大司教

週刊大司教第百九十四回:年間第三主日

2025年01月27日

年間第三主日の今日は、神のことばの主日です。

神のことばの主日は、教皇フランシスコによって制定されました。制定を告知する文書「アペルイット・イリス」は、PDF版をこちらのリンクからご一読いただけますし、印刷してもいただけます。

また東京教区にとって、本日はケルンデーでもあります。ケルン教区との協力関係・パートナーシップは、昨年70年を迎えました。その歴史などについては、東京教区ホームページにまとめられていますので、こちらのリンクからご覧ください

第二バチカン公会議の啓示憲章は、「教会は、主の御からだそのものと同じように聖書をつねにあがめ敬ってき〔まし〕た。なぜなら、教会は何よりもまず聖なる典礼において、たえずキリストのからだと同時に神のことばの食卓からいのちのパンを受け取り、信者たちに差し出してきたからで〔す〕」(『啓示憲章』 21)と記して、神のことばに親しむことは、聖体の秘跡に与ることに匹敵するのだと指摘しています。したがって、個人的に聖書を読み親しむことはもちろん重要ですが、同時に共同体でともに学ぶことも主の現存を霊的に知るために必要ですし、それ以上に、典礼において聖書を朗読することもとても大切な務めです。典礼における聖書朗読は「神のことばの食卓からいのちのパンを」信徒に与えることになるからです。

東京カテドラルでは、今年のケルンデーに、わたしがミサを司式すると同時に、昨年教区を代表してケルンを訪問した冨田神父様、イエズス会の柴田神父様、信徒の赤井さんの三名に参加いただき、冨田神父様には説教を、その他のメンバーにはそれぞれの体験を分かち合っていただく予定でおります。またミサは配信される予定です。ケルン教区の皆さんのため、特に召命のためにお祈りください。またわたしたちのケルンの皆さんの心に倣い、余裕があるからではなく、少ない中からも進んでさらに困難のうちにある兄弟姉妹のために手を差し出す者であり続けたいと思います。その意味で、ケルン教区とともに進めているミャンマーの教会支援を、これからもさらに深めていきたいと思います。

以下、25日午後6時配信、週刊大司教第194回目、年間第三主日のメッセージ原稿です。
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年間第3主日
週刊大司教第194回
2025年1月26日前晩

ルカ福音は、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」というイエスの言葉を記しています。聖書に記されている言葉が、単なる文字の羅列ではなく、まさしく生きている神の言葉であることを、人となられた神の言葉であるイエスご自身が、宣言される言葉です。

公生活の初めに、ナザレの会堂で、イエスに渡されたイザヤ書の言葉こそ、イエスご自身の語り行うすべての根幹をなす生きる姿勢を明示したものでした。イエスこそは、とらわれ人に解放を告げ、主の恵みの年を告げる存在であり、それこそが神の良い知らせ、福音であることが明らかにされます。イエスこそは希望の源です。自由を奪われ不安の暗闇に閉じ込められているわたしたちに、神がいのちを創造されたときに願われた思いを生きることができるようにと、とらわれからの解放をもたらされる希望の源は、神のことばであります。

「希望の巡礼者」をテーマとして始まった聖年は、まさしくイエスの言われた「主の恵みの年」であり、この一年わたしたちは、自分自身の回心、霊的な成長、そして救いだけを心に留めるのではなく、主とともに歩む巡礼者として、与えられた自由と解放がもたらす希望を、さらに多くの人に伝えていく使命があります。

年間第三主日は、神のことばの主日です。教皇フランシスコによって2020年に制定されたこの主日は、使徒的書簡「アペルイット・イリス」によれば、「神のことばを祝い、学び、広めることにささげる」主日とされました。

その上で教皇様は、「聖書のただ一部だけではなく、その全体がキリストについて語っているのです。聖書から離れてしまうと、キリストの死と復活を正しく理解することができません」と指摘されています。ミサの中で聖書が朗読されるとき、神の言葉は生きており、そこに主がおられます。ですから、典礼における聖書朗読の奉仕者の役割には、聖体の秘跡に関わる司祭と同様に重要な意味があります。

教皇様は、「聖霊は、神のことばを聞く人々のうちにおいても働いています」と使徒的書簡に記し、だからこそ「原理主義的な読み方は避ける必要が」あると強調されます。その意味で、シノドスの道を歩む際に重要とされている霊における会話のように、共同体でともに神のことばに耳を傾け、分かち合いながら、聖霊の導きを識別することには意味があります。

神のことばは、その昔に実現したのではなく、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現」します。

東京教区にとって本日は、「ケルンデー」であります。ケルンと東京のパートナーシップは昨年2024年に70年を迎えました。第二バチカン公会議直前に始まった東京カテドラル聖マリア大聖堂の建設をはじめ、東京教区はケルン教区から多額の援助を受けて育てられてきました。白柳枢機卿の時代に、ミャンマーの教会支援という新しいパートナーシップへと発展しました。与えられ育まれてきた財産を、これからどのように維持発展させていくのかは、愛を受けたわたしたちの責任です。私たちは、教区を育ててくださった兄弟姉妹の愛の心に感謝しながら、それに倣い、神の愛の生きた証し人として、神のことばの生み出す希望を告げる巡礼者でありたいと思います。