大司教

2025年復活祭 菊地功枢機卿メッセージ

2025年04月19日

皆様、御復活おめでとうございます。

そしてこの復活祭、または復活節に洗礼を受けられるみなさん、おめでとうございます。教会共同体に心からの喜びを持ってお迎えいたします。

十字架における受難と死を通じて新しいいのちへと復活された主は、わたしたちが同じ新しいいのちのうちに生きるようにと招きながら、ともに歩んでくださいます。復活された主イエスは、わたし達の希望であるキリストです。

2020年に直面した世界的ないのちの危機以来、わたし達は混乱の暗闇の中をさまよい続けています。その間に勃発した各地の戦争や紛争はやむことなく、今日もまた、いのちの危機に直面し、絶望のうちに取り残されている人たちが、世界には多くおられます。

そのような状況は多くの人の心に不安を生み出し、世界全体が身を守ろうとして寛容さを失い、利己的な価値観が横行しています。異質な存在を受け入れることに後ろ向きであったり、暴力を持って排除しようとする事例さえ見受けられます。

人はそのいのちを、「互いに助けるもの」となるように神から与えられたと旧約聖書の創世記は教えています。ですから互いに助け合わないことは、わたし達のいのちの否定に繋がります。いのちの否定は、それを賜物として与えてくださった神の否定に繋がります。

互いに助け合わない世界は、神が望まれた世界ではありません。互いに助け合わない世界は、絶望を生み出す世界です。

いま必要なのは、いのちを生きる希望を、すべての人の心に生み出すことであります。

教会は今年、25年に一度の特別な聖なる年、聖年の道を歩んでいます。希望の巡礼者がそのテーマです。わたし達は、絶望が支配する世界に希望をもたらす者として、人生の旅路を歩み続けます。一人で希望を生み出すことはできません。信仰における共同体の中で生かされることを通じて、希望が生み出されます。その希望の源は、復活され、わたしたちとともに歩み続ける主イエス・キリストです。

先般、東京教区の姉妹教会であるミャンマーで大きな地震が発生し、わたし達が特に力を入れて支援してきたマンダレー周辺で大きな被害が出ています。ただでさえクーデター以降不安定な状況が続き、平和を求める教会に対する攻撃も続いている中での災害です。被災者救援のための募金も始まっています。被災され絶望に打ちひしがれている方々に希望が生み出されるように、わたし達はできる限りのことをしたいと思います。まず、ミャンマーの方々のために、その平和のために、祈りを捧げましょう。祈りには力があります。いのちを生きる希望を生み出す信仰の絆です。

復活祭にあたり、互いに支え合い、ともに歩む中で絆を深め、希望を生み出しそれをあかしする者となる決意を新たに致しましょう。

終わりに、病気療養中の教皇フランシスコのために、どうぞともに祈りをお捧げください。