お知らせ

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2011平和旬間 司教協議会会長談話

2011年07月22日

東京教区の皆様へ

日本カトリック平和旬間を前に、日本カトリック司教協議会会長の池長大司教から談話が発表されましたので、皆様に、お伝えいたします。

東京教区本部事務局
事務局長 高木 賢一


 

平和を願うすべての人々へ

今年も平和旬間が巡ってきました。日本のカトリック教会は8月6日から15日までを平和旬間として定め、平和について学び、祈り、行動するよう呼びかけています。

世界の歴史に刻まれる出来事に遭遇する機会は、人間の100年にも満たない人生の中でそれほど頻繁には与えられません。しかし今年、私たちは日本において未曾有の災害に遭遇し、その日、2011年3月11日は、必ずや歴史に刻まれる日となるに違いありません。

東日本大震災は2万人をこえる生命を奪い去りました。多くの人が、愛する人を失い、人生を生きてきた証を失い、仕事を失い、積み重ねてきたすべてを失いました。復興には険しく長い道のりが待ち受けています。

2011年の平和旬間を迎えるにあたり、私はまず、今回の大震災で亡くなられた方々のために祈り、被災された多くの方々にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

また福島においては原子力発電所の事故が未解決であり、不安のうちに暮らしておられる方々に安全と安心がもたらされますことを、心から祈ります。

この悲劇が発生した理由を私たちが完全に知ることは不可能でしょう。ただ私たちの信仰は、困難と苦しみの中からも新しい希望が芽生えることを教えています。

巨大な地震と津波の力は、人間が万全だと想定していた災害への備えをさえ、凌駕する強大なものでした。私たちはこの現実の前に、ただ謙虚に頭を垂れ、大自然の前でどれほど人間が無力であるかを、素直に認めたいと思います。

同時にその無力さこそが私たちを、人間の知恵を遙かに超えた偉大な神の力をあらためて実感させるのです。私たちには、これまでの生活のあり方を見直し、神の創造されたすべてのものの前に謙虚である生き方を模索することが求められています。

さて、前教皇ヨハネ・パウロ二世が日本を訪問されて、今年で30年になります。5月1日に福者にあげられた前教皇は、来日された際に広島に足を運ばれ、平和アピールを発表されました。

その中で前教皇は、若者たちにこう呼びかけました。

「ともに手をとり合って、友情と団結のある未来をつくろうではありませんか。

窮乏の中にある兄弟姉妹に手をさし伸べ、空腹に苦しむ者に食物を与え、家のない者に宿を与え、踏みにじられた者を自由にし、不正の支配するところに正義をもたらし、武器の支配するところには平和をもたらそうではありませんか。

あなたがたの若い精神は、善と愛を行なう大きな力を持っています。人類同胞のために、その精神をつかいなさい」

その上で前教皇は、神を信じるすべての人にこう呼びかけました。

「われわれの力をはるかに超える神の力によって勇気を持とうではありませんか。

神がわれわれの一致を望まれていることを知って、団結しようではありませんか。

愛を持ち自己を与えることは、かなたの理想ではなく、永遠の平和、神の平和への道だということに目覚めようではありませんか」。

まさしく今、国内外から被災された方々へ手をさしのべ、その隣人となろうとしている多くの人の姿があります。寝食を忘れて尽くす多くの人のうちに「愛を持ち自己を与える」姿があります。巨大な悲劇の中で私たちは、神における希望を忘れることなく、「神の平和への道」が、日本で具体的に芽生えている事実を目の当たりにしています。自らを与え尽くすまで人間を愛された主イエスの愛の姿こそ、私たちが目指す平和の理想です。

互いに助け合うとき、憎しみや復讐は消え去り、戦いの不毛さを確信し、神に与えられたたまものとしての生命をいただく人間の尊厳を守り抜く決意が深まるのです。

2011年という日本の歴史にとって特別な年に、広島・長崎の原爆の日から始まって終戦記念日に至る平和旬間を過ごすにあたり、私はあらためて平和を生み出す努力が必要であることを強調するとともに、そのためにこそ互いを尊重し助け合う心をさらに深められますように、平和を願うすべての人々に呼びかけます。

 

日本カトリック司教協議会
会長 池長 潤(大阪教区大司教)

 


 

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