大司教

2025年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたって

2025年02月27日

カトリック東京大司教区の皆様

2025年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたって

毎年四旬節第二週の金曜日は、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」で、今年は来る3月21日がその日にあたります。教皇フランシスコは、性加害の問題に教会全体が真摯に取り組み、その罪を認め、ゆるしを請い、また被害にあった方々の尊厳の回復のために尽くすよう求め、この日を設けられました。3月21日金曜日、または、その前後の主日にそれぞれの小教区で、教皇様に意向に従ってミサをお捧げください。

司教協議会会長としての呼びかけ文にも記しましたが、25年に一度の聖年にあたる今年、教皇フランシスコは大勅書「希望は欺かない」において、この一年を、「ついえることのない希望、神への希望を際立たせる聖なる年」とするように呼びかけ、全体のテーマを「希望の巡礼者」とされました。

神のいつくしみに与り、罪のゆるしを得る恵みの年に、教会はいのちを生きる「希望」を高く掲げ、すべての人と歩みをともにしたいと願っています。そのためにも自らの過去を振り返ることは必須であり、その上で罪を認め、繰り返すことのない決意を固める必要があります。

教会において、ハラスメントや性的暴行など、神からの賜物でありその尊厳を徹底的に守られなければならないいのちに対する暴力は、ゆるされてはなりません。ましてや、被害を受けられた方々に責任があるかのような言動や憶測で、二次加害を発生させることもゆるされてはなりません。

東京教区では、寄せられた相談などに真摯に対応するための委員会や調査のための第三者委員会を常設していますが、十分な対応ができていないとのご指摘をいただいています。もちろん教会は共同体であって聖職者だけで作り上げているものではなく、シノドスの道のりで指摘されるように、キリスト者が共に責任を担いながらともに歩むことによって育てていくものです。その意味で、教会内のハラスメントなどの問題へ十分に対応することができるように、また被害を受けられた方々に十分に寄り添うことができるように、教会共同体のみなさまの助けが必要です。

同時に司教協議会会長の呼びかけ文にも記しましたが、現状の教会の組織形態や日本の法律上の組織形態では、それぞれの司教区や修道会は独立しており、一致協力して透明性、説明責任、評価に取り組むことができておらず、この点は多くの被害者の方々、支援者の方々から厳しく指摘をされています。また、独立した異なる組織が林立しているため、迅速な対応ができていないのも事実です。現在、教皇庁未成年者保護委員会の助けをいただいて、司教協議会と男女の修道会協議会とで、既存の枠を越えた協働関係の枠組み構築を急いでいるところです。

あらためて、無関心や隠蔽、二次加害も含め、教会の罪を心から謝罪いたします。聖年にあって、わたしたちの希望そのものである神の手によって、被害を受けられた方々の心が包まれますように、祈ります。また聖職者のためにも、その召命を忠実に生きることができるように、どうかお祈りくださいますようお願いいたします。

カトリック東京教区大司教
枢機卿 菊地功