お知らせ

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東京教区ニュース第416号

2024年10月08日

千葉寺教会と西千葉教会の統合について

カトリック東京大司教区
大司教 タルチシオ 菊地 功

このたび、2025年1月1日をもって千葉市内にあるカトリック千葉寺教会とカトリック西千葉教会を合併し、教会活動をカトリック西千葉教会に統合することにいたしました。

まず最初に、今回の統合の決定に関連して、東京教区の皆さまに、小教区の統廃合の可能性に関する方針について、大司教であるわたしの考えをお伝えいたします。

今回の両教会の統合に関して話し合いを進める中で、わたしは両教会の信徒役員の皆さまに2018年8月20日の書簡をもって、次の基本方針をお知らせいたしました。

「東京教区における司祭総数の減少それ自体は、小教区統廃合の理由とはならないことを確認します。キリスト者の共同体が小教区を形成するのであって、それは司祭数の増減によって左右されないからです。ただし、仮に小教区共同体が規模や経済的問題から継続が困難と判断されるのであれば、それは統廃合の理由の一つとはなり得ます」。

なお、2020年12月に発表した宣教司牧方針においては、宣教協力体のあり方の見直しには触れていますが、小教区の統廃合には一切触れていません。したがって、現時点において、教区が主導して計画を作り、小教区の統廃合を進めることは考えていません。

今回の千葉寺教会と西千葉教会の統合は、突然の話ではなく、すでに2011年の段階で、岡田武夫大司教から、千葉中央宣教協力体の4つの小教区を統合して新たな小教区を設立するという提案がありました。この計画は後に頓挫したものの、それ以降、岡田大司教は、千葉寺教会と西千葉教会の統合に集中することを考え、両小教区の主任司祭を兼任とすることで、両小教区共同体の認識の共通化と共有を図ろうとされました。

その後、わたしが東京に着座した直後、2018年7月28日に、教区本部において両教会の信徒役員の方々が、主任司祭である福島一基神父立ち会いの中で教区本部においでくださり、2つの小教区の今後について、わたしと意見交換をいたしました。

話し合いにおいては、小教区統合ありきの計画を進めるのではなく、千葉県内の千葉中央宣教協力体における宣教司牧の将来像を考えることを優先するべきとの指摘がありました。この話し合いに基づいて、上述の8月20日の書簡では、「この地域におけるこれからの福音宣教にいったいどのような選択肢があるのか」、また「教会の諸施設の維持管理に関してどのような選択肢があるのか」について、それぞれの小教区共同体をはじめとして、宣教協力体全体としても意見交換をし、その上で、宣教協力体としての将来のあり方について方向性を定めてくださるようにお願いした次第です。

その後、2023年9月2日付けで、千葉寺教会より、今後の建物の維持コストの負担増への懸念と信徒の高齢化による収入減少などを主な理由として、「カトリック共同体としての力を維持強化するために、本教会はカトリック西千葉教会と統合する」との提案が教区にあり、司祭評議会、顧問会での検討を行いました。その結果、千葉寺教会と西千葉教会を統合し、教会活動を西千葉教会で一本化することが適当であると判断いたしました。

実際に2つの小教区を一本化するには、その実現の前に様々な実務的な調整が必要です。この1年間、教区本部と両小教区の役員や会計担当の皆さまと、実務的な調整を進めて参りました。

以上のように、多くの方々の長年にわたる話し合いと合意と協力に基づいて、来る12月1日、両教会の統合を始めるミサを捧げることが可能となり、実務的には2025年1月をもって、小教区を西千葉教会に一本化することが可能となりました。 2011年の岡田大司教による千葉中央宣教協力体の四つの小教区統合の提案に始まり、13年に及ぶ検討に取り組んでくださり、勇気ある決断をしてくださった、カトリック千葉寺教会とカトリック西千葉教会の皆さまに、心から感謝申しあげます。 これからも聖霊の導きを共に見極めながら、支え合って歩み続けて参りましょう。

教皇訪日5周年記念 東京教区青年の集い

日時:11月9日(土)16:30受付開始
場所:東京カテドラル地下聖堂、関口会館ケルンホール
参加資格:原則15~35歳までの青年 ※信者でない方も参加いただけます。
参加費:無料 参加申込:こちらのフォームからお申し込みください。

プログラム

17:00~ アンドレア・レンボ補佐司教講話 (ケルンホール)
17:30~ 小グループでの分かち合い (ケルンホール)
19:00~ 青年のミサ(地下聖堂)
20:00~ 交流会 ※講話とミサには要約筆記と手話が対応予定です。

共 催: 東京教区青少年委員会  東京教区教皇庁宣教事業 (MISSIO TOKYO)

2024年平和旬間行事報告

カリタス東京事務局 田所 功

8月10日土曜日、午後2時半から関口会館ケルンホールにて講演会、午後5時から聖マリア大聖堂で平和を願うミサが行なわれました。

講演会

上智大学名誉教授の根本敬先生による講演会のテーマは「創り直されるミャンマークーデター下の弾圧と人々の抵抗、そして祈り」で約130人が参加しました。根本先生はミャンマーに暮らしたこともあり、長年の研究の中から、歴史的背景、国の体制、多民族社会などについて詳細に話してくださいました。その中で、ミャンマーの現状を「内戦状態」ではなく「革命的状況」であると説明され、「都市部や平野部の一般市民と、高原や山岳地帯を中心に動く少数民族政治諸組織がゆるい連帯を形成し、国民を抑圧する国軍(軍事政権)に対し、共同して戦っている」「クーデター政権を倒し、国軍をつくりかえ、公正な連邦制に基づく民主主義国家への作り替えを目指している新しいミャンマーの創造」と話されました。また、私たちにできることとしては、まず「祈ること」、そしてNGO団体などへの支援、ミャンマーに関する講演会やチャリティーコンサートなどへの参加を呼びかけられました。

チャールズ・ボ枢機卿 動画メッセージ

今年の日本のカトリック平和旬間に向けて、ミャンマー司教協議会会長のチャールズ・ボ枢機卿より動画メッセージを頂き、講演会後に、日本語の字幕を付けた動画を参加者全員で視聴しました。枢機卿は私たちに「平和のために祈ってください」と呼びかけておられます。動画は教区のホームページで見ることができます。ぜひご覧ください。

※ボ枢機卿の動画メッセージ視聴はこちらから

平和を願うミサ

ミサはカリタス東京常任委員長小池亮太神父(関口教会主任司祭)の主司式で行われ、約170人が参加しました。東京教区では、この平和旬間で特に姉妹教会であるミャンマーの教会を忘れることなく、平和を祈ることとしており、多くのミャンマー出身の方も参加しました。

ミサの中で菊地功大司教のメッセージが紹介され、大司教は「神がご自分の似姿として創造されたいのちには、神の愛が注ぎ込まれています。神はいのちを賜物としてわたしたちに与えられました。ですからわたしたちには、いのちの尊厳を守り抜く責務があります。賜物であるいのちに対する暴力を行使し、神の秩序の実現を阻害しているという視点から現実を見るとき、そこには戦争を越えてさらに多くの現実が見えてきます。環境破壊と地球温暖化によって、長年住み慣れた地を追われる人たち。戦争や紛争の結果として故郷を離れざるを得ない難民や国内避難民。いのちの尊厳をないがしろにする状況の中で生きざるを得ない人たち。思想や信仰や生活のあり方の違いによって社会から排除され、存在を無視されている人たち。様々な口実で暴力的に奪われていく人間のいのち。ここで指摘することがかなわないほど、さらに多くのいのちへの暴力行為があります。それらすべては、平和の課題です。ひとりのいのちがその尊厳を奪われようとしている現実は、すべからく平和の課題です。神の賜物であるいのちは、その始まりから終わりまで、徹底的にその尊厳を守られ、希望を持って生きられなくてはなりません」と述べられました。

また、大聖堂のエントランスホールには、昨年同様東京教区ミャンマー委員会によってミャンマーの支援先の子どもたちの様子を紹介する写真展示コーナーも設けられました。ミサ献金は14万9194円が集まり、ケルン教区と共同で推進しているミャンマーの避難民の子どもの教育プロジェクト「希望の種」の活動のために、ミャンマー委員会を通して活用されます。

斉藤小百合さん講演会報告

カトリック東京正義と平和の会  吉野 文子(徳田教会)

今年の平和旬間行事に「カトリック東京正義と平和の会」は、8月3日麹町教会のヨゼフホールで憲法学者の斉藤小百合恵泉女学園大学教授の講演会を企画しました。当日は、メンバーの熱心な呼びかけに予想を超える80名以上の参加があり、「日本国憲法と東アジアの平和」―戦争ではなく、平和の準備を―をテーマに多岐にわたるお話を聞きました。今、世界は、「戦争の時代」へと突き進んでいます。「9条を手放さない」ことを真剣に考え、活かしていくこと、9条だけでなく日本国憲法全体を考えることを力説されました。戦争をする国、しない国の分岐点の15項目についても説明してくださいました。そして「9条を守ること」こそが「日本を守ること」だとも話されました。かつて日本は、太平洋戦争でアジア諸国に大きな被害をもたらし、多くの日本人も亡くなりました。二度と戦争をさせないようにするのが憲法9条です。憲法は、私たちが共に生きて行くための基盤であり、知恵です。その中心にあるのが9条ですと締めくくられました。イエスが教えてくださった「山上の垂訓」を全世界の指導者が実践してくださることを願っています。垂訓の中で、イエスは真の幸福を見いだす方法、紛争を解決する方法も示されています。

神田教会創立150周年記念感謝のミサ

9月16日、菊地功大司教の司式によって、神田教会創立150周年記念感謝のミサが行われた。パリ外国宣教会のベルナール・プティジャン司教が創設した「ラテン語学校」を母体とし、1874年に神田の地に聖堂を持った神田教会は、今年の6月30日に同じく150周年記念ミサを行った築地教会と並び、東京教区で最も古い歴史を持つ小教区の一つである。

150周年ミサには、神田教会信徒の他、神田教会ゆかりの修道会、宣教会の会員も招かれた。

共同司式は、現主任司祭の立花昌和神父をはじめ、歴代主任司祭の稲川保明神父(関町・徳田教会主任司祭)、田中隆弘神父(町田教会主任司祭)、江部純一神父(麻布教会主任司祭)、髙木賢一神父(八王子・高幡教会主任司祭)が集まった。

また、神田教会を日本における発祥の地とするマリア会からは、市瀬幸一神父、青木勲神父、清水一男神父、髙田裕和神父が、近隣の教会からは、髙祖敏明神父(麹町教会主任司祭)、レオ・シューマカ神父(築地教会主任司祭)、真境名良和神父(潮見教会助任司祭)が参列した。さらに、ピエール・ペラール神父(パリ外国宣教会)、鈴木伸国神父(イエズス会)、小田武直神父(教区本部事務局次長)と、菊地大司教と合わせて16名の司祭によるミサとなった。

主任司祭立花神父による福音朗読

ミサの説教で菊地大司教は「神田教会誕生の時代、宣教師とともに福音をあかしし、多くの人を神の救いに与らせるために招いた多くの信仰の先達の働きに心から感謝したいと思います。150周年を迎えたいま、東京教区のパイオニアとも言うべき神田教会の、現代社会にあって果たしていく使命は一体何でしょうか」と問いかけた上で「(戦争や紛争の絶えない)このような世界に必要なのは、この暗闇を打ち破る光であります。希望の光です。いのちを生きる希望の光です。互いに助け合う連帯の心です。…まさしくこの絶望の闇を打ち破る希望を生み出すために、教会こそが、世界に希望を告知する存在として巡礼者であるべきだと考えられたからではないでしょうか」と、現代における教会の使命を説いた。

お祝いの言葉で力強く信徒を励ます菊地大司教

さらにお祝いの挨拶では「今の教会は若い人があまり教会に来ない等の困難が多いけれど、(神田教会が開かれた再宣教時代の)宣教師達の苦労に比べればどうと言うことはありません」と、宣教師ゆかりの教会である神田教会の信徒達を激励した。

記念品のポストカード。神田教会聖堂の昔と今

イエズス会司祭叙階式

9月14日、麹町教会にて、菊地功大司教司式によってパウロ山内豊助祭(イエズス会)の司祭叙階式が行われた。山内神父様、おめでとうございます。

(左から)イエズス会日本間区長佐久間勤神父、山内豊新司祭、菊地大司教

訃 報 トマス·アクィナス川村 昕司神父

トマス·アクィナス 川村昕司神父が2024年8月18日(日)午後8時6分、急性呼吸不全のため帰天されました。享年90歳でした。どうぞお祈りください。

葬儀ミサ·告別式は2024年8月22日(木)11:30より、東京カテドラル聖マリア大聖堂にて菊地功大司教の司式で行われました。納骨式の日時は未定です。

【略歴】
1933年9月1日 スイス連邦ベルンに生まれる
1934年1月1日  受洗(スイス連邦フリーブルク)
1962年3月17日 司祭叙階(麹町教会にて)
1962年4月~1964年3月  世田谷教会助任
1964年5月~1969年3月  本郷教会助任
1969年4月~1976年3月  高校生指導担当者
1976年4月~1981年3月  豊田教会主任
1982年6月~1984年4月  マニラ教区 日本人司牧担当者
1984年4月~1987年3月  関口教会助任
1990年4月~2000年3月  梅田教会主任
2000年4月~2001年3月  カトリック東京国際センター
2001年4月~2003年3月  目黒教会助任
2003年4月~2006年3月 多摩西宣教協力体協力
2022年3月17日~  ペトロの家
2024年8月18日 帰天

シノドスの第2会期の予想される内容

教区シノドス担当者
瀬田教会主任司祭 小西 広志神父

いよいよ、シノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会第2会期が2024年10月2日より始まります。この「シノダリティについてのシノドス」は、これまでにない独自の運営方法を用いながら執り行われてきました。詳しいことは日本カトリック司教協議会シノドス特別チームが作成した『シノドスハンドブック』を御覧ください。

この第2会期には昨年と同様に、タルチシオ菊地功大司教が日本を代表して参加しますし、お二人の日本人女性、西村桃子さんとSr.弘田鎮枝さんも参加します。第2会期での問いかけは2つあると思います。①教会がよりシノドス的なものとなるためにはどのような変革が必要なのか。②教会が宣教にさらに開かれたものとなるためにはどうしたらよいのか。この2つです。これはコインの裏表のような、すなわち表裏一体の問いかけです。教会の特性であるシノダリティを明らかにする目的は宣教のためにあります。なぜなら教会は主イエス・キリストの救いをすべての被造物に告げ知らせるという宣教の使命があるからです。また、宣教のための手段はシノダリティに基づく「シノドス的な教会」です。主イエス・キリストが生きておられる教会によって、教会とともに、教会のうちに宣教はなされるからです。

すでに発表されている『討議要綱』にそって、第2会期の討議の様子を前もって考えてみましょう。

第1の討議は「歩みを振り返る」です。まず、2021年から始まった今回のシノドス第16回通常総会の歩みを振り返りながら、すでに到達したこと、実行されていること、継続中のことが再確認されるでしょう。特に教会における女性のミニストリー(任務)、役割などについては、再確認がされます。しかし、教会の新しい奉仕の務めとして女性による助祭職に関しては、今後もより神学的、ならびに司牧的な研究が必要であることが明確になると考えられます。

 第2の討議は「関係」について深めることだと考えられます。シノダリティが「ともに歩む」ことであり、「シノドス的な教会」は「交わり」の教会であるという点は第1会期で確認されました。この点をさらに進めて「交わり」の具体的な姿である「関係」、「関わり」、「つながり」などについての具体的な内容が討議されるでしょう。第2会期の参加者たちは、昨年同様に「霊における会話」を用いながら、教会と世界で生まれる「関係」についての様々な側面を検証すると思います。

第3の討議は「養成」と「識別」の必要性を明確にするという内容だと思われます。「関係」は、あるプロセスを経て成熟していきます。体験と年月を経て「関係」は深まっていきます。同じように「シノドス的な教会」となるためには、プロセス、すなわち道筋が必要です。そこでは「養成」と「識別」が大切となります。今、シノダリティを土台とした「関係」を結ぶためには、キリスト信者の誰もが「養成」されなければならないでしょう。また、今、どのような「関係」を生きているかに気づくためには「識別」が欠かせません。 特に「識別」を明確にするためには、教会が様々なことに対して透明性を保ち、説明責任を果たしていかなければならないのです。この点について活発な議論がなされると予想されます。透明性をどの程度保つのか、どこまで説明責任を担うのかは、議論の中心になると思います。『討議要綱』は透明性と説明責任をよりよく実施するためには評価システムが欠かせないと指摘しています。この評価の基準についても議論の的となるでしょう。なぜなら評価のためには教会の権威者への信頼と従順が強く求められるからです。

第4の討議は「教会がコンテキストの中にある」という事実についてです。コンテキストとは文脈と訳されますが、教会が直面する状況、現実のことです。西側先進諸国の教会と南半球の教会ではコンテキストが異なります。同じ国の中でも大都市を抱える教区と地方の教区では状況が異なります。教会は唯一で、普遍的なものですが、それぞれの教会が生きている現実は異なるのです。社会が均一化や平準化を求め、それから外れる人々を除外しようとしているように、ともすれば教会もまた均一化や平準化を求めてしまい、現実に生きているコンテキストを忘れてしまいがちです。それぞれの教会が直面する現実を認めつつ、それでもなお「主の教会は、だだ一つ」と宣言するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。この点が討論の中心テーマとなるでしょう。 

今回の第2会期で、教会が大きく変わるとは想像できません。しかし、21世紀の現代社会で生きるわたしたちキリスト信者が、教会を信頼し、教会とともに歩み始めるきっかけとなると思います。 東京教区シノドスチームでは第2会期の様子を毎日動画で配信する予定です。皆さんも、日本を代表して参加する大司教さまと一緒に、どうぞ祈りを通してシノドスにご参加ください。

「シノドスハンドブック」追加申込みのお知らせ

先日、各小教区、修道院宛に「シノドスハンドブック」を送付いたしました。

この冊子は、多くの方々に「シノダリティ」について理解と体験を深めていただきたいと願って作成いたしました。Q&A形式で簡潔に「シノダリティ」と「シノドス的な教会の宣教」、そして「霊における会話」について記しております。また、「霊における会話」のマニュアルも記載いたしました。この冊子をきっかけに皆さまとご一緒に「ともに歩む」教会づくりの一歩を始めたいと考えております。

シノドスハンドブックはカトリック中央協議会のホームページからPDF版を無料でダウンロードすることができます。インターネットで「カトリック中央協議会」と検索するか、こちらからアクセスしてください。まだお読みになっていない方はぜひご一読ください。  

インターネットへのアクセスが難しい方には、冊子の増刷の用意もございます。増刷版が必要な方は、東京教区本部事務局のメールアドレスまでお知らせください。お申込は、小教区、修道院、活動グループ単位でお願いいたします。個人でのお申込はご遠慮ください。なお、増刷には印刷代等の諸経費がかかっておりますので、増刷版をご希望の方は、教区へ献金のご協力をお願いいたします。

「シノドスハンドブック」のダウンロードはこちら

東京教区本部事務局メールアドレス vivid@tokyo.catholic.jp
◉件名は「シノドスハンドブック希望」としてください。
◉教会名、修道院名、グループ名、必要冊数、送り先住所、担当者のお名前を明記してください。

福島の地からカリタス南相馬 第35回

聖霊奉侍布教修道女会 Sr.村上 多美代

福島いのちの旅

昨年4月に政府は、東京電力福島第一原発で発生する高濃度のトリチウムを含む放射能汚染水を処理し、8月に海洋放出を開始しました。福島県相馬郡新地町で四代目の漁師として先祖代々漁業を生業とされている小野春雄さんは「海に流しても数年は被害は出ないだろうが、これから30年、50年たってどんな被害が出るかわからない。その時、自分はもうこの世にはいないが、息子たちは漁師をしている。子孫に多大な迷惑がかかってしまう。」「漁師にとって漁は経済的な問題だけでなく、海は自分たちの職場なんだ。海は神が宿るところ。魚は声を出すことができないから自分たちが守らなければならない!」と強く訴えました。日本女子修道女会総長管区長会 JPIC( Justice, Peace, Integrity of Creation)委員会主催の体験学習「福島いのちの旅」の今年度の最初のプログラムでした。体験学習では東京電力廃炉資料館や震災遺構などを視察し、祈念館や慰霊碑の前では祈りを捧げ、同慶寺の田中徳雲住職とともに瞑想しました。

東日本大震災と原発事故から13年がたち、帰宅困難区域の田畑には木と背丈を超える雑草が生い茂り、放置され朽ち果てるままになっている家々を覆い隠しています。除染が進んだ地域は農地の区画整理、農道の整備、農業用排水路を一挙に整備する“ほ場整備”が進み、稲が青々と育っています。こうした光景が、初めてこの地を訪れる人の目にどのように映るでしょうか。

地震や津波の被害をうけた港や堤防、宅地の整備は進んでいます。原発事故で被災した大熊町や双葉町でも町作りが進んでいますが、まだ多くの地域は帰宅困難区域です。「放射性物質を含む除去土壌や廃棄物などの中間貯蔵施設は、30年以内に最終処分場に」と決められていますが、いまだにその場所は決まっていません。また廃炉の手段も手探り状態です。ここでは自然も、目に見えない人の心の傷もまだ癒されていません。心の隔たりを感じながら生きる人、家族がともに暮らせない人、元の家に戻れない人など、多くの人がいまだに様々な苦しみ、痛みを背負って暮らしています。時間がたつにつれ、だんだんこうして苦しんでいる人のことが見えなくなっています。

「福島いのちの旅」は真の復興とは何か?人々の心の傷はどうしたら癒されるのか?人々に寄り添い、共に歩むには?と、観て・聴いて・考える旅です。この旅はまだ続いていきます。

カリタス東京通信 第17回

生活困窮者支援団体・グループ交流会の開催報告

カリタス東京事務局 小池 四郎

7月15日、関口会館ケルンホールにて生活困窮者支援団体・グループ交流会を開催しました。昨年の9月に炊き出しやフードパントリー等で生活困窮者を直接支援している団体・グループの交流会を開催し、15団体・グループから31人が集まりました。また、12月にはこれらの団体に物資や資金を提供することでサポートをしているグループの交流会を開催し、11グループから17人が集まりました。今回は、支援活動を行う団体とそれらをサポートしているグループの合同の交流会を開催し、19団体・グループから44人が参加しました。

交流会の前半では、つくろい東京ファンド代表の稲葉剛さんに、「多様化する生活困窮者支援の現場から」のテーマで講演をいただきました。講演会では1990年代前半のバブル崩壊後の路上生活者増加から現在の貧困ビジネス・ネットカフェ居住者の問題に至るまで問題の流れを分かりやすく説明していただきました。その中で、稲葉さんは、現在取り組んでいるハウジングファースト支援(まずは住まいを提供し、その上で、精神・身体的健康、依存症、教育、就労などの分野における支援サービスを包括的に提供する)の重要性を強調されていました。講演後、参加者から日頃の活動の中で直面する外国人の生活困窮者の問題などについて積極的な質疑応答がなされました。後半では、小グループに分かれて分かち合いを行い、日常の活動の中で感じていることについて意見交換を行いました。「教会から外に出向いて行かないと本当に困っている人にたどり着けない」「『支援とは何だろう?』といつも自問している」「寄り添う支援を大切にしている」など、様々な発言がありました。

教区内の生活困窮者を支援している活動団体・グループは、現在カリタス東京が把握しているだけでも5団体(法人・任意団体含む)と25グループがあります。小教区では隣の小教区がどのような活動をしているのかよく分からないという声をよく聞きます。そこで、カリタス東京では生活困窮者を支援している団体・グループの活動を知ってもらうために、カリタス東京ニュースに昨年の12月から「愛の活動グループ紹介」コーナーを設けて団体・グループへの訪問レポートを掲載し続けています。現在までに15団体・グル―プを掲載しています。 またはカリタス東京のホームページからお読みいただけますので、ぜひご覧ください。

CTIC カトリック東京国際センター通信 第281号

「新しい協力の道」~いっしょに働くために~

「外国籍の修道者が多く参加されていますね」

昨年11月に宗教法人事務勉強会の会場を見た時に、この言葉が口にのぼりました。この勉強会は、毎年開催されており、午前中の内容は、「宗教法人の基礎知識」「宗教法人の会計・勘定科目」などについてです。午後に学びを通して見えてきたそれぞれの修道会が抱える課題について分かち合いを行い、意見を交換します。毎回、勉強会の終わりに参加者にアンケートを実施して、その意見をもとに次回の勉強会の内容を検討します。そのようにして長年続けられてきました。

昨年の勉強会には外国籍の修道者が多く参加されていたこともあり、アンケートの中に「外国籍の修道者にも分かりやすい言葉で宗教法人の事務について説明してほしい」という意見がありました。近年、多くの修道会は高齢化に加え、召命がほとんどありません。そのため、大勢の外国籍の修道者が日本の宣教のために宣教師として来日しています。将来を考えて今から修道会の事務を外国籍の修道者に引き継いでいこうとする動きがあります。

宗教法人事務委員会のメンバーは、話し合いの中で「外国籍の方々を対象にした宗教法人事務勉強会」に挑戦することを決めて、今年の7月に実施しました。内容は、「日本の行政機関の組織図、宗教法人の立場、非課税等について」「所轄庁への提出書類の内容」「勘定科目を中心とした会計の基本」についてです。

宗教法人に関する用語は、やさしい言葉に置き換えると分からなくなってしまうので、そのまま伝えることになりました。ただし、資料にはすべてふりがなを付け、後でそれぞれの用語を調べることができるようにしました。また、政府や行政のウェブサイトでは「やさしい日本語」で説明しているものもあります。それらを活用して、ゆっくりと細かく具体的な例を挙げながら説明しました。

運営や管理のこれからの担い手が外国籍の方々になっていく現実は、何も修道会に限られたことではないように思います。小教区や地域社会でも同じような現実に直面しているのではないでしょうか。では、私たちはそのような現実を前にしてどのように準備していけばよいのでしょうか。

まず、第一にコミュニケーションをよく取り、話し合いの場をもつことです。第二に、相手に対する尊敬の心で、お互いの言葉に耳を傾け合うことです。そして第三に、これまでの伝統を心に留めながらも、それに捉われることなく、お互いに協力できる新しい道を探し求めていくことです。

お互いの言葉に耳を傾ける姿勢は、イエスが出会う人々に対して行なっていた姿勢に通じるものがあります。イエスの弟子として、私たちはどれだけ相手の困難な立場を理解し、心を寄せていくことができるのかが問われているのかもしれません。

弱さをもった私たちは、相手の言葉に耳を傾けることができずに、自分の殻に閉じこもってしまうこともあるでしょう。また、いくら私たちが心を開いても、相手が私たちの言葉に耳を傾けずに頑なになってしまうこともあるかもしれません。そのような時にこそ、時間をかけてゆっくりとかかわりを保ちながら、お互いに協力していく道を探し求めていく必要があるのでしょう。イエスがそのような困難を体験しながら、神の愛を伝えていったように……

ボランティア 
萩原義幸 (レデンプトール修道会)

カリタスの家だより 連載 第166回

放課後等デイサービス カリタス翼 
向井 崇

「キャー!」「やめて~!」。この夏は連日、カトリック本郷教会の1階駐車場から、「放課後等デイサービス カリタス翼」の子どもたちの歓声とスタッフの悲鳴が聞こえてきました。この夏のあまりの暑さに、小さなプールを教会の駐車場に置かせてもらったからです。すると子どもたちは大興奮。水鉄砲やバケツでスタッフを水浸しにしたり(先程の悲鳴はこれです)、我関せず気持ちよく浮いていたり、それぞれのやり方で水遊びを楽しむことができました。あまりに好きすぎておしまいになってもプールから上がれず、プールから水を抜いても浅い水たまりで遊ぶ子もいたほどです。本郷教会の皆さんのおかげで、カリタス翼の子どもたちはなんとか暑い夏を乗り切ることができました。

僕がまだ学生で初めて自閉症の子どもたちと出会った頃は、学校のない夏休みは多くの子どもたちは、日中は家族(主にお母さん)と共に過ごしていました。自閉症や知的障害のある子どもたちの居場所は、学校と家庭以外には考えられないような時代でした。発達の遅れを理由に基本的人権である教育を受ける権利が猶予されるお子さんがいらっしゃったほど、障がいのある子どもの成長を家族(そしてお母さん)の責任に押し付ける時代が長く続きました。当時から30年以上経ち、一人ひとりの発達ニーズに合わせた教育を目指す「特別支援教育」や、障がいのある子どもたちが地域で過ごせるように「児童発達支援事業」や「放課後等デイサービス事業」が始まり、ご家族の大変さも少しずつですが解消されつつあると思います。東京カリタスの家でも、2013年に障がいのある小学生から高校生までが過ごす「放課後等デイサービス カリタス翼」、2017年に障がいのある未就学児が過ごす「子どもの家エラン」が誕生しました。これもひとえに、東京教区の皆さんが東京カリタスの家の活動に共感、ご理解をいただいたからにほかなりません。おかげさまで、これまで理解の乏しい環境のなかで孤独に子育てされていたご家族にも、たくさんご利用いただくことができました。この場を借りて、感謝申し上げます。

自閉症は冷蔵庫のように冷たい母親の子育てが責任、と言われる時代もありました。しかし、現在ではそれは完全に否定され、脳機能の凸凹であり、スペクトラム(虹)のように特性が強い人から弱い人までいると説明されるようになりました。時代とともに、これまでの見方が変化しつつあるのです。

この夏、熱く盛り上がったパリオリンピックでも、女子ボクシングで性分化疾患の女性が金メダルを取ったことについて性別への疑問が湧き上がりました。古典的な見方では性別は「男性」と「女性」と明確に分かれていましたが、むしろ現代の生物学では男性と女性はスペクトラムのようにグラデーションになっているのです。

まだまだ、この社会のなかには偏った見方がたくさんあります。発達に遅れのある子の遅れを取り戻そうとしたり、偏りのある子の偏りを直そうとしたり、その人の「違い」を「間違い」と糾弾して正義を振りかざす人がいることも確かです。しかし、本当に大切なことは、目の前にいる人そのものを理解し、寄り添うことではないでしょうか。カリタス翼を立ち上げる時に、東京カリタスの家の祈りから「共に生きる」という言葉を理念としました。共に生きるとは、障がいのある子どもたちやご家族と共に生きることだけでなく、弱みや困難さと共に生きることでもあると私は思います。皆様からのご理解をいただきながら、カリタス翼はこれからも子どもたちとご家族と共に歩んでいきたいと思います。

編集後記

吹く風は秋、照りつける日は夏、そんな日々
季節は急には変わらない。流れるように移り変わる

すべてのものはそうなのかもしれない
人の心が底に線を引こうとする

どこにも線が引かれていない流れの中に
心をゆだねることができたなら
愛はそこにあるのかもしれない(Y)