは「気枯れ」という説があります。気とは元気の気ですが、わたしは神の息、聖霊のことだと思います。
「荀(まさ)に日に新たに、日々に新たに、又日に新たなり。」
中国の古典「大学」にある言葉だそうです。
主の復活を祝う今日、復活のキリストから豊かな聖霊を注がれ、愛するための力を豊かに受けることができますよう、祈りましょう。