大司教
2023年待降節 菊地大司教メッセージ
2023年12月03日
平和のために祈る時に
カトリック東京大司教区 大司教
菊地 功
待降節が始まりました。待降節はその名のとおり、待つということを考える時期です。二つの待つということを考えたいと思います。
一つは、待降節の前半の朗読が示すように、世の終わり待つということであります。そしてそれは、主ご自身が何度も繰り返し仰っているように、いつ起こるか分かりません。ですから「常に目覚めていなさい」という言葉があります。わたしたちは、この人生の中で、困難は常に先延ばしにしようとする傾向があります。しかし常に、挑戦をし続ける姿勢でありたいと思います。教会も常に挑戦し続ける教会でありたいと思います。
そして二つ目は、待降節の後半、主の降誕の喜びに向けた待つ姿勢です。わたしたちは、主が共にいてくださるということの喜びを、クリスマスを通じて心と体で感じます。その喜びを待ち続ける姿勢、それがわたしたちの信仰を生かす力です。源です。
この待降節、わたしたちはより良い準備をして、良い降誕祭を迎えたいと思います。けれども今、あの、主が生まれた聖地で何が起こっているのかを考える時、本当に悲しみを禁じ得ません。神ご自身が人となられたあの地で、今、いのちが暴力的に奪われる事態が続いている。ガザでの悲劇、パレスチナの悲劇の歴史、イスラエルとパレスチナの対立。その暴力的な歴史、暴力的な現実がわたしたちに大きな悲しみを与えています。
主の降誕の準備をするにあたって、わたしたちは、わたしたち自身の心を整えることですが、同時に、あの聖地において平和が実現するように、共に祈りたいと思います。そして、祈りを通じてわたしたちの思いが世界の多くの人たちに届くように、 特に今、暴力の中にさらされている多くのいのちに、わたしたちの思いが届くように祈り続けたいと思います。
今年の待降節を、平和のために祈る時としたいと思います。