教区の歴史

教区の歴史

聖香油のミサ

2002年03月28日

2002年3月28日、東京カテドラルにて

 

1. 毎年、聖香油のミサでは、ルカの4章、イエスの宣教の開始の場面が読まれます。

イエスは父である神から派遣されたものであり、その派遣には豊かな聖霊の塗油が伴っていました。イエスは自分の使命を、貧しい人に福音を述べ伝え、捕らわれ人に解放の恵みをもたらすことであると自覚していました。

これはそのままわたしたち教会の使命となっています。これを「福音化」と言い換えることができるで しょう。

 

 

2.福音化においてもっとも重要な役割を果たすのは聖霊です。実際に福音化の働きをするのは聖霊であり、聖霊はわたしたち教会を通して福音化の使命を遂行します。わたしたちは 実に、聖霊の器、聖霊の道具なのです。神のことばを悟らせ、信仰へ導き、そして信じたことを教え、教えたことを行わせるのは聖霊の働きに他なりません。

聖霊はまず教会に内在し、とくに秘跡を通して働きます。本日の聖香油のミサではこの秘跡の執行にかかせない三種類の油、すなわち、病者の油、洗礼志願者の油 、そして香油の祝福・聖別が行われます。

 

 

3.さて、本日の典礼では、聖香油の聖別とともに、司祭職の制定の記念が行われます。

聖香油のミサは各教区で司教を中心とする共同のミサとしてただ一回だけささげられます。司教を中心とする司祭団の一致を示すため、教区で働くすべての司祭は共同司式するよう招かれます。説教が終わると「司祭の約束の更新」が行われます。

叙階式を思い起こしてみましょう。司教は受階者に尋ねました。「あなたは、司教とのきずなのなかで、尊敬の心をもって司教に従うことを約束しましたが」。

これはなはだ僭越ですが、非常に大切なことを示しています。

司教とは使徒の後継者であり、司祭はその協力者です。司教はその任務を行うとき、司祭とともに行います。また、司祭は司教のもとでしか司祭職を遂行することができません。両者はその存在と任務から言って、切っても切れない関係にあります。

司祭は司教から任命を受け、司教から派遣されます。司教は使徒のように、主イエス・キリストからその任務を託されました。そして、主は言われました。「わたしの遣わす者を受け入れる人は、わたしを受け入れ、わたしを受け入れる人は、わたしをお遣わしになった方を受け入れるのである」(ヨハネ13/20)。

 

 

4.人間として弱さをもつ司教が司教として受け入れられるのは、彼が主から派遣されたものとして認められるからです。司祭が受け入れられるのも、司教を介して派遣されたものとして認められるからです。これはいわば信仰の行為なのです。

きょうわたくしたちは、主から授かったこの任務を深くこころに刻みたと思います。

本日、あらためてわたくしは「教会が福音化の使命を遂行するためには、司教と司祭、司祭と司祭の間の協力が非常に大切である」ということを強調したいのです。