教区の歴史

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前仙台教区教区長 佐藤千敬司教 葬儀ミサ

2002年11月15日

2002年11月15日

 

ライモンド佐藤千敬司教様の葬儀に際し、はなはだ僭越ですが、一言申し上げます。

佐藤司教様はもともとドミニコ会の修道者でした。神の摂理によってドミニコ会の司祭が司教になったのです。1976年から1998年の22年間の長きにわたり、仙台教区の司教を務められました。

第2ヴァチカン公会議は司教の務めについて次のように教えています。

「部分教会の世話を託された各司教は、ローマ教皇の権威のもとに、それらの教会の固有、本来、直接の牧者としての自分の羊たちを主の名において牧し、彼らを教え、聖化し、統治する任務を行使する。」

教える任務の中で特に優れているのは福音を人々に告げ知らせるという任務であります。その際に特に配慮すべきことは、貧しい人、弱い人に優先的に福音を伝えるということです。司教は人々のところへ赴き、話し合いを求め、彼らの声によく耳を傾けるよう努めなければならないと、公会議は教えています。

教える任務とともに聖化する任務もまた大切です。司教は、神の諸秘蹟の主要な分配者であるとともに、自分に託された教会における典礼生活全体の統制者、推進者、監督者でなければなりません。

さらに、司教の任務の中には統治する任務があります。統治するとは奉仕することに他なりません。これは時として非常に困難である場合があります。

司教は、自分の任務を分かち合い日々熱心にその務めを果たしている司祭に対して特別な愛をもって接し、彼らを自分の子供ならびに友と考え、彼らの意見を聞くという心構えを持たなければなりません。信頼をもって彼らと話し合いながら、教区全体の司牧活動を推進するよう努めなければならないのであります。

佐藤司教様は仙台教区の司教として、この3つの任務を遂行されました。晩年は病気のため、十分にその任務を果たすことができず、定年を待たずに引退されました。もちろん人間としての限界も感じておられたことと思います。しかし、与えられた使命を精一杯生きられ、今は神の懐で安らかに憩われていると信じます。

わたくしは仙台司教としての佐藤司教様の働きは直接には知りません。それは皆様がご存知です。しかし、わたくしは司教協議会の一員である佐藤司教様をよく知っていました。長い間ご一緒に働かせていただきました。前半は司教協議会の司祭として、後半は後輩の司教として。

佐藤司教様はドミニコ会士らしく、種々の会議の時には論理の正確さを大切にし、時には人の論理の矛盾を鋭く指摘することもありました。

司教は司教協議会の仕事を分担します。佐藤司教様の業績として目立つのはカリタス・ジャパンの仕事です。かなり長い期間、担当司教を務められ、国内外の貧しい人、困っている人の支援・救済活動に献身されました。大きな功績であると思います。

また多年、司教団の財務の仕事も担当され、健全で適正な財務となるようきめ細かく指導を行ってこられました。これも大きな働きであったと思います。

仙台教区は2年前に溝部脩司教様を迎え、新たな歩みを始めました。佐藤司教様の帰天は悲しいことですがこれをかえって佐藤司教様からの励ましとして受け止め、課題と問題を整理し、決意を新たに、東北の地における福音化の任務に取り組んでいただきたいと切に願っております。

 

(当日の話を後日多少修正したものであることをお断りします)