教区の歴史
三位一体の主日ミサ説教
2009年06月07日
2009年6月7日 築地教会にて
おはようございます。今日は三位一体の主日です。聖霊降臨の日を祝った私たちは今日、三位一体の神秘を深く味わいながら、イエスさまから受けた使命、すなわち全世界に行って「よい便り」、福音を宣べ伝えるという使命について深く思いをいたしたいと思います。
「あなた方は行ってすべての民を私の弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなた方に命じておいたことすべてを守るように教えなさい。」弟子たちにそのようにおっしゃいました。また「私は世の終わりまで、いつもあなた方とともにいる」とおっしゃいました。私たちは父と子と聖霊の神様を信じております。聖霊降臨を祝ったばかりですが、聖霊が弟子たちの上に注がれました。同じ聖霊が私たちの上にも注がれて、私たちは聖霊のすみかになり、聖霊の働きをとおして、イエス・キリストの教えを悟り、教えを宣べ伝えることができるようにとされております。
「全世界に行って教えを宣べ伝えなさい」。この日本の地にも福音が伝えられました。聖フランシスコ・ザビエルが日本に福音を伝え、日本には多くの信者ができましたが、時の為政者、国を支配する者はキリストの教えを危険なものとみなし、キリスト教の宣教を禁止しました。そのために多くの殉教者が生まれました。昨年11月24日、ペトロ岐部と187人の殉教者が福者に列せられたことを皆様ご存知でしょう。
そういう教会の歴史の中で、パリ外国宣教会という会が作られ、日本に司祭を派遣したのです。再宣教された日本の教会は、江戸時代の終わり頃から始まりました。宣教が許されたのは明治になってキリシタンの禁札が撤去された時からだと思いますが、パリ外国宣教会の神父様方が日本の宣教を担当しました。今日、日本の教会があるのはパリ外国宣教会の当時の神父様方のおかげです。昨年の6月、私はパリに参りました。パリ外国宣教会創立350周年祭というものがあり、日本の教会にも「350年祭に来て下さい」とご招待をいただいたのです。6月、パリのノートルダムの大聖堂で盛大なミサが捧げられ、パリの大司教様が説教をされました。
私はその機会に是非したいことがありました。それはムガブル大司教様(ピエール・フランソワ・ムガブル第2代東京教区長 在位1906-1910 +1910.5.27)のお墓参りです。連れて行っていただきました。ちょうどアジサイの盛りで、教会の壁に大司教様のお墓があり、そこにアジサイの花が供えられていました。そこでミサをささげました。
そのムガブル大司教様のひとつ前の大司教、つまり初代の東京教区大司教がピエール・マリー・オズーフ大司教様です。調べたら1906年6月27日に帰天。ですから103年前です。この築地の司教館で亡くなられたようです。77歳。ノルマンディー出身で、クータンス教区の方だそうです。40代後半になって司教に任命され、日本に来られたので、しっかり日本語を習う間がなく、あまり日本語はお分かりにならなかったようです。大変優しい、思いやりの深い方だったようです。本当に祈りの人であり、誠実な人でした。神に対して誠実、隣人に対して誠実、自分に対しても誠実であることを生涯貫いた方だったと伝えられております。
日本の教会の歴史を少し振り返りますと、日本使徒座代理区、あるいは代牧区と訳していますが、できたのは1846年です。それから30年後の1876年に北緯と南緯の2つに分かれて北緯使徒座代理区ができ、オズーフ神父さまが司教に任命されました。1877年に横浜天主堂からここに移って来られて、築地天主堂が司教座聖堂となりました。1891年に日本で初めて教区ができました。1891年、日本は東京、長崎、大阪、函館の4教区になり、オズーフ司教が東京の大司教になりました。
わたしたちは殉教者をいただき、そしてパリ外国宣教会の神父さまたちの働きを受けて、いま、日本の教会、東京教区は同じイエスさまの命令に従って、福音宣教あるいは福音化の使命にまい進していかなければなりません。
第二バチカン公会議が行われ、教会が神の民であるという自覚を深め、信徒の皆様が今まで以上に教会の運営の責任を担い、かつ一人一人がイエス・キリストの国を伝え、証しすることが大変期待されております。私たち信者は生涯にわたって養成を受け、あるいは支えあっていかなければなりません。
私たちの霊的成長と同時に、私たちの教会は国際化しております。多国籍化しております。いろんな国から来た方が日本の教会に入っていく。半数以上はおそらく外国から移住して来られた方です。お互いに理解し合い、受け入れ合って、日本にある教会として成長していかなければならないと思います。
また「心の問題」で悩む人も多い現代です。自死を遂げる人が11年間連続3万人以上います。本当に生きるのが難しい。ストレスが多い今、教会が本当に人々を癒し、慰め励まし、そして助けるものでありたい。大都会の砂漠の中で生きる力、生きる希望を見出すオアシスのような教会、共同体でありたいと願っております。
この伝統ある築地の教会の共同体が、東京という難しい場所において人々の光・希望・生きがいと励ましを心から願い、皆様と一緒に祈っていきたいと思っております。
東京教区の3つの優先課題、「私たちの生涯養成・霊的成長」「多国籍教会としての成長」それから「心のケア・心の問題」、この3つを皆様と一緒に取り組んで生きたいと思っております。
皆様、よろしくお願いします。