教区の歴史
習志野教会堅信式説教
2007年11月18日
2007年11月18日 年間第33主日
待降節が近づいてきました。教会の典礼は終末、キリストの再臨について述べます。今日の3つの朗読に共通しているのは終末、再臨ということです。キリストの再臨の前にいろいろなしるしが現れます。そのなかに迫害があります。今日の福音はその迫害について述べています。
「これらのことがすべて起こる前に、人々はあなたがたに手を下して迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために王や総督の前に引っ張って行く。 それはあなたがたにとって証しをする機会となる。 だから、前もって弁明の準備をするまいと、心に決めなさい。 どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授けるからである。 あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる。中には殺される者もいる。 また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。 しかし、あなたがたの髪の毛の一本も決してなくならない。 忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい。」(ルカ21.12-19)
殺される者も出てくるが髪の毛の一筋も失うことはない、キリスト者は忍耐によって永遠のいのちに入ることができるとイエスは教え励まします。迫害にあっていのちをかけて信仰を証しし、永遠のいのちをかち取った人が殉教者です。堅信の秘跡とは、信仰を証しする恵み、殉教にまで至るほどの強い信仰を授ける秘跡であります。
日本は殉教者の国であります。来年の11月24日、長崎で188殉教者の列福式が行われます。この列福式について今日、少しお話します。(詳しくは司教団の出した冊子に出ております。「列聖列福特別委員会」の委員長溝部脩司教の編集した冊子『ペトロ岐部と187殉教者』を是非読んでください。)日本には26聖人をはじめ多数の殉教者の聖人・福者がおりますが、これらの列聖・列福は日本の教会がイニシアチブをとって実現させたものではありません。イエズス会などの修道会による運動と努力の成果です。しかし、今回の列福は日本の教会主導によるものです。ここに大きな意義があります。ペトロ岐部と187殉教者が列福されるのですが、実は他にも多くの殉教者がおります。その人たちのことを決して忘れてはなりません。
今回、列福される殉教者は日本人に絞られています。また日本全体を網羅し、信徒に重点を置き、女性、障害者、子どもを含むように配慮しました。司祭は代表的司祭4人と一人の修道者が含まれているだけです。列福の目的は現代日本社会の福音化のために、強く暖かいメッセージを送ることにあります。いのちをかけて訴える価値、どうしても譲れない価値があることを現代社会の人々に訴えることが殉教者列福の目的です。
今年の11月はちょうど第1回福音宣教推進全国会議が開催されて20周年です。このNICEと呼ばれる日本の教会の刷新運動を振り返りながら、これからの日本社会の福音化へ向けて決意を新たする大切な時であります。韓国の司教様方から聞きましたが、韓国の社会も日本と似た状況にあります。それは経済価値優先と個人の人格尊重の軽視です。一人ひとりが神の前にかけがえのない存在として大切にされる世界の建設にために、キリスト者は召されています。そのためにまずわたしたちの中にお互いを大切にし合う交わりがなければなりません。
東京カテドラル聖マリア大聖堂の改修工事は無事終了しました。皆様のお祈りと献金に感謝いたします。これからは次のような祈りをもってなお前進したいと思います。
「東京カテドラルと東京教区のすべての聖堂で行われる神の民の典礼が、あなたの愛と光を現すものとなり、それに参加するわたしたち一人ひとりが、多くの人にあなたのいやしと励ましを伝えることができますよう、聖霊を豊かに注いでください。アーメン。」