教区の歴史

教区の歴史

聖霊降臨・合同堅信式説教

2007年05月27日

2007年5月27日 14:30~ 東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

 

聖霊降臨の日を迎えました。

わたしたちは父と子と聖霊の三位の神様を信じていますが、三位の神様のなかでの今日の「主役」は聖霊であります。

第1朗読は使徒言行録(2・1-11)です。聖霊は民族、文化、言語の違いを超えて、すべての人を一つに結んでくださることを示しています。わたしたちの間には民族、団体、個人としても隔たり、溝があります。すなわち、お互いに相手のことがわからない、相手にわかってもらえないという問題であります。お互いに意思が通じない、分かり合えないということです。しかし、聖霊はこの問題を克服してくれるのです。聖霊降臨はそのことを教えてくれます。 

第2朗読はコリントへの教会の手紙(一コリント12・3b-12-13)です。聖霊は一人ひとりに固有の恵みを与えます。皆少しずつ違う恵み、あるいはかなり違う恵みですが、皆それぞれ同じ神の恵み、賜物を受けます。それは同じ聖霊の働きであるからです。今日、堅信の秘跡を受けられる皆さんには聖霊の7つの賜物が与えられます。皆同じキリストの体に属するものです。皆同じキリストの体をつくるのです。 

今日のヨハネ福音(14.15-16、23b-26)の朗読は聖霊の派遣についてです。主イエスは聖霊を弟子たちに派遣することを約束されました。それは慰め主である聖霊、真理の霊です。弟子たちに平安と罪のゆるしを与える神の霊、キリストの霊です。 

ところで、聖霊は信者にだけ働くのでしょうか。わたしたちの神はすべての人の父です。神はすべての人の救いを望まれる神です。「神は、すべての人々が救われて真理を知るようになることを望んでおられます。」(一テモテ2・4)

第2バチカン公会議の『現代世界憲章』は教えています。神は「神だけが知っている方法によって、聖霊が復活秘義にあずかる可能性をすべての人に提供すると信じなければならない。」〔22項〕

信者であるからといって信者でない人より、聖霊の恵みによく応えられるといえるでしょうか。信者でない人にも聖霊は働いているのです。聖霊の働きを良く受けるためには「とらわれ」があってはなりません。わたしたちはいろいろな「とらわれ」「こだわり」があるのではないでしょうか。「とらわれ」「こだわり」を捨て、清い心、謙遜な心、従順な心になって聖霊の勧めに従うようにいたしましょう。 

私は2007年を迎えるにあたり「4つの和解と平和」という課題を思い浮かべました。紀元2000年の大聖年を迎えたときのことを思い出したのです。4月の和解、平和とはまず神との和解です。それは神と相応しい関係にあること、罪のゆるしをいただくことです。私は先日、東京教区の皆さんにゆるしの秘跡を受けるよう勧めるために『神のいつくしみに信頼して』という手紙をお送りいたしました。神との和解が隣人との和解の始まりであり基礎であると思います。そして実は神との和解は隣人との和解と結びついているのです。神と和解すれば隣人との和解はどうでもよいというわけではありません。難しいことですが、個人としても団体としても国家としても、忍耐と寛容をもって隣人と和解したいものです。そしてさらに自然との和解。神が造られた世界は美しく良いものでした。しかし、今は環境破壊が進み、人類と自然との関係が破綻しています。人間は自然とのつながりのなかで生きるものであり自然に活かされているのです。創造の神への信仰を新たにいたしましょう。神は日々この地を新たにし、創造の業を続けられ、やがて世界を「新しい天と新しい地」として完成してくださるのです。そして自分との和解です。弱い、直らない、罪人である自分を受け入れ神に委ねる。神の愛を信じて。日々新たに生まれ変わりましょう。神との和解、隣人との和解、自然との和解のなかで真の自分を発見し、自分を受け入れ、自分との平和を保つことができると思います。この4つの和解、私自身にとっても大きな課題です。皆さん、力を合わせ共に祈りながら、この4つの課題の達成に取り組んでまいりましょう。