大司教
週刊大司教第百四十五回:待降節第一主日
2023年12月04日
しばらくお休みさせていただいておりました週刊大司教を、待降節第一主日から再開いたします。
以下、本日午後6時公開の、週刊大司教第145回のメッセージ原稿です。
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待降節第一主日
週刊大司教第145回
2023年12月3日前晩
わたしたちのうちで誰ひとりとして、人生の終わりを免れるものはいません。それぞれの人生を、それぞれに与えられた時間の中で生きるとしても、必ず終わりがやってきます。
限りがある時間を生きていることをよく知っているにもかかわらず、わたしたちには対処するには困難がつきまといそうな問題への対処を先延ばしにしようとする傾向があります。しばしば、時間が解決してくれるなどと言って、将来の世代へと負の遺産を残してしまってはいないでしょうか。
教皇フランシスコは回勅「ラウダート・シ」において、「もはや、世代間の連帯から離れて持続可能な発展を語ることは出来ません」と指摘されました。(159)
教皇はより良い世界を実現するためには、いま良ければそれでかまわないという刹那的な自己中心の考え方だけではなく、共通善に基づいて、将来世代への何を残していくのかという責任も視野に入れなくてはならないと、次のように指摘されます。
「わたしたちがいただいたこの世界は後続世代にも属するものゆえに、世代間の連帯は、任意の選択ではなく、むしろ正義の根本問題なのです。」(159)
わたしたちは、どのような世界を後世に残していこうとしているのでしょう。将来の世代との連帯という視点で考えたことがあるでしょうか。この課題に取り組むことは、いまの世界で生きる意味をあらためて問い直すことを意味しています。楽なことではありません。
2015年に「ラウダート・シ」を発表されて以来、教皇様は地球温暖化の問題や気候変動の問題に発言を繰り返してきました。しかし取り組みを先送りしようとする世界の動きに業を煮やし、この10月4日に「Laudate Deum(主を称えよ)」を発表され、具体的な取り組みの必要性と、政治に対する積極的な提言の必要性を強調されました。その上で、教皇様は、ドバイで開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に自ら出席されることを決意されました。
「目を覚ましていなさい」と言う主の呼びかけは、未来を見据えて、今を生きるわたしたちが、将来世代との連帯の中で、被造物の管理を任された僕としての責任ある行動をとることも求める呼びかけです。教皇様と共に地道に、連帯の必要性を呼びかけ、また自らも行動し続けたいと思います。
教会は12月の最初の主日を、宣教地召命促進の日と定めています。
この日わたしたちは、「世界中の宣教地における召命促進のために祈り、犠牲をささげます」。またこの日の献金は「教皇庁に集められ、全世界の宣教地の司祭養成のための援助金としておくられ」ることになっています。
もちろん日本は今でもキリスト者が絶対的な少数派ですが、アジアのほぼ全体がいまでも宣教地です。その意味でも、日本を始めアジアにおける福音宣教を推進するために、さらに多くの働き手の存在は不可欠です。皆さまのお祈りをお願いいたします。