大司教

週刊大司教第二百八回:復活節第四主日
2025年05月12日
復活節第四主日です。
教皇選挙については、できる範囲で別途記します。
以下、10日午後6時配信、週刊大司教第208回、復活節第四主日メッセージです。
復活節第四主日
週刊大司教第208回
2025年5月11日前晩
ヨハネ福音は、羊飼いと羊のたとえを記しています。「わたしの羊はわたしの声を聞き分ける」と主は言われます。
復活の命への希望へと招いてくださる羊飼いである主イエスは、わたしたち羊をよく知っておられます。先頭に立って常に旅路をともに歩んでくださいます。そして常に呼びかけておられます。
問題は、先頭に立ってわたしたちを導いてくださる羊飼いとしての主の声を、果たしてわたしたちがしっかりと聞き分けているのかどうかでしょう。
現代社会はありとあらゆる情報に満ちあふれ、人生の成功の鍵という魅力的な誘惑で満ちあふれています。選択肢があればあれほど、決断が難しくなり、多くの人がその波間を漂いながら時を刻んでいます。その中で、希望の道へと招いてくださる牧者の声に耳を傾けることは、容易ではありません。それだからこそ、教皇様はいま進められているシノドスの歩みを最優先事項としているのであり、教会は2028年の予定されている教会総会に向けて、シノドスの道をともに歩みながら、互いに支え合い、耳を傾け合い、祈りのうちにその導きを識別しようと努めています。羊飼いの声を聴き分ける羊となろうとしています。
復活節第四主日は、世界召命祈願日と定められています。教皇パウロ六世によって、1964年に制定されました。元来は司祭・修道者の召命のために祈る日ですが、同時に、シノドス的な歩みを続ける教会にあっては、すべてのキリスト者の固有の召命についても黙想し祈る日でもあります。牧者の声を識別する役割は、すべてのキリスト者の務めであるというのが、シノドス的な教会の一つの特徴です。
今年の祈願日のメッセージで教皇フランシスコは、「召命とは、神が心に授けてくださる尊いたまものであり、愛と奉仕の道に踏み出すべく自分自身の殻から出るようにという呼びかけです。そして、信徒であれ、叙階された奉仕者であれ、奉献生活者であれ、教会におけるすべての召命は、神が、世に、そしてご自分の子ら一人ひとりに、糧として与えてくださる希望のしるしなのです」と記しておられます。
その上で教皇様は、世界がめまぐるしく変わる中で翻弄されて道を見失っている若者たちに特に呼びかけて、こう記しています。
「立ち止まる勇気を出して、自らの内面に聞き、神があなたに思い描くものを尋ねてください。祈りの沈黙は、自分自身の人生においての神からの呼びかけを「読み取る」ために、そして自由意志と自覚をもってこたえるために、不可欠なものです。」
第二バチカン公会議の教会憲章に、信徒の召命について、「信徒に固有の召命は、・・・自分自身の務めを果たしながら、福音の精神に導かれて、世の聖化のために、あたかもパン種のように内部から働きかけるためである(31)」と記されています。
牧者であるキリストの声は、わたしたちだけでなくすべての人に向けられています。それを正しく識別するために、キリスト者の働きが必要です。「自分自身の務めを」社会の中で果たしながら、「パン種のように内部から働きかける」召命を生きる人が必要です。「福音の精神に導かれて、世の聖化」のために召命を生きる人が必要です。