教区の歴史
主の降誕・夜半のミサ
2003年12月24日
2003年12月24日、東京カテドラル聖マリア大聖堂にて
主の降誕の祭日を迎え、すべての人が平和と救いの恵みを受けられますよう祈ります。
クリスマスは一年中で最も多くの人が教会へ来てくださるときです。信者でない方もクリスマスには教会へ行ってみようと考える人がいます。日本のキリスト教信者は国民の1パーセントに過ぎないのですが、「クリスマス」を知らない人はおそらくいないでしょう。ある意味でクリスマスは日本人の生活に浸透したと言えます。といってもクリスマスの正しい意味が多くの人に理解されているという訳ではありません。わたしたち教会はクリスマスを福音宣教のよい機会として活かし、クリスマスの意味を多くの人に伝えていかなけ ればならないと思います。
クリスマスがすべての人に伝えるメッセージは何でしょうか。わたくしは、それは「すべての人の誕生を祝うこと」ではないかと思います。クリスマスはイエス・キリストの誕生を祝う日です。イエスの誕生を祝うことがすべての人の誕生を祝うことにならなければならないと思います。今の世界を見て下さい。いのちがいかに粗末に扱われていることでしょうか。多くの人が戦争・テロ・紛争・暴力・飢餓・貧困・犯罪などでいのちを奪われ傷つけられています。また。自分で自分のいのちに終止符を打つ人も少なくはありません。また子どもを生んで育てることに不安を感じる人も少なくはないのです。わたくしは、すべてのいのちが尊ばれ大切にされる世界を築いていくことこそわたしたち人類の共通の使命であり緊急の最重要課題であると思います。日本のカトリック教会も、東京教区もそのために力を尽くさなければなりません。クリスマスが真にすべての人の誕生祝となる日を目指して毎日祈りと努力を重ねてまいりましょう。
聖パウロは今日の朗読で教えています。「すべての人々に救いをもたらす神の恵みが現れました。その恵みとは、わたしたちが不信心と現世的な欲望を捨てて、この世で思慮深く、正しく、信心深く生活するように教え、また、祝福に満ちた希望、すなわち偉大な神であり、わたしたちの救い主であるイエス・キリストの栄光の表れを待ち望むように教えています」。日々、主なる神への信仰と希望をもって、生活のなかで、イエスに倣い、聖霊に導かれて、すべてのいのちを大切にされる神の愛を示し生きていくことこそ、わたしたちの福音宣教であります。
2003年10月19日、教皇様はマザー・テレサを福者と宣言されました。このマザー・テレサは次のように言っています。「わたしたちの中には偉大なことを行うことのできる人は少ない。でも、わたしたちの全員、大いなる愛をこめて小さなことをすることができます」。
わたしはこの言葉を見つけて、ああ、これだな、と思いました。「小さなことを大きな愛を込めて」これだと思います。
小さな弱い無力な幼子となられた主イエス・キリストの恵みと平和がいつも皆さんとともにありますように。