大司教

週刊大司教第六回:待降節第三主日

2020年12月14日

待降節第三主日は、喜びの主日と呼ばれ、バラ色の祭服を使うことが出来ます。典礼は主の降誕への準備とシフトし、喜びのうちに主の降誕への備えを始める時期となります。

ところで教皇様は12月8日、聖ヨセフがカトリック教会の保護者として宣言されてから150年となることを記念して、来年の12月8日までを『ヨセフ年」と定めることを宣言されました。詳細については、教皇様の文書などが翻訳された後にお知らせいたしますが、まずは中央協のホームページの短い解説をご覧ください。こちらのリンクです。私を含め世界中の司教は誰も事前に知らされていなかったので、当日以降のニュースで知ることとなり(今現在も、公示の文書などは手元に届いていません)、詳細が分からずにあたふたとしておりますが、分かり次第お知らせするようにいたします。

以下、待降節第三主日の「週刊大司教」第六回の、メッセージ原稿です。なお配信ビデオでは、前回より、霊的聖体拝領の時間を設けております。ビデオを途中で止めて、お祈りをしてから続けていただくことも出来ます。それぞれのお祈りにご活用ください。

なお、「週刊大司教」をはじめとして東京教区からのメッセージは、Youtubeの「カトリック東京大司教区」というチャンネルで公開しています。ミサの配信については、カトリック関口教会のYoutubeチャンネルを利用しております。両方のチャンネルを登録していただけると幸いです。

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待降節第三主日
週刊大司教第六回
2020年12月13日前晩

新型コロナウイルス感染症は、なかなか収束に向かわず、それどころか、待降節が後半に入り、主の降誕を待ち望む準備の時に入ったこの時期、さらに勢いが増しています。世界各地で多くの人が、いのちの危機に直面し、病床での日々を過ごしておられます。病床にある方々のために心からお祈り申し上げると共に、いのちを守るために日夜取り組んでおられる医療関係者の皆様に、感謝申し上げます。徐々にではあるものの、この感染症に対処する道筋が見えてきたとは言え、やはり暗闇の中に取り残され不安の中を彷徨っているといった感覚から、まだまだ抜け出すことが出来ません。今年の待降節は、そんな暗闇の中に彷徨いながら、主の降誕に向けた霊的準備を進めなければなりません。

クリスマスのお祝いと言えば、日本では12月24日の「クリスマスイヴ」にお祝いするのが定番となっています。集まることが難しい今年、例年のような盛り上がりが各地で見られるかどうかは予測が難しいのですが、教会も24日の夜のミサでは、多くの人を迎えて祈りの時を過ごしてきました。

クリスマスイブですから、そのお祝いは日が暮れてからの、夜のお祝いです。ご存じのように実際のクリスマスは12月25日ですが、24日の晩のお祝いもあながち誤りではありません。ユダヤの暦が日没を新しい一日の始まりとしていることをさておいても、そもそもクリスマスのお祝いは夜のお祝いであります。

イエスの誕生は夜の闇を背景として、聖書に描かれています。草原に野宿する羊飼いたちは、闇の中、輝いた星の光に導かれてイエスの誕生した場所へ到達します。そこでは夜の闇を打ち払うかのように、高らかに賛美を歌う天使たちの光が輝き照らします。

暗闇に輝く光。希望を失い不安の中を歩む民を照らす、命の希望の光。その暗闇に輝く光のイメージこそが、誕生した幼子の持つ意味をわたしたちに明確に示します。

神のひとり子であるイエスは、常にわたしたちと共におられる神、インマヌエルであります。その共におられるイエスは、神の「ことば」そのものであります。人となられた神のことばは、闇の中を歩む民を照らす希望の光です。生きる希望を生み出す存在です。その光は、神のいつくしみそのものでもあります。わたしたちを神のいつくしみを持って包み込み、進むべき道を明確に示し、その道を確信と希望を持って歩むことが出来るように、歩みを共にされる光。それが誕生した幼子、主イエスであります。

福音は、洗礼者ヨハネが、その光の先駆者として、光をあかしするために使わされたと記します。「主の道をまっすぐにせよ」と荒れ野で叫ぶ声であると記します。

コロナ禍にあって社会全体が闇の中に捨て置かれているように感じる今だからこそ、洗礼者ヨハネの存在が必要です。暗闇にあって輝く命の光をあかしし、進むべき道を指し示す声となる先駆者ヨハネが必要です。

現代社会にあって、わたしたちキリスト者は、命の光、希望の光であるイエスをあかしし、明確に示し、光に従って進むべき道を整える使命があります。光そのものである神のことばを、告げしらせる使命があります。わたしたちはイエスがその言葉と行いを持って示した神の愛といつくしみと命の希望を、わたしたち自身の言葉と行いであかししていきたいと思います。