大司教
週刊大司教第二百三十三回:王であるキリスト
2025年11月26日

典礼暦上の一年の最後の主日となります。王であるキリストの主日です。
メッセージでも触れていますが、王であるキリストの主日は世界青年の日でもあります。2027年8月にソウルで開催される世界青年大会への準備が進む中、毎年のこの世界青年の日も大切な祈りの機会です。
教皇レオ十四世は、この日のメッセージを発表されています。こちらのリンク先からご覧ください。
第40回目となる世界青年の日のメッセージテーマは、ヨハネ福音15章27節からとられた「あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのだから、あかしをするのである」とされています。
以下、22日午後6時配信、週刊大司教第233回目、王であるキリストの主日のメッセージです。
王であるキリスト主日
週刊大司教第233回
2025年11月23日前晩
「他人を救ったのだ。もし神からのメシアで,選ばれたものなら、自分を救うがよい」
このイエスをあざける議員たちの言葉が、キリストが世界の王であるとは一体どういう意味なのかを,明確に示しています。
全世界の王である神は、自分自身の名誉や欲望のために、皆に仕えることを強制する権力者ではなく、創造されたすべてのいのちへの限りない愛の救いのために、自らのいのちをあたえ、自らを犠牲にする王であることを、議員たちのことばは図らずもあかししています。
さらに議員のことばは、人間の身勝手な思い違いを明らかにします。自分が求めている条件を満たさなければ神と認めないというのです。神はご自分からその姿をわたし達に示す現実の存在であって、人間の願望を満たすための存在、すなわち夢物語ではありません。神がわたし達を支配するのであって、わたし達が神をコントロールするのではありません。
神は苦しみの中でも口を閉ざしてあざけりに耐え、いのちを賭してまで、仕えるものであろうとされます。世界を支配する王であるキリストは、私たちがその模範に倣い、常に仕えるものであるようにと求めます。自分の願望や欲望を満たすためではなく、他者のいのちを生かすために行動することを求めています。
王であるキリストの主日は,世界青年の日と定められています。40回目となる世界青年の日のためのメッセージで、教皇レオ十四世はヨハネ福音書からの主イエスのことば、「あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのだから、証しをするのである」をテーマとして掲げられました。
教皇は、2027年にソウルで開催される世界青年大会までの歩みを念頭に、「わたしはあかしの二つの側面、すなわち神から賜物として頂いたイエスとの友情と、社会における平和の建設者となるという私たちの決意に焦点を当てたい」と述べてメッセージを始めています。
弟子として従おうとするわたし達を「友」として呼ばれるイエスは、その「友情を通して、イエスは皆さんの話に耳を傾け、皆さんに励ましを与え、皆さんを導き、皆さん一人一人を新しい人生へと招いてくださいます」と教皇は述べています。
さらに、世界の過酷な現実の中で命の危機に直面している多くの人の実例を挙げた後で、教皇は青年達に、イエスがそう招いておられるように、そういった困難に直面する人たちに寄り添うようにと呼びかけます。
教皇はメッセージの締めくくりで、福音をあかしする者は平和構築に取り組むことに触れ、こう記しています。
「信仰の言葉を用いて分裂を煽る者たちに倣ってはいけません。むしろ、不平等をなくし、分裂し抑圧された共同体を和解させるための計画を立てましょう。愛する友よ、そのために、私たちの内なる神の声に耳を傾け、利己心を克服し、平和の積極的な担い手となりましょう。復活した主の賜物である平和は、心に主の霊を宿す人々の共通の証しを通して、この世に現れるでしょう」
世界の王であるキリストの支配する世界は、神の秩序が支配する世界です。それこそが真の平和です。わたし達教会共同体も、この世界のただ中で平和をあかしする使徒であり続けましょう。