教区の歴史

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復活徹夜祭説教

2006年04月15日

2006年4月15日、東京カテドラル聖マリア大聖堂にて

 

 

皆さん、聖週間の典礼を行なってきたわたしたちはいよいよ今晩、復活徹夜祭を迎えました。復活徹夜祭は年間をとおして最も豊かで美しく、味わい深い典礼であります。かなり長い祭儀の中心にあるのは、「神の救いの歴史」というテーマです。先ほど旧約聖書が朗読されました。創世記、出エジプト記、そしてイザヤの預言です。今晩わたくしはこのイザヤの預言55章のことばを取り上げ、このメッセージをご一緒に深く味わい、心に刻みたいと思います。

 

「わたしの思いは、あなたたちの思いと異なり

わたしの道はあなたたちの道と異なる、と主は言われる。

天が地を高く超えているように

わたしの道は、あなたたちの道を

わたしの思いは、あなたたちの思いを、高く超えている。

雨も雪も、ひとたび天から降れば

むなしく天に戻ることはない。

それは大地を潤し、芽を出させ、生い茂らせ

種蒔く人に種を与え、食べる人には糧を与える。

そのように、わたしの口からでるわたしの言葉も

むなしくは、わたしのもとに戻らない。

それはわたしの望むことを成し遂げ

わたしが与えた使命を必ず果たす。」

 

神のことばは必ず実現する、とイザヤは力強く宣言します。神がみことばを実現される道は人が思うような道ではありません。それは人には意外な道、躓きとなるような道ですらあります。復活徹夜祭を祝うわたしたちは、イエス・キリスト「道であり、真理であり、命である」ことを信じています。イザヤで言われる「わたしの道」とはキリストの道に通じるのではないでしょうか。キリストの道、それは過越の神秘、十字架、死を過越して復活に至る道です。キリストこそ闇を照らす神の光、光よりの光です。いまわたしたちの周りには闇があります。この世界においても、そしてわたしたちの心の中にも闇が存在します。「貧困、差別、戦争、不正、偏見、孤独、病気、恐れ、不安、疑い、失望、絶望、憎悪・・・」 

しかし、この闇の中に光がともっています。キリストの復活の光です。キリストがわたしたちの心を照らしています。この光はやがてすべての闇を追い払ってしまうのです。

皆さん、この光、キリストの光を受け、キリストの光の中を歩みましょう。神はイザヤをとおして言われたのです。「(わたしのことばは)わたしの望むことを成し遂げわたしが与えた使命を必ず果たす。」 

ヨハネの黙示は新しいエルサレムという都について語ります。「この都には、それを照らす太陽も月も、必要でない。神の栄光が都を照らしており、小羊が都の明かりだからである。諸国の民は、都の光の中を歩き、地上の王たちは、自分たちの栄光を携えて、都に来る。都の門は、一日中決して閉ざされない。そこには夜がないからである」(黙示21:23-25)。まさにこれこそ、夜のない世界、闇が完全に消滅した「新しい天と地」、神の創造の完成であります。 

主よ、どうかこの信仰、希望を深めてくださいますように。アーメン。