教区の歴史
武蔵野地域協力体 「新しい一歩」に応えて
2001年12月15日
武蔵野地域協力体
(高円寺教会、荻窪教会、吉祥寺教会、小金井教会、小平教会、府中教会、調布教会)
運営委員
森山勝文(吉祥寺)
中村智子(小平)
鈴木隆(荻窪)
はじめに
武蔵野地域協力体では、6月17日の岡田大司教との懇談で「新しい一歩」についての構想を伺い、教区集会を経て、9月9日、10月21日、12月2日の3回の会合をもった。
会合では8月1日付け「教区集会を終わって」の文書に記載された要請に従い、「問題と課題をどのように受け取ったか」「共同体、協力体のユニークな特徴は何か」について分かち合い、再編成にあったての留意点を話し合った。その後、協力体運営委員が本報告のまとめにあたった。
Ⅰ.「どのように受け取ったか」「理解したか」「率直な感想」の分かち合い
- ねらいが、司祭不足の解消だけにあるのではなく、21世紀の社会に向けて宣教する教会に改革することにあると、改めて感じた。
- 信徒の関心や問題意識は決して高くない。これまで、教会の活性化への取り組みは、司祭にまかせっぱなしだったので、教会委員など一部の信徒を除いて、司祭にお任せすればよいと感じているようだ。
- 8~9割の信徒が何のことなのかよく分からないと言う。自分の関わりの範囲では、問題点が見えてこない。
- 6月にはじめて司祭不足の問題に直面した。修道会の教会なので、司祭には恵まれていた。同じ修道会が複数の小教区を担当しており、自分のところだけの独自の動きはできない。何とか問題を共有するところで、精一杯だ。
- 問題を共有するのも難しい。司祭の人事制度の問題ではないかと認識している。信徒一人ひとりを考えたとき、どうして欲しいかといわれても、回答のしようがない。
- 信徒の問題意識はやはり低い。司祭の交代に伴って、司祭不足が深刻なことに気付いたが、司祭の人事の問題、制度の問題だと思う。
- 司祭が足りないのではなく、小教区以外にも司祭として関わる場面が増えてきたことも分かる。
- 司祭が足りないのなら、終身助祭を増やして対応できないか。
- 数の問題ではないのではないか。オールマイティーの司祭が、小教区を担当するというスタイルから、専門性を生かして小教区を超えて機能的に分化した領域を司祭が担当するというスタイルに変えること、教会の体質改善が目的なのではないだろうか。
- 修道会との契約のこととなると、司教、教区長の専管事項だと思う。
- 「新しい一歩」で提起された問題は、理解できるけれど、共有できない。
- 宣教する小教区、宣教する信徒といっても、現実として信徒の中にはそこまでの意識はないのではないか。自分の枠の中で教会と出会っていて、素朴に活動している。
- 宣教観、司牧観、小教区観はそれぞれのイメージがある。それを共有することはたいへんなことだ。教区長の権限で、はっきりとした方向性を示して、体質改善や制度の改革を進めていってはどうだろう。基本構想を示して欲しい。
Ⅱ.小教区の特徴についての分かち合い
〔吉祥寺〕
- 主日のミサは、6回行なわれていて、それぞれに参加する人たちはある程度固定している。土曜日には、日曜日に来られない人が集まり、また、日曜日の9時は、教会学校とその父母、夕方6時もほぼ決まった人が来る。ミサが中心となって、誰が来ても参加できるように心がけている。したがって、1つの場所に、ミサを中心とした6つの教会が存在しているようにも思える。
- 交通の便はよい。高齢者が比較的多く、若者は少ない。
〔荻窪〕
- 規模の小さい小教区で、顔の見える関係があり、共同体的なつながりがある。
- 古い住宅街が広がっていて、若い子育て中の家族は少ない地域なので、高齢者が多く若者は少ない。教会学校の人数も一桁。
- 信徒が、司祭の指導のもとで、自立して小教区の共同体を豊かに運営していくことがで来るように、信徒会の規約を改正している。
〔小金井〕
- 鉄道の駅、小金井からは徒歩20分、花小金井からは徒歩25分で少々不便だが、小金井街道沿いのバス便がよく、また病院の駐車場も日曜日に利用できて便利。
- 桜町病院と同じ敷地の中にある。26年前に小教区として独立したが、戸塚師が始められた病院の70年近い歴史を踏まえ、その責任を果たすことも考えるべき。
- 病院のほか、老人ホーム、ホスピスがあり、求道者や祈る人の数も多い。
- 立地は、多摩方面から見ても東の端、中央線と西武線の間にあり、どこで線を引いても「端」になり、地域の位置付けが難しい。
〔高円寺〕
- 東に麹町、西に吉祥寺があり、これらの大きな教会が求道者を引きつけるので、若い人が入ってこない。高円寺が痩せていくのは当然。
- しかし、ボーイスカウトの登録は200人もいる。
〔小平〕
- 50年前にサンタマリア幼稚園を信徒が開園。その2年後に小教区となった。それまで神学院でミサに預かっていた信徒の家族が、ここに集うようになった。2000年春に幼稚園は廃園。
- 1000人程度の参加で、主日のミサは3回、メンバーはほぼ固定している。
〔調布〕
- 東京教区でサレジオ会が担当する5つの小教区のうちの1つ。
- 青少年の教育というサレジオ会のカリスマがあるが、小教区を担当している点では、教区のために、福音宣教のために協力したい。
- ただし、修道会として会憲、会則上の制約があるので、主任司祭として独自に動けない。会の責任者と、教区長との間の話し合いでしか調整は無理であろう。
- サレジオ会の教会どうしだと、すぐに協力してイベントを開催できる。ユースフェスティバルは一年おきにしている。
- 小教区に隣接して神学校があり、神学生を含めて20人ほどのサレジオ会員が暮らしており、司教区も手伝ってくれる。
〔府中〕
- 駅から5分、国分寺からもバスがあり、交通の便はよい
- 150人から200人がミサに参加し、平均年齢も30歳代で、子どもの数も多く、顔の見える家族的な雰囲気がある。
- ミラノ外国宣教会の教会なので、今回の再編制については、教区と修道会との間の問題で、信徒が発言できることではないだろう。
- 英語のミサに集うフィリピンの方々との交流も最近は深まってきた。
〔武蔵野地域としての特徴〕
- となりの教会がすぐ近くにある。(高円寺)
- どなたでも来られるような体制を作って、地域に貢献する(吉祥寺)
- 病院、療養所が多い地域で、入院などで不便がある方に対しても、連携してサポートができる。(小平)
Ⅲ.再編成にあたっての留意点につての意見交換
- 現在の武蔵野地域協力体にこの7つの教会が所属していることの必然性がない。大都会の東京においては、公共交通の便が協力体制を組む上での重要な点となる。従って、JR中央線、西武線、京王線という軸で、現在の協力体への所属を超えて、見直してみることも必要である。〔小平〕は、西武線を念頭に置いて、〔清瀬〕〔秋津〕〔関町〕と組むことを提案している。
- 協力してことを行うときに、あえて不便な組み合わせをつくることは避けたい。教会が近くにあるからまとめるのではなく、その土地にどのような地域としてのアイデンティティがあるのか、行政体の協力関係はどうなのかを知る必要がある。多摩、武蔵野は地域的なイメージを作れるが、城西地域をイメージするのは難しい。
- 教区が再編成に取り組もうとしている今日、信徒はもうすでに、どの小教区に所属するかを個人のレベルで選択している。交通の便、勤務の形態、家族構成、ライフステージ、などの要素を考慮して、自分の信仰生活に合った小教区を信徒が選んでいる。このことは、麹町や吉祥寺に、本来のテリトリー以外に住むたくさんの信徒が所属する現象をみて、明らかである。再編成の前に、麹町・吉祥寺現象をどのように教会として受け止めるか、回答を出す必要がある。つまり、教会法での小教区の所属についてのルールについて、大都会の東京では、信徒の信仰生活の上でのメリットを生かすために、信徒個人が自分の所属する小教区を選択できるように、きちんと承認することが肝要である。法は法、実情は別となれば、指導する司祭の解釈の違いによって、混乱が生じることは明らかである。個人レベルでの選択がすでになされていることをご破算にして今回の再編成を進めることは、絶対に避けるべきである。
- 交通の要所にあり、テリトリー以外からたくさんの信徒が集まる、〔麹町〕〔吉祥寺〕〔田園調布〕の三大小教区が、無期限で修道会の司牧に任されていることも不自然である。