お知らせ

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Tangible Ⅱ第1号

2024年05月31日

私たちは「聖臨奉」?

東京大司教区 生涯養成委員会担当
補佐司教 アンドレア・レンボ

「聖臨奉」という造語があるか否か分かりませんが、「聖体授与の臨時の奉仕者」という表現があまりにも長いので、ちょっと縮めて表現してみました…(笑)。

ところで皆さんは「聖体授与の『臨時』の奉仕者」という表現を、今まで、一度でも聞いたことがおありでしょうか?

教会は「聖体授与の『通常』の奉仕者」を助ける固有の奉仕職として、「聖体授与の『臨時』の奉仕者」という奉仕職を定めています。

「聖体を授与する通常の奉仕者」は司教・司祭・助祭であり、また、いわゆる「聖体奉仕者」という名称は、正確には、司祭のみに属すると定められていることに基づき、日本カトリック司教協議会は、2007年度の定例司教総会において、聖体授与に携わる信徒の奉仕者の名称を「聖体授与の臨時の奉仕者」とすることを決定しています。

この決定に基づき、私たちも、今後、この奉仕職を、とても長いですけれども、「聖体授与の臨時の奉仕者」と呼ぶことにします。

聖体授与に携わる信徒の奉仕者の名称として、今後、「聖体奉仕者」という表現は使いません。忘れてくださいね。

養成講座の再開

さて、信徒・奉献生活者・司祭たちの高齢化、あるいは、ミサをはじめとする典礼を支える人数の不足は深刻です。この傾向は、これから、ますます、強くなっていくことでしょう。

そこで今回、東京大司教区では、長らく途絶えていた教区主催の「『聖体授与の臨時の奉仕者』養成講座」を再開し、開講することにしました。

基本的な考え方

司教によって認定・任命されるこの奉仕職には、事前の適切な学びの機会がどうしても必要です。しかし、本来、教区が責任を持って準備し、開催すべき講座は、諸事情により、長らく開催することができませんでした。

このため、各小教区や宣教協力体単位では、これまで個別・独自に講座が開催され、日々の奉仕に携わる信徒の方々を養成してきてくださいました。たいへん申し訳なく思っていますし、また、本当にありがたいことだと思っています。

まず、今回、教区主催の『「聖体授与の臨時の奉仕者」養成講座』を開講するにあたって、私は、その準備を生涯養成委員会に委ねました。

また、その際の原則を以下のように立ててみました。

⑴ この奉仕職は名誉職ではないので、各現場の奉仕の必要性に鑑みて、実際の奉仕に携わってくださる方々を新たに養成する仕組みであること
⑵ その仕組み作りをしたうえで、教区内のすべての小教区・宣教協力体・奉献生活者が参加できる学びの機会、養成講座を開催すること
⑶ この講座を2025年度中に開催し、講座を受講し、司教の認定・任命を受けた方々が、2026年の御復活から、所属の各小教区にて、実際の奉仕を始めることができるようにすること

です。

その他にも、特徴はいろいろと…

今回、教区主催の「『聖体授与の臨時の奉仕者』養成講座」では、これまでとは異なり、集会司式者の養成、認定・任命とは切り離します。今後、集会司式者の養成が必要と思われる地域においては、個別に養成の場を設けることにしたいと思っています。

つまり、「聖体授与の臨時の奉仕者」は、あくまでも主日のミサをはじめとする典礼において、また、病床訪問において、御聖体に携わる奉仕者のことを指すことになります。

次に、何の学びもなく、また、具体的な奉仕の振り返りや分かち合いの機会が用意されないままに、自動的に名簿上の更新だけが繰り返されてきた、これまでの認定・任命方法はやめることにします。

具体的には、2025年度をもって、これまで行われてきた1年ごとの更新は終了し、今回の講座に参加なさり、認定・任命を受けられた方々が、2026年の御復活から新たな奉仕職につくことになります。

そして、一定期間を経た後に、これらの方々が引き続き奉仕を望む場合には、更新プログラムを受けていただき、更なる奉仕のために、再認定・再任命を受けることになります。また、新規の奉仕者養成のための養成講座も、この時期に合わせて、再び、開催されることになります。

変化をもたらす旅路ゆえに

「今まで通りでいいじゃないか?」「なぜ、もう一度、最初から勉強し直さなくちゃいけないんだ?」「主任司祭の、口頭による任命だけで十分だろ?」「これまで何もしてこなかったのがいけないんだろ!」

私たちの準備を聞きつけた方々から、このような言葉が、すでに聞こえてきます。

しかし、これからの10年で、東京教区の状況は、そしてそこにある小教区の状況は、大きく変化をしていくことは確実。少々、遅きに失した感もありますが、今、この段階で具体的な準備をしておかないと取り返しがつかないことになります。

たとえ、どのような状況を迎えることになったとしても、教会における秘跡、その中でも特に、洗礼やエウカリチスアによって、私たちは神や人々に結びつけられ、また、神と共に、人々と共にあり続けることになります。そのための奉仕はなくなることはありません。

準備は始まったばかりです。

この準備については、今後、新たに「TangibleⅡ」の紙面を通じて、具体的な準備の過程・情報を公開していきます。「聖体授与の臨時の奉仕者」となることを望む方々、また、これらの方々を支える仲間の方々の応援をお願いします。

主の御からだを分かち合うために 第1回

「奉仕への心構え、ご聖体に対する信仰」

これから、このコラムを通して、「聖体授与の臨時の奉仕者」の実際の奉仕について、また、その奉仕を受け入れる共同体の心構えについて記していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

さて、「最後の晩さん」でのイエスさまのしぐさについては、聖書には次のように記されています。「一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えて言われた。『取りなさい。これはわたしの体である。』」(マルコ14・22) この「(パンを)取る」「賛美の祈りを唱える」「(パンを)裂く」「(パンを)与える」というイエスさまの4つの動作は、後のキリスト教諸教会において、世界各地で捧げられているエウカリスチアの祭儀の基本的構造となっていきます。今回ここでは「与える」に注目したいと思います。

イエス様ご自身に起源をもつ奉仕

ここで強調したいことは、「ご聖体を配る」という奉仕は、イエス様ご自身が弟子たちにご自分のからだを与えられたことに起源をもつ奉仕です。逆に言えば、「キリストの御からだ」は、「配る」という奉仕によって頂く恵み、と言ってもよいと思います。自分から手を出してつかみ取るのではなく、配っていただいて、はじめてご聖体を頂くのです。

このご聖体を「配る」通常の奉仕者は、助祭、司祭、司教です。筆者の経験から、叙階式では、新たに叙階を受けた方がご聖体を配る奉仕をされる列が、他の奉仕者の列よりも長いように思います。また、司教様が司式されるミサでは、他の助祭、司祭よりも、司教様の列が長くなるように感じています。お気持ちはわかりますが、ご聖体に「松」のご聖体、「竹」のご聖体、「梅」のご聖体といった区別はなく、奉仕者の誰が配っても、ご聖体には変わりがない、ということを、まずは心に留めたいと思います。この点を留意していなければ、知らず知らずのうちに、聖体授与の臨時の奉仕者を傷つけてしまうことにもなりかねません。

筆者の経験ですが、神学生の時、教会奉仕者(現在の祭壇奉仕者)に選任され、初めてご聖体をお配りする奉仕を務めました。聖体拝領の列をちらりと眺めていると、私の前の列に並んでいた人たちが、「車線変更」して、隣の司祭の列に並んでいるのに気づきました。これは、初めての奉仕で緊張していた私を傷つけました。とてもがっかりしたことを覚えています。どうか、皆さまの中から選任された聖体授与の臨時の奉仕者の方々を、「車線変更」によって傷つけないようにご配慮とご理解をお願いいたします。

ご聖体に対する信仰や理解とご聖体を取り扱う態度のつながり

次に、聖体授与の臨時の奉仕者の第一の心構えとして、この務めは単なる名誉職ではなく、実践を伴う奉仕職であるという意識が大切だと思います。叙階による奉仕職も同様ですが、教会の中での務めは、ほとんどの場合、奉仕のための務めです。奉仕に対する謙虚さが絶えず求められるものです。

そして、第二の心構えとして、何を配っているのか、何を手に持っているのかについて、十分に意識していただきたい、ということを申し上げたいと思います。奉仕によって配られているのは、パン屋さんに売っている「あんぱん」「ジャムパン」ではなく、まことのキリストの御からだである、ということです。このことを意識するならば、ご聖体を奉持する姿勢やチボリウムを持つ高さ、また、ご聖体の配り方により注意が向けられることになると思います。言い換えれば、ご聖体に対する信仰や理解が、ご聖体を取り扱う態度にもあらわれてくる、ということです。

もう少し掘り下げてみると、ご聖体を配る奉仕は、ご聖体を受ける人たちとキリストご自身を出会わせる奉仕でもあります。機械的に手のひらにご聖体をただ置くのではなく、「キリストの御からだ」「アーメン」という一連の動作にも注意を払って丁寧に行いたいものです。 またこれは、ご聖体を配る奉仕に関わる方々だけでなく、ご聖体を拝領する人たちにとっても大切な心構えでもあります。自分は、ご聖体をどのように理解しているか、ご聖体を受けるとは自分にとって、どのような意味があるかについて、絶えず内省していく必要があります。

このようなご聖体に対する尊敬の念やご聖体を大切に扱う態度が、聖体授与の臨時の奉仕者、またその奉仕を受ける信徒双方に必要となってきます。

これからの準備について

生涯養成委員会では、補佐司教様のイニシアチブのもと、「『聖体授与の臨時の奉仕者』養成講座」開催の準備を始めました。

これから年末に向けて、具体的な準備をしていきますが、その内容としては、

⑴ (複数箇所による)講座開催場所と日時の決定
⑵ 講座内容と講師の決定
⑶ 諸手続きについて
⑷ 認定・任命ミサの準備  

などになります。

新しい試みです。試行錯誤をすることになりますが、皆さんのお知恵を拝借しながら、準備を進めていきたいと思っています。よろしくお願いします。