シノドスへの招き

2021年10月14日

シノドスへの招き

東京教区シノドス担当者
瀬田教会主任司祭 小西広志神父

シノドス(世界代表司教会議)

フランシスコ教皇さまは、シノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会を招集しました。「シノドス的教会のために:交わり、参加、宣教」というテーマのもとに2021年10月9日から10日にかけてバチカンで開会が宣言されました。そして一週間後の17日には世界中の教区でシノドスのための「歩み」を始めるミサが執り行われます。

当初、教皇さまは2020年3月7日の時点ではシノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会を2年後の2022年に開催することを考えておられました。しかし、皆さまご承知の通り世界中に蔓延する新型コロナウイルスによる感染症の影響を受けて、さらにはこれまでとは違った通常総会への取り組みをおこなうために2023年10月へと開催を一年延期することにしました。

三つの段階と三つの動詞

およそ二年間におよぶ「歩み」を経て、シノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会は行われます。この「歩み」には三つの段階があります。第一の段階は教区での取り組み、第二に各大陸での取り組み、そして教会全体での取り組みです。第一段階と第二段階ではバチカンにあるシノドス事務局より提示された10の設問からなる「提題と解説」に答えることを試みます。そして、世界中から寄せられた意見を集約しながら「作業文書」を2回作成し、第三段階では代表となった司教さまたちによる全体会議が行われる予定です。こうして、今回のシノドス(世界代表司教会議)第16通常総会は、単なる教皇さまと司教さまたちだけの会議ではなく、神の民であるキリスト信者全体が関わるプロセスを経て実行されるのです。

多くの人々がこの「歩み」に関わることになります。すでにロゴマークが発表されていますが、大人も子どもも、身体の不自由な方も高齢者も、聖職者も修道者も、教会に集うたくさんの人々が一緒になって歩み続けます。この「歩み」は天の御父へと向かうものです。この「歩み」を導いてくださるのは主イエス・キリストです。そして、聖霊が「歩み」の中で絶えず助けてくださいます。ですから三位一体の神とともにある「歩み」と言えるでしょう。

ここでは、三つの動詞が大切となります。「参加する」、「聴く」、「識別する」。教会は人々に「参加する」ようにとうながさなければなりません。そのうながしに応えて人は、信者であれ未信者であれ、積極的に「歩み」に「参加」するのです。教会は人々の声に耳を傾けて「聴く」ようにと神から招かれています。また人は隣人の声なき声に真摯に耳を傾けなければならないのです。耳を傾けあうところに「交わり」が生まれるからです。そして教会は、自らがどこに向かっているかを反省的に「識別する」必要があります。混迷する現代社会にあって、教会の果たす役割と務めを知らなければなりません。そして、数々の情報に翻弄され真実を得ることが難しくなっている現代社会を生きる人々もまた生きる方向をしっかりと見極めて行かなければならないのです。

「歩み」の強調

選出された直後に教皇さまがサン・ピエトロに面したテラスでおこなう短いあいさつと祝福があります。そこで、それぞれの教皇さまはご自分が行う務めを預言的に語ることが多いです。「今、わたしたち司教と民はこの旅路を歩み始めます。すなわち、愛において全教会を主宰するローマ教会の旅路を歩み始めます。それは兄弟愛とわたしたち相互の信頼の旅路です。つねにわたしたちのために、互いのために祈りましょう。全世界のために祈りましょう」(2013年3月13日)。「歩み」あるいは「旅路」という表現を繰り返しながら、フランシスコ教皇さまは呼びかけました。その後、教会は数々の現代社会の問題に直面してきました。時には教会内部にあり続ける課題にも取り組まなければなりませんでした。こうして、前任の二人の教皇さまが選出の際の「恐れずに、窓をいっぱいに開きなさい」という呼びかけは実現していったのです。そして、多くの人々と共に「歩み」を始めているのです。

教会とはシノドスである

シノドスという単語は一般的にはなじみがないかもしれません。ギリシャ語に由来し、共にを表す「シン」という接頭辞と道を表す「オドス」から成り立つ言葉です。ですから「共に歩む」がシノドスの元々の意味です。教会はこの言葉に神が自らに与えた恵みを見いだしてきました。教会とは多くの人々と「共に歩む」存在だからです。もちろん二千年におよぶ歴史の流れの中でシノドスは教会会議という限定的な意味で使われてきたのは確かです。この数世紀、教会会議すらも人々の間では忘れ去られてきました。1965年に時のパウロ6世教皇さまが「普遍教会のための司教たちのシノドス」を制定してから、シノドス(世界代表司教会議)は定期的に開催されてきました。そこではその時々の教会と世界が直面する問題が取り扱われてきました。

フランシスコ教皇さまは問題解決のためのシノドス(世界代表司教会議)だけではなく、「共に歩む」シノドス(世界代表司教会議)を考えておられます。こうして、教会が本来備えている「共に歩む」というシノドス的な特性を明確にすることができるからです。すでに第二バチカン公会議では教会のシノドス的特性について明確ではありませんが指摘されました。今回の取り組みは第二バチカン公会議を現代世界での適応を目指してのことです。教皇さまはおっしゃいます。「『シノドス性』の歩みとは、神が第三千年期に教会に期待しておられる歩みなのです」(2015年10月17日)。現代は多様なあり方、生き方が生まれる時代です。と同時に、格差と断絶の時代でもあります。「共に歩む」ことが難しいこの時代にあって、教会は神さまからいただいた人間の本来の姿を再発見しようと試みているのです。古代の教父、聖ヨハネ・クリゾストモは「シノドス」とは教会と同義語であると語りました。三位一体の神の働きの中で生きる教会は世界中の人々と「共に」、神の愛のいのちを目指しての「歩み」を続けていくのです。

わたしたちの「歩み」

わたしたちカトリック東京大司教区は2020年に宣教司牧方針を策定しました。多くの方々のご意見と提言が反映された宣教司牧方針です。そこで強調されているのは「宣教する共同体」、「交わりの共同体」、「すべてのいのちを大切にする共同体」です。コロナ禍での発表でしたから、教区全体でこれをより深めていく機会が得られていません。しかし、いくつかの取り組みは実行に移されています。

わたしたちの教区は白柳枢機卿さま、岡田大司教さまのころから「共に歩む」教会を目指してきました。そして今回の宣教司牧方針でさらにこの点が明らかになっていると考えています。ですので、シノドス(世界代表司教会議)第16通常総会への「歩み」のプロセスでわたしたちのこれまでの生き方の実りであり、これからのあり方の指針となる宣教司牧方針を大切にしていきましょう。

最初に指摘しましたように新型コロナウイルスによる感染症の拡大のため、これまでのような取り組みが難しくなっています。現実に「集う」ことが困難となっているからです。同時、社会はさらに疲弊し、人と人とをつなぐ信頼関係は薄らぎつつあります。このような現状でシノドス(世界代表司教会議)第16回通常総会への教区の取り組みは制限されます。そこで、動画配信などを中心に「歩み」を実行していきたいと考えています。教区の中に多くの「共に歩む」姿が見られます。それらを皆さんと動画を通して分かち合っていきます。個人でも、あるいは小グループでも動画を活用していただきたいと思います。「参加する」、「聴く」、「識別する」の視点から動画をご覧になってください。

いつまでコロナ禍が続くのか誰も分かりません。しかし、この危機の時を過ごした結果、わたしたち東京教区の司祭、修道者、信徒は一つにまとまったという実感を得たいものです。そしてそれぞれの小教区共同体、信仰共同体のあり方は当然のごとく変わらなければならなくなるでしょう。今は大きな変革の時なのだと思います。そんな恵みの時に「共に歩む」ことができることに感謝していきたいものです。

※菊地大司教による公示「2023年世界代表司教会議(シノドス)に向けた歩みの開始について」はこちら