お知らせ

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東日本大震災から半年にあたり、日本の教会として被災地への祈りをささげるお願い/東日本大震災救援・復興活動にかかる 「新しい創造」基本計画、第2期に向けて

2011年09月08日

東京教区の皆様 

以下の文書をお送りいたします。

1)司教協議会会長「東日本大震災から半年にあたり、日本の教会として被災地への祈りをささげるお願い」
2)2011年9月11日(日)共同祈願
3)台教区司教「東日本大震災救援・復興活動にかかる『新しい創造』基本計画、第2期に向けて

 


 

東日本大震災から半年にあたり、日本の教会として被災地への祈りをささげるお願い

司教各位

日本カトリック司教協議会
会長  池長 潤

+ 主の平和

朝夕の風に秋の訪れを感じるこの頃となりました。

司教様には、お元気でご活躍のことと存じます。

さて、3月11日に発生した東日本大震災から9月11日で半年を迎えます。各教区の司教様をはじめとして、日本全国の教会から被災教区へ向けての祈りと物心ともにささげられる援助は、現在も継続して行われていることと思います。この未曾有の震災に対して、私たちは一丸となって今後も祈りと援助を継続していきたいと希求しております。

被災地では徐々に復興が進んでいる状況ですが、地震や津波で親族を亡くされた方々の心の傷は、長い時間をかけても癒えることは難しく、原発で居住地域を追われた方や、原発地域の近隣に住む人々は、今でも不安な毎日を送っていることでしょう。私たちも被災した方々や今なお不安に苦しむ方々に心を合わせ、祈りのうちに過ごして参りたいと思っております。

このたび、東日本大震災発生から半年を迎える9月11日が日曜日にあたりますので、この日のミサで特に、東日本大震災で亡くなられた方々、被災された方々、未解決の原発で今なお不安とたたかっている方々のために、日本の教会としてともに祈りをささげることを、教区内の皆様にお伝えいただけますと幸甚です。

なお、当日の共同祈願の例文を添付いたしましたので、ご活用ください。

また、もうすでにエキュメニズム部門の野村責任司教様より、各教区にお知らせがありましたが、日本キリスト教協議会とカトリック中央協議会の共催で、9月11日に東京の日本基督教団下谷教会において、「3.11東日本大震災を心にとめ、死者への追悼・被災者への慰め・被災地の再生を求める礼拝」が開催されます。各教区でエキュメニカルな活動を行っている小教区、団体がございましたら、この礼拝についてご紹介いただければ幸いです。超教派で同時刻に、同じ意向で祈りをささげる集いを行うこともお勧めいたします。

被災地の一日も早い復興を願い、被災者の皆様の希望ある未来に向けて、日本の教会の一人ひとりが心を合わせて寄り添うことができますように。

 

 

2011年9月11日(年間第24主日)のミサの共同祈願(例文)

 

すべての人の重荷を担ってくださる神に信頼して祈りましょう。 

一同 神よ、わたしたちの祈りを聞き入れてください。

東日本大震災から六か月を迎えて祈ります。震災で亡くなったすべての人を、あなたの安息にあずからせてください。また、今なお不安と困難のうちに避難生活を送る多くの人に、力強いみ手を差し伸べてください。心も体も疲れ果てた人々に、再び立ち上がる力が与えられますように。

あなたがよいものとしてお造りになった自然が放射能によって汚染されてしまいました。行政や専門家をはじめ多くの人の協力によって、一日も早く美しい自然を取り戻し、汚染された地域の人々が以前の生活に戻ることができますように。

すべての人を聖霊の光で照らしてください。支援が十分に行き渡っていない地域に暮らす多くの人がいることを心にとめ、惜しみない協力を通して、ともに生きるきずなと一致を深めることができますように。

震災と原子力発電所の事故によって、生まれ育った地域を離れて暮らさなければならない人々がいることに気づかせてください。わたしたちが祈りとさまざまな支援を通して支えとなり、新たな一歩を踏み出すための力となることができますように。

「新しい創造」を基本方針に掲げ、復興に向かって歩みはじめた仙台教区のために祈ります。地域と一体になった支援活動を通して一人ひとりが強いきずなで結ばれ、キリストにおける希望と一致をあかしすることができますように。

いつくしみ深い神よ、あなたに信頼して祈るすべての人を顧みてください。救いのことばに慰めを見いだし、新たな希望に満たされますように。

わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。

 

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新しい創造計画第2期
2011年9月11日

 

全国の皆様

 

カトリック仙台司教区 司教 平 賀 徹 夫

 

東日本大震災救援・復興活動にかかる
「新しい創造」基本計画、第2期に向けて

 

この半年、日本全国からそして全世界から、仙台教区と被災した方々のため、被災地の復興のために、本当に多くの方々の善意が寄せられました。厚く御礼申し上げます。

(被災地で起こっていること)

この大震災にあって、多くの人が自らの犠牲を顧みず、自分たちの責任を果たそうとしました。互いに乏しさを分かち合い、助け合いました。全世界から、善意あふれる実に多くの人の祈り、思いが届けられました。それは、貴重な人材の派遣、義援金の提供、時間の提供という多大な犠牲を払う、見える形での連帯の表明でした。また、多くの人が「自分は直接的には何もできない」という痛みをともなった祈りを捧げてくださいました。こうして被災地と被災地外という心の境界は乗り越えられ、支援して下さる多くの人たちとの間に「新しい絆」が生まれようとしています。ここに光を感じます。

キリストが私たちの「心の目を開き、私たちがどんな希望に召されているかを示してくださる(エフェソ1.17-18)」のです。これこそが私たちが行う被災者支援・復興活動の大きな力の源となっています。

今後も基本方針に基づき、「心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるように(ローマ 12.2)」なりたいと願っています。

 

(現状認識)

  1. 震災の犠牲者は、8 月末現在、死者 15,757 人、行方不明者 4,382 人にのぼります。
  2. 津波の被害が甚大であった岩手県から宮城県までの沿岸部は、がれき撤去が進み、「復興の鎚音」が聞こえてきたとも言えます。被災地の悲惨な状況が、復旧工事の進捗により一見「きれい」にも見えます。しかし、こうした外観は、被災者の目には見えない傷をさらに見えにくくさせる段階に入りつつあることを示しています。
  3. 福島県とその周辺地域にあっては、原発事故による放射能汚染が深刻であり、町の復興はおろか、町そのものの消滅を暗示させる状況が続いています。また、避難を強いられた人々の中には「家族の分断」という新たな問題を抱えている人もいます。
  4. 国の復興計画の遅れが市町村の復興事業の遅れにつながり、住民は生活の安全、生活再建の目処がつかず、不安といら立ちを感じています。
  5. 被災地にあっては、被害のあった方とそうでなかった方の間に相当な温度差が生じています。また、同じ県にあっても被災地とそれ以外の地域では被害の現実の受け止め方に相当な開きがあります。教区内にあっても被災者が多い教会とそれ以外では大きな差が生じています。他方、何かできることをしたいという善意の気持ちは充満しています。
  6. 多くの教区、修道会から支援をいただきました。シスターズリレーが示した温かいホスピタリティー、そして、ボランティアに来るまでは教会とは縁の無かった人々との協働が生まれています。
  7. ベースを置く各小教区は、司祭や信徒の通常活動スペースを犠牲にし、不便を忍んで側面支援を行い、ボランティアに直接参加し、ベースを陰で支えてくれています。
  8. 仙台教区では、小教区や地区単位で、サポートセンター活動への積極的な協力や、そこから始まった具体的な救援活動が、仙台中央地区、宮城県南地区、盛岡地区、福島県等に生まれつつあります。また、信徒個人やグループ、修道会やカトリック事業体で、各自の判断でボランティア活動を企画、参加している事例が多数見られます。

 

(計画の期間)

当初、活動の柱の一つとして位置づけた仙台教区サポートセンターの活動の目処を半年後の 2011 年 9 月15 日としていました。これは、政府が目標としていた 8 月末の避難所の閉鎖と仮設住宅の移転完了の時期とも概ね重なり、一次救援の期間としては適切であったと考えています。この半年の期間を基本計画の第 1 期と捉えています。

今後は、主に仮設住宅へ移った被災者への支援に重心を移していきます。津波被害の甚大さ、今尚収束しない放射能汚染を考えれば復興までには相当長い期間が必要であると考えますが、こうした支援内容の変化に合わせ、2013 年 3 月末までを第 2 期の活動期間とします。また、活動については半年ごとに評価を行い、内容を見直すこととします。

 

(活動の内容)

柱1.に掲げた仙台教区サポートセンターの活動は、半年を経過した現在、各地の社会福祉協議会や関係機関と緊密な連携が保たれ、地元からの篤い信頼を得ており、被災者全般への支援という方針は理解され、しっかりとした基盤を築くことができました。今後とも本部、ベースにおける被災者支援活動を継続して行きます。また、札幌教区が支援してくださっている宮古ベース、さいたま教区が支援してくださっている湯本ベース、あるいは長崎、大阪、東京教会管区が進めている活動開始に合わせ、この機能的な連携を図りつつ、被災者の抱える

1 )生活の再建
2 )経済的自立の支援
3 )精神的なダメージのケア
4 )コミュニティー形成

などのニーズに応える活動を企画・推進して行きます。

今後、谷間におかれた被災者の生活再建支援と並行して「新しい街作り」への支援、あるいは地域教会として協働していくという課題も少しずつ見えてくる時期と捉えています。救援活動を通して地域と共に歩む中で街作りにも協力していくことを模索したいと思います。このプロセスに関わりながら地域の一員として「新しく創造される教会のあり方」にもチャレンジして行きます。

柱 2.として掲げた、内陸部の教会が、被災した沿岸部の教会と交流・支援を深め、被災した人々を支援する活動は、サポートセンターや3教会管区のベースを置く小教区との連携を保ちつつ、一部に生まれた自主的な活動を支援しながら進めて行きます。また、教区司祭評議会、宣教司牧評議会に諮りながら、県単位の連絡協議会、地区、小教区単位で被災地域との交流および支援活動を推進して行きます。

また新たに、滞日外国人司牧を重要な活動の柱と位置付け、その活動方針を明確にする中で全国からの支援を得てこれを推進して行きます。

 

(お願い)

被災者と共に 3.11 を心に刻みながら、新しく創造された「善きこと」に励まされて復興を目指して参りますので、今後とも応援をお願い致します。

 

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